最近、立て続けに日本はもうダメだというエントリを見ました。特にすごかったのが、これです。
フランス人がとらえる日本というのは、もうダメな国と言うニュアンスではないです。確かに経済の不調、少子高齢化、新興国の台頭などの問題に有効な対策が打てない病気の国というような話は伝わっています。それでも、ロボットや通信などの最新テクノロジーをいち早く取り入れ、マンガやゲーム、カラオケなどの楽しい娯楽が満載な国というイメージも付いて回ります。渋谷の映像などが面白く取り上げられていたりして、活気がある国だと思われることも多いです→フランス人から見た日本特集『Un oeil sur la planète: Japon : le reveil du sumo ?』(2/2)。フランス人は基本的には日本のことを良く知らないので、問題も深刻に伝わってないのだと思います。逆にフランス人はフランスの抱える問題について熟知しているため、日本の方が楽しい国だと想像する人もいます。
紹介したエントリでは逆にフランス型がベストケースとして取り上げられています。フランスの問題を身近に深刻に伝わらないために、理想化してしまうのかもしれません。フランスでも、移民問題、宗教問題、失業問題、人種問題などなど目白押しの問題があります。
僕が想像する日本の未来は、日本人全体が危機認識を共有したときに日本が立ち直るという未来です。例えば、150年前に開国した時のように、中国、インド、フィリピン、ベトナム、インドネシアが植民地化され、日本自体が植民地化の危機に立たされた時のように危機を脱出する方向に全員が行動するイメージです。明治維新では西郷隆盛、坂本龍馬のような優秀な人材が大量に出現しました。結果、開国からたった37年で日清/日露戦争に勝利を収めるまでになりました。また、日本中が焼け野原になり0からの出発となった日本は、戦後約25年で国内総生産(GDP)で世界第二位になった後、ずっとその地位を守っています。このときにも、戦後の舵取りを誤らなかった吉田茂や池田勇人などの優秀な人材が出ています。
日本では危機になると優秀な人材が出てくるように見えるほどです。これに対する僕の仮説は、「日本では常時優秀な人材が実はウヨウヨいるけど、平時には親の七光りやお調子者が幅を利かせていてなかなか表に出て来れないが、全員が危機を認識すると優秀な人材に指揮権が委譲されるのではないか」というものです。危機になると偶然優秀な人材が湧いてくると考えるよりも自然だと思います。
ここで、最初に紹介したエントリに戻ると、1の日本は立ち直れないというのは間違いで、2の個人が海外進出を考えるべきというのは賛成です。平時に親の七光りやお調子者に隠れて能力を発揮できない優秀な人々は海外に出て正当な評価を求めるのも手な気がしています。そして、日本人が危機を認識すれば、日本でも本当に優秀な人にお鉢が回ってくる社会が出現すると思います。その時は、一度日本を出た優秀人々も日本のために役立ってあげてほしいものです。最後に、最近見た悲観的な観測で広く読まれているエントリです→希望を捨てる勇気 - 池田信夫 blog。
追記2:
楽観論をちょっと修正したフォローアップ記事を書きました→日本をもっとダメな国だと思い危機感を煽りましょう。
追記:
上記のエントリはたくさんのブログで引用されているようです。どれも面白いので、興味のある方はどうぞ。
On Off and Beyond: 海外で勉強して働こうつまり日本はもうダメだから日本脱出が最良の道と言う主張です。悲観論を求めるのは日本人の特性なのかなと思うので(→「日本人はなぜ悲観論が好きか」)、またかと思いましたが、この上記のエントリは同じく海外在住の著者の意見なのでこのエントリで扱ってみようと思います。
これまでずっとなるべく言わないようにしていたのだが、もう平たく/明快に言うことにしました。
1)日本はもう立ち直れないと思う。
だから、
2)海外で勉強してそのまま海外で働く道を真剣に考えてみて欲しい。
これまでは、1)は言わずに、2)だけ言ってきた。
フランス人がとらえる日本というのは、もうダメな国と言うニュアンスではないです。確かに経済の不調、少子高齢化、新興国の台頭などの問題に有効な対策が打てない病気の国というような話は伝わっています。それでも、ロボットや通信などの最新テクノロジーをいち早く取り入れ、マンガやゲーム、カラオケなどの楽しい娯楽が満載な国というイメージも付いて回ります。渋谷の映像などが面白く取り上げられていたりして、活気がある国だと思われることも多いです→フランス人から見た日本特集『Un oeil sur la planète: Japon : le reveil du sumo ?』(2/2)。フランス人は基本的には日本のことを良く知らないので、問題も深刻に伝わってないのだと思います。逆にフランス人はフランスの抱える問題について熟知しているため、日本の方が楽しい国だと想像する人もいます。
