Quiberon, France
「議論後に議論前の結論に至ることにも価値がある このエントリーを含むはてなブックマーク」で述べた普天間基地の移設問題は、方針が二転三転していることを迷走ととらえて問題視する意見が多いようです。前エントリでは、首相は迷走しているように見せかけるためにわざとやっているという説を述べました。どこにも角を立てずに対米従属から離脱するにはなかなか聡明な案だと思います。

このエントリでは、前エントリに寄せられた反応を見て、噛み合ってない認識のズレを分析して紹介しようと思います。ずれてるポイントは1)首相は馬鹿、2)普天間は大問題、3)迷走を世界が笑ってる、だと思います。

鳩山首相は馬鹿

これが一番びっくりしたのですが、反対意見をいう人の殆どが、首相は馬鹿だと信じていることです。いつも冷静なブロガーなども、問題の結論として何故か首相は馬鹿だからという理論を持ってきています。僕はこれはどうしても信じられません。政治や外交のことなんて専門的にやった事が無い僕が、何十年も専門的に仕事をしてきたプロフェッショナルよりも、かしこい選択に辿りつけるなんて信じられません。

さらに馬鹿だからと言うのは説明としても成立していません。これを理由にするのは便利すぎるからです。例えば、
  • 日本人はなんで子供を生まないの? →馬鹿だから
  • アメリカ人はなんで中東で人を殺してるの? →馬鹿だから
  • フランス人はなんで五時に仕事終わるの? →馬鹿だから
  • 欧州はなんでひとつの国にならないの? →馬鹿だから
  • 中国人はなんで言論封殺を許容しているの? →馬鹿だから
  • 韓国人はなんで竹島を自国領って言いはるの? →馬鹿だから
  • 北朝鮮はなんで独裁政権が治めてるの? →馬鹿だから
  • ニートはなんで引きこもるの? →馬鹿だから
  • ...(略)...
一種の思考停止だと思います。日本ではおそらく首相をバカにした報道がなされているのでしょうが、これほどまでに皆が首相は馬鹿だと思い込んでいるのはちょっと怖いです。前エントリでは、「善意の愚者が意図せず事態を混迷させてしまった」と解釈されるのが鳩山首相にとっては最も都合が良いと書きました。なぜ意図的にやっている可能性を考えないか逆に不思議です。

普天間基地問題は宇宙の大問題

フランスから見ると日本は遠い国です。フランスはパリ以外は田舎って言われるぐらいにほとんどが人がいない土地です。世界最速を新幹線と競う弾丸列車TGVでも何時間も下の写真のような平野が延々と続きます。こんな広大な平地を東に抜けるとドイツがあります。その東には東欧諸国があります。その隣にはロシアがあって、いろいろ揉め事のある中東があります。その向こうにはインドがあって、さらにその向こう側には信じられないぐらいでっかい国、中国があります。そしてその先は海です。その海には寿司と漫画の国、小さな日本が浮かんでいて経済的に豊かで治安がいいらしい。これが一般的なフランス人の感覚です。
フランス人達にはそんな感覚でしょうが、僕にとっては重大な関心事です。太平洋に日本列島が浮かんでいなければ、宇宙がどれだけ大きかろうが、その中にどれだけの数の星があろうとも、全く関心が持てません。まさに、僕にとっては日本の問題は宇宙の大問題なのです。なので、世界の皆ががそう考えてると勘違いしがちですが、そう勘違いしては問題を取り違えます。

米軍は依然として圧倒的に世界最強です。米軍基地がどちらに数十キロ移動しようが、形勢にたいした変化はありません。日米が多少ぎくしゃくしようが、民主主義、市場経済システムを共有している国同士の信頼関係に大きな状況に変化はありません。米軍基地がどこになろうと世界情勢にとっては、ぶっちゃけ大した問題ではないのです。そして当事者のアメリカ自身も無関心でしょう。アメリカは外国のことには関心持ちませんし、真珠湾や貿易センタービルの攻撃みたいな、国民全員が奮い立つような理由が無い限り、アジアなんて特に関心外でしょう。アメリカはそういう国です。

鳩山政権の迷走を世界が笑っている

鳩山政権の迷走を世界が笑っているように言っている人がいますが、これもほとんど間違いです。世界のニュースというと英語を翻訳して、世界を知った気になっていますが、米国、英国経由の情報なんて、まさに相手側の当事者の言い分を聞いているだけです。そりゃあ、自分たちが不利になるような判断に否定的に報道するに決まっています。米国メディアが鳩山首相のことをLoopy(Alc辞書)と呼んだそうですが、偉大な大国のおおらかさが感じられず、衰退する大国の焦りしか感じません。一言コメントするなら、「米国必死だなwww」ですね。

