「もうそろそろ日本はもうダメだと言わなくてもよい
」で述べたように日本は経済的には大成功しています。しかしながら、「怠け者同盟の社会は人類の未来
」で述べたように、怠け者同盟の社会というコンセプトを未来の社会とすると、日本の達成度は、低いと言わざるを得ません。
日本では、「ニートの海外就職日記」に書かれているようなブラックな会社が労働者に対し暗にサービス残業や休日出勤を強制しつつ、日本の製品の国際的競争力を押し上げているという側面もあります。過去、日本は限り無ない”自由”な競争によって全体の富を拡大するアングロサクソンモデル(米英)を忠実に踏襲してきたと言えます。
」で述べたように、怠け者同盟の社会は、グローバルな競争において働き者の社会に勝つことはできません。対抗の手段は、1.仲間を募って同盟を拡大し、2.世界を説得する論理を創り出すことでした。「怠け者同盟の社会と働き者の社会の間の競争の中のフランス
」に書いた通り、フランスは他国に理念を波及する放射型外交であるのに対し、日本の外交方針は妥協型外交です。日本はある問題を解決するために、自らを変える国だと言えます。
例を挙げると150年前、日本が開国したとき世界は、”進んだ文明が遅れた文明を教育することが人道的に正しい”と考えられた帝国主義の時代でした(「白人の責務」 (The White Man's Burden) など)。日本は西洋の決めたこのルール素早く理解し、自らを変化することにより開国からたった37年で日清/日露戦争に勝利を収めるまでになりました。善悪は別として、日本はこの時代のルールにおいて大成功を収めたわけです。また、60年前の敗戦後に西洋が決めたルールは、自由主義的な市場経済のルールでした。日本中が焼け野原になり0からの出発となった日本は、戦後約25年で国内総生産(GDP)で世界第二位になった後、ずっとその地位を守っています。日本はこの時代のルールおいても優秀なプレイヤーだったと言えます。
日本は、西洋が決めた西洋に都合のいいルールにおいて、成功することの出来た唯一の非西洋の国でした。日本は思想から自由なために、一度コンセンサスを得れば、その時代のルールに則って実利本位で自由に社会を改革することが可能な強みがあります。
過去を考えれば、150年前には”進んだ文明が遅れた文明を教育すること”が人道に適うこととされ、60年前には”自由主義的な市場経済によって全体の富を増大すること”が人々を幸せにすると主張されました。どちらも強者の西洋が、弱者のそれ以外の国を支配する試みだったと言えます。アジア、南米の台頭に危機感を覚えた西洋は、”怠け者ルール”を使って、またもや自分たちに都合の良いルールに変更しようとしている側面もあります。
良いニュースは、世界が怠け者同盟の社会の理念で統一されれば、日本は西洋に劣悪な労働環境を非難されることになり、”外圧”によって劣悪な労働環境からくる社会問題を解決できることです。劣悪な労働環境で生産された製品がEU市場から排除されるような事態になれば、どの企業も改革に乗り出します。さらに、150年前や60年前とは違い、日本は西洋と同じ強者の側にいる点も、見逃せない良いニュースです。ついでに、この解決法において、日本の政治家に期待する必要の無いことも、良いニュースと言えるかも知れません(泣)。
」に書いた通り、将来、自由主義的な市場経済への風当たりが強くなった時や、非人道的な労働への圧力が強まったときなど、だと言えるだけです。
独力で世界を変える力の無い日本は、外圧を待ちつつ、国内の産業の国際競争力を維持するために現状の自由競争路線を維持するのが、取りうる最善の策だと思います。
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日本では、「ニートの海外就職日記」に書かれているようなブラックな会社が労働者に対し暗にサービス残業や休日出勤を強制しつつ、日本の製品の国際的競争力を押し上げているという側面もあります。過去、日本は限り無ない”自由”な競争によって全体の富を拡大するアングロサクソンモデル(米英)を忠実に踏襲してきたと言えます。
他国への波及なき怠け者モデルは机上の空論
日本で怠け者同盟の社会が達成できないのには、ハードワークを美徳とする風土や、労働力の低下を恐れる経団連の意向など、いろいろとあるとは思いますが、一番大きい問題として日本が自国の理念を他国に波及する力を持っていないことが挙げられます。「怠け者同盟の社会が働き者の社会に対抗する手段放射型外交のフランスと妥協型外交の日本日本では怠け者ルールを適応すると、グローバルな競争の中で一人負けを喫する危険があるのです。怠け者の社会が未来の理想と言っても、自国だけが貧しくなっていく恐怖に打ち勝てる国は無いでしょう。特に日本はその恐怖の強い国だと感じます。現状の日本においては、思い切った怠け者ルールの適応は不可能です。「ニートの海外就職日記」のスローガン”クソ労働環境を変える!俺たちの声で社畜の目を覚まさせようw!”の考え方には賛同しますが、根本的な解決は難しいように感じています。