紹介したエントリでは逆にフランス型がベストケースとして取り上げられています。フランスの問題を身近に深刻に伝わらないために、理想化してしまうのかもしれません。フランスでも、移民問題、宗教問題、失業問題、人種問題などなど目白押しの問題があります。
今の私が考える、日本の20年後ぐらいの将来はこんな感じだ。この予測はどれもあり得無さ過ぎて冗談かと思います(実際、海外での活躍を推奨する著者が意図的に極論を書いているんだと思いますが)。簡単に反論しておくと、ベストケースでは日本はフランスみたいにはなれないです。EUの様に連合での主導的立場を貫き、EUの影響力をバックにアメリカと対等な立場に立とうと企て、国連常任理事国に名を連ね国際問題に嘴を突っ込み、フランス語圏の影響力を使って国際的地位を有利するような戦略を日本が出来るはずもありません(そして核兵器を保有したり)。ベースケースでは、金持ちは誘拐を恐れて暮らすとありますが、そんな国はめったに無いんじゃないでしょうか。2009年現在一人当たりの収入ではかなり金持ちの国が、たった20年で収入が中位ぐらいの国(フィリピン、ハンガリー、チュニジアなど)になることが想像できないだけでなく、それらの国でも誘拐が深刻な問題なのかどうかはよくわかりません。ワーストケースは、第一次世界大戦の賠償金でハイパーインフレに陥ったあげくに、ヒトラーのナチスの台頭を許した事例(ドイツのインフレ - wikipedia)を言っているのかもしれませんが、率直に言って7桁もインフレになるような破滅的事態はそうそう起こらないでしょう。やっぱり全て極論か冗談なんだと思います。
- ベストケース:一世を風靡した時代の力は面影もなく、国内経済に活力はないが、飯うま・割と多くの人がそれなりの生活を送れ、海外からの観光客は喜んで来る(フランス型)
- ベースケース:貧富の差は激しく、一部の著しい金持ちと、未来に希望を持てない多くの貧困層に分離、金持ちは誘拐を恐れて暮らす(アルゼンチン 型。あの国も19世紀終わり頃には「新たな世界の中核を担うのはアメリカかアルゼンチンか、と言われたほどだったんですけど・・・・)
- ワーストケース:閉塞感と絶望と貧困に苛まされる層が増加、右傾化・極端で独りよがりな国粋主義の台頭を促す。
僕が想像する日本の未来は、日本人全体が危機認識を共有したときに日本が立ち直るという未来です。例えば、150年前に開国した時のように、中国、インド、フィリピン、ベトナム、インドネシアが植民地化され、日本自体が植民地化の危機に立たされた時のように危機を脱出する方向に全員が行動するイメージです。明治維新では西郷隆盛、坂本龍馬のような優秀な人材が大量に出現しました。結果、開国からたった37年で日清/日露戦争に勝利を収めるまでになりました。また、日本中が焼け野原になり0からの出発となった日本は、戦後約25年で国内総生産(GDP)で世界第二位になった後、ずっとその地位を守っています。このときにも、戦後の舵取りを誤らなかった吉田茂や池田勇人などの優秀な人材が出ています。
日本では危機になると優秀な人材が出てくるように見えるほどです。これに対する僕の仮説は、「日本では常時優秀な人材が実はウヨウヨいるけど、平時には親の七光りやお調子者が幅を利かせていてなかなか表に出て来れないが、全員が危機を認識すると優秀な人材に指揮権が委譲されるのではないか」というものです。危機になると偶然優秀な人材が湧いてくると考えるよりも自然だと思います。
ここで、最初に紹介したエントリに戻ると、1の日本は立ち直れないというのは間違いで、2の個人が海外進出を考えるべきというのは賛成です。平時に親の七光りやお調子者に隠れて能力を発揮できない優秀な人々は海外に出て正当な評価を求めるのも手な気がしています。そして、日本人が危機を認識すれば、日本でも本当に優秀な人にお鉢が回ってくる社会が出現すると思います。その時は、一度日本を出た優秀人々も日本のために役立ってあげてほしいものです。最後に、最近見た悲観的な観測で広く読まれているエントリです→希望を捨てる勇気 - 池田信夫 blog。
追記2:
楽観論をちょっと修正したフォローアップ記事を書きました→日本をもっとダメな国だと思い危機感を煽りましょう。
追記:
上記のエントリはたくさんのブログで引用されているようです。どれも面白いので、興味のある方はどうぞ。
- 国内で協力して助け合おう | Kousyoublog
- AWESOME FUTURE - Ockham’s Razor for Engineers
- SimpleBoxes | 日本に居続けることのリスク