英語のニュースをすぐに世界の人の標準的な声だと勘違いする人がいますが、英語のニュースだって日本語のニュースやフランス語のニュースと同じぐらいに、世界を色眼鏡で見ていることには変わりありません。下のビデオのようにアメリカ人はアメリカのニュースが偏っていることに意識的になっていますが、日本人はその色眼鏡に意識的になれていません。その結果、アメリカの意見が世界の意見のように見えてしまっているのです。下のビデオは「view subtitle」を押せば日本語の字幕が出せます。



相手側の当事者である米英以外のメディアで日本の判断を笑っているものはありますか?僕はフランス語が読めるのでちょっと見たところ、首相を馬鹿にしておちょくっているような記事は見当たりませんでした。

L'île japonaise de Toku mobilisée contre la venue des marines - LeMonde.fr
4月10日、日本の徳の島、海兵隊のに反対する招集
Nouvelle manifestation contre la base américaine d'Okinawa - LExpress.fr
4月25日、沖縄の米軍基地に対する新しいデモ
Japon: le Premier ministre Hatoyama renonce à déplacer une base américaine d'Okinawa | 24 heures
5月4日、日本:鳩山首相は沖縄米軍基地の撤収を諦める
Le Premier ministre japonais renonce à retirer une base américaine d'Okinawa - LExpress.fr
5月4日、日本の首相が沖縄の米軍基地の撤退を諦める

普通に考えれば、米軍基地が自国に存在する意味を自分で考えられて、その損得勘定を自分で分析出来る国のほうが賢いでしょう。いつまでも日本に従順でいて欲しいと考えている米英以外に、やっとまともな賢い国になれそうな状況を馬鹿にする国があるはずが無いのです。

まとめ

日本には米国の基地が必要だとする人から見るとこのエントリはどのように見えるでしょう。そんなにお得なモノなら置いてあげてもいいけど、どんな利益があるかは明らかにしてから置いて欲しいですね。やっぱり必要だっていうなら、必要なことがわかった進展です。まさに「議論後に議論前の結論に至ることにも価値がある このエントリーを含むはてなブックマーク」です。

対米従属から抜ける怖さと言うのは、自転車の補助輪を外す怖さみたいなものではないでしょうか。「支えておいてあげるから自転車をこいでごらん」と父親に言われて、こぎ始めたら父親が手を離したような怖さです。最初は怖いかも知れませんが、いつまでも補助輪に頼っていてはいけませんからね。練習するしかありません。これが前エントリで「四年間いろいろ考えてみればいい」と締めた理由です。聖徳太子は「日出る処の天子、書を日没する処の天子に致す」と国書して、中国と対等な関係を望み中国を怒らせ、華夷秩序からの離脱を果たしました。アメリカと対等な関係を望みアメリカを怒らせるのは怖いですか?父子のような特別な関係から普通の親友へ、徐々に慣れていかなければならないでしょう。

以下、関係するエントリを紹介します。

鳩山首相は馬鹿という結論の記事:
英語メディアの色眼鏡を間に受けている記事:

軍事的見地から見た記事:

「混乱」に理解を示す記事:

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Colmar, France
「議論後に議論前の結論に至ること」といえば、鳩山政権だと思われているでしょう。そして多く人が、これを否定的にとらえていると思われます。しかし、民主党が政権をとったのは、まさにこれをやるためだったはずです。

このエントリでは、まず保守政権(=自民党)がやるべき事と、革新政権(=民主党)がやるべき事を整理してから、迷走を続けているように見える民主党の懸案事項である、普天間基地問題を取っ掛かりに民主党がやろうとしていることを考えていこうと思います。

保守は今の山を登り、革新は登る山を探す

去年日本では、戦後長らく続いた保守政権=自民党がついに倒れて、革新政権=民主党になったという構図があります。前者を右派、後者を左派とも呼べますが、いろいろな意味がついてしまっているので、無難に手垢のついていない言葉では、前者を既定路線派、後者を新規路線派と呼ぶとわかりやすいかも知れません。

保守と革新の話は、登山に例えると分かりやすいと思うので紹介します。国民はなるべく高いところに登りたいのですが、高く登るには二つの方法があります。一つは、傾斜が上に向いている方向に進むことです。こうすれば絶対に今より高いところへと進んでいくことができ、国民は満足します。もう一つの方法とは、今登っている山が一番高い山かどうか考えることです。歩みを止めて周りを見回して考えてみます。今登っている山より高い山があれば、そちらを登り始めます。高い山を見つけたとしても断崖絶壁では登れませんから、想像力を働かせて登れるかどうか考え、登るにはどうしたらいいか知恵を働かせる必要があります。