「妥協型外交」(politiques étrangères de compromis)とは、過去の経験が桎梏(しっこく)となり、世界との関係において何らかの思い切ったことをしようとする時に、国内のコンセンサス形成に困難が生じる国の外交をさしており、ドイツと日本がこれに該当する。(P.50)
実利重視の日本、思想から自由な日本
世界を説得する理念の構築と波及ができない日本では、グローバルな競争において一人負けする可能性のある未来の社会を、世界に先駆けて作ることは不可能です。しかし、この点が日本の長所でもあるのです。つまり、世界を説得する理念を持たない日本は思想から自由なために、一度コンセンサスを得れば、実利本位で自由に社会を改革することが可能です。日本人は世界のルールを素早く理解し、自らを変化させる能力が高いようです。例を挙げると150年前、日本が開国したとき世界は、”進んだ文明が遅れた文明を教育することが人道的に正しい”と考えられた帝国主義の時代でした(「白人の責務」 (The White Man's Burden) など)。日本は西洋の決めたこのルール素早く理解し、自らを変化することにより開国からたった37年で日清/日露戦争に勝利を収めるまでになりました。善悪は別として、日本はこの時代のルールにおいて大成功を収めたわけです。また、60年前の敗戦後に西洋が決めたルールは、自由主義的な市場経済のルールでした。日本中が焼け野原になり0からの出発となった日本は、戦後約25年で国内総生産(GDP)で世界第二位になった後、ずっとその地位を守っています。日本はこの時代のルールおいても優秀なプレイヤーだったと言えます。
日本は、西洋が決めた西洋に都合のいいルールにおいて、成功することの出来た唯一の非西洋の国でした。日本は思想から自由なために、一度コンセンサスを得れば、その時代のルールに則って実利本位で自由に社会を改革することが可能な強みがあります。
怠け者の理想は「西洋に都合のいい口実」という側面
ひるがえって、未成年の劣悪な労働環境など、一定基準を満たさない新興国の労働環境を非難できる”怠け者ルール”は、既に先進国となった西洋が途上国の必死の頑張りによる追い上げを封じることのできる西洋に都合のいいルールとも言えます。人々がより幸せに生きるという人道に適った理念は、実は途上国の発展に足かせをかける途上国に不利なルールです。過去を考えれば、150年前には”進んだ文明が遅れた文明を教育すること”が人道に適うこととされ、60年前には”自由主義的な市場経済によって全体の富を増大すること”が人々を幸せにすると主張されました。どちらも強者の西洋が、弱者のそれ以外の国を支配する試みだったと言えます。アジア、南米の台頭に危機感を覚えた西洋は、”怠け者ルール”を使って、またもや自分たちに都合の良いルールに変更しようとしている側面もあります。
何もできない日本、何もしなくていい日本
理念の構築と波及が苦手な日本、ルールの理解と適応が得意な日本、という二つの要素から導かれる結論は、日本にとって悪いニュースと良いニュースです。悪いニュースは、日本がブラックな会社に代表される劣悪な労働環境を劇的に改善するのは難しいという点です。理念の構築と波及ができない日本は、怠け者ルールで自国だけが貧しくなる恐怖に打ち勝てません。さらに言えば、日本が万が一、世界に先駆けて怠け者同盟の社会という先進的な社会を作り上げたとしても、世界を説得する論理を作れるとは思えないのです。世界の国々はその理念なしでは、日本に誕生した先進的社会を信用しないでしょう。せいぜい極東の島国で偶然成り立った社会だと見なすことでしょう。そして、他国に理念を波及できなければ、自国だけが貧しくなります。良いニュースは、世界が怠け者同盟の社会の理念で統一されれば、日本は西洋に劣悪な労働環境を非難されることになり、”外圧”によって劣悪な労働環境からくる社会問題を解決できることです。劣悪な労働環境で生産された製品がEU市場から排除されるような事態になれば、どの企業も改革に乗り出します。さらに、150年前や60年前とは違い、日本は西洋と同じ強者の側にいる点も、見逃せない良いニュースです。ついでに、この解決法において、日本の政治家に期待する必要の無いことも、良いニュースと言えるかも知れません(泣)。
「外圧を待ち、それまで現状維持」が最善の策
ここで問題となるのは、何時の時点で”外圧”がかかるかということです。それは、分かりません。「怠け者同盟の社会と働き者の社会の間の競争の中のフランス独力で世界を変える力の無い日本は、外圧を待ちつつ、国内の産業の国際競争力を維持するために現状の自由競争路線を維持するのが、取りうる最善の策だと思います。
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