- 日本を脱出した人のことは置いといて、そろそろ誇りある撤退戦の準備でもはじめましょう
- 卑屈…けど、立派な考え方。 - Adukan
- 世界級ライフスタイルのつくり方 - どうせ痛い思いをするなら早めにしよう
- 404 Blog Not Found:日本に留まりたかったら、一度は留学しておくべき
- 沈む日本 - カレーなる辛口Javaな転職日記
- 広がっている「日本」にアイデンティティを持とう - アンカテ
- ふぇみにすとの雑感 - 経験している「アメリカ」の違い
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国際関係
>移民問題、宗教問題、失業問題、人種問題などなど目白押しの問題があります。
だから、「立ち直れない」中でのベストケースシナリオなんです ;)
Chikaさん、コメントありがとうございます。
立ち直れないケースの中では、他の二つより断トツでいい感じでしたね。極論では詳細は無視すべきだったかもしれません。
エントリーでの問題提起もありがとうございました。エントリーでも述べましたが、日本人全体で危機意識を共有することが重要だと思うので、広く読まれているChikaさんのエントリーが、刺激になって日本をいい方向に変えるといいですね。これからも、どんどん面白い問題提起をよろしくお願いします。
確かに言われてみると、日本はピンチになった際に一挙に優秀な人材が現れ急激な立ち直りをよく見せていますね。
これなんか私が常日頃思っていることですが、日本人は意外に節操がなくて、世の中が急激に変化する際にそれほど反動のような巻き返しを起こさずに現実を受け入れてしまうところがある気がします。
逆に中国なんかは改革時の反動が強過ぎて、傍目にも平時は強いのにピンチに弱いのかもしれません。
ピンチになっている認識があると思えない以上
>僕が想像する日本の未来は、日本人全体が危機認識を共有したときに日本が立ち直るという未来です。
というより
日本人全体が危機認識を共有したときに日本が立ち直るという未来「になればいいね」
です。
それは自戒を込めて書けば、けっきょく
>日本はピンチになった際に一挙に優秀な人材が現れ急激な立ち直りをよく見せていますね。
という客観的というか 他人事なコメントが出ている中では生まれてこないからです。
残念ですが。
花園さん、
確かに中国は危機に弱いかもしれませんね。西洋が強かった近代は中国ではつらい歴史が長いですね。アジアが軌道に乗ってくると、中国が自信を持ってプレゼンスを発揮できるのかもしれませんね。
ろーりんぐそばっとさん、
正直に言うと、ここに書いたのは楽観的すぎると思っています。Chikaさんのエントリーで言うベストケースにあたると思います。それでも、紹介したエントリの荒唐無稽な未来よりはあり得るとは思います。
客観的/他人事のコメントは冷静さの現れということにしたいところですね。
まっ、大丈夫でしょう。この国には優秀な科学者が一杯います。ノーベル賞の受賞者は十人を超えていますが、隣の中国では人口が10倍以上にも関わらず、まだ二人しか輩出していません。韓国はいまだゼロです。
19世紀以降は、科学の力が国家の経済力も軍事力も決定します。人口や資源の量ではありません。
ヨーロッパ人に食いついていける科学力があるのは、日本人だけです。日本人にはアジア人には見られない徹底性がありますからね。
19世紀後半の日本人の総合的な科学技術力は、ロシアに勝り、独英米仏より少し下というところでしょう。現在は、米英独日といったところでしょう。機械やエレクトロニクス分野では同等か部分的には優れていると思います。航空機生産だって、本気になれば、5年でアメリカを脅かせますよ。化学分野でも、50年前に比べれば、差はかなり縮小しています。生物、医学は弱いので残念ながら、欧米の製薬業界を脅かすまでにはいたっていませんが。弱いのは、情報工学分野ですね。理論だけではなく実験を伴うような分野では今後も負けることはないでしょう。
他のアジア人科学者が日常的に書いている論文を読む限り、まだ彼らは日本人には追いつけてません。
優秀な科学者がたくさんいるのは同意です。アジアでは日本のノーベル賞受賞者が突出していますね。
アジア諸国のノーベル賞の数 - 教えて!goo
総合的な科学技術力は日本はかなりいい位置にいることは間違いないですが、独英仏日など米国以外に順位を付けるのは難しい気がします。アメリカだけが超大国で、それ以外は個々の分野で米国と渡り合える実力があったとしても、総合力ではまったく米国には及ばないという感じでしょうか。
情報工学専攻としては、情報工学分野が弱みというのは申し訳ないです。:)
でもIPv6やモバイルの分野では日本は最先端の一部だと見なされていると思いますよ。