もうお分かりかも知れませんが、何も考えず傾斜が上に向いている方向に進むのが、保守政権=既定路線派で、歩みを止めて周りを見回して考えをめぐらすのが革新政権=新規路線派です。日本は戦後60年、傾斜が上になっている方向にだけ進んでいけば良い時代でしたが、もうそろそろ自分が登っている山が一番高いか考えなおす時代が来ているのです。重要なことは、とにかく高い方へと登山している人から見れば、歩みを止めて自分が登ってきた山が一番高いかどうか考え直している人は怠慢にしか見えません。また、その山より高い山が見つかって今登ってきた山を降り始めれば、状況が悪化しているようにしか見えません。

下山しなければならない状況では「市民が望んでないことを実現するリーダーが必要 このエントリーを含むはてなブックマーク」で書いたような、民意を汲まないリーダーが必要とされます。なぜなら、幕末の開国や、欧州の統合などの既存の枠組みを変えた試みでは、リーダーが現実を変えた後に大衆の意識が変わることが常だからです。

「普天間、善意による混迷」

この見出し(↑)は、普天間、善意による混迷 - リアリズムと防衛を学ぶ 普天間、善意による混迷 - リアリズムと防衛を学ぶから借りてきました。このエントリには以下のようにあります。
そして挙句の果てに落ち着いた政府案は、政権交替前の旧案を手直ししたもので、結局沖縄県内となりました。
これは、登山の比喩で考えると何の問題もありません。歩みを止めて周りを見回して見た結果、自分たちが登ってきた山が一番高かったので再び登り始めたということです。議論して検討した結果、元の結論に戻ることは何の問題もないのです。むしろ議論なしに話を進めてきた結果が、結局正しかったことがわかって安心するぐらいのものです。

しかし、「台湾海峡での有事に飛ぶには沖縄が都合がいい」ぐらいの論理を鳩山首相が気付かなかった可能性はありえません。僕でもわかるぐらいですから。僕は、政治を専門に勉強したことも無い理系の学生で、衆議院議員の立候補はおろか政治活動に携わったことがもありません(そもそも被選挙権25歳から2年ちょっと経ったぐらい)。片や鳩山首相は衆議院議員当選8回の大物で、何十年も政治だけを専門にやっています。さらに理系の博士課程で悪戦苦闘している僕と、既にスタンフォード大で理系のPh.D取得済みの鳩山首相では知性の点でも比べものにならないでしょう。客観的に見て僕にもわかるようなことは、鳩山首相には立ちどころにわかっているはずです。

そう考えると、今回の鳩山首相の行動は意図があってやっているに違いありません。この場合考えられるのは、普天間では混迷させることそのものが目的だった可能性です。鳩山首相は、対米従属という日本が60年間一環して登ってきた山で歩みを止めて周りを見回してみたのみならず、もう既に下山し始めていると言った方がいいでしょう。「対米従属を止めました」というのは多方面に角が立つので、それ以外の方法でやるとなれば、事態を混迷させるのが賢明です。移転移転と騒ぐってことはぶっちゃけ基地は邪魔ですって言っている解釈していいでしょう。こういうふうに考えると、普天間、善意による混迷 - リアリズムと防衛を学ぶで言われているように、「善意の愚者が意図せず事態を混迷させてしまった」と解釈されるのが鳩山首相にとっては最も都合が良いことです。つまり、下山してしまっているのは、わざとではなく、愚かゆえの失敗だと言う印象を与えられるからです。角が立たない聡明な方法だと言うしかありません。
この案を敢えて再検討を試みたのは、たとえ面倒事を起こしてでも沖縄の負担を軽減したい、という善意の気持ちゆえだったのではないか、と私は思います。

四年間いろいろ考えてみればいい

普天間問題だけで終わってしまうと、ただ単に対米従属反対を言っているように思われてもいけないので、鳩山政権の懸案事項も同じ構図で触れておくことにします。

例えば、事業仕分けは、60年前に登ると決めた科学立国という山を登るために必要な、膨大な研究費をすべて出す必要があるのか検討しています。研究者としての立場からすると、研究費が減らされるのは困りますが、その研究が必要であることが主張できないようでは減らされてもしょうがないと思います。逆に、周りを見回してみた結果、全てのプロジェクトが日本にとって必要不可欠であることが分かれば、自民党時代と同じように全てのプロジェクトにお金を出すことになります。それは、議論の失敗ではなくて、すべて必要なことがわかったという成功です。議論後に議論前の結論に至ることにも価値があるのです。

友愛の話でも、子ども手当ての話でも自民党時代に決まった既定路線を見直して新規路線を作り出す努力をすることは今の日本に必要なことではないでしょうか。議論後に議論前の結論に至ることになっても、既定路線が正しかったことが分かればそれはそれで進展です。4年間ぐらい試行錯誤してみればいいのではないでしょうか。

追記:
鳩山さんが首相であり続けることが国家安全保障上の問題: 極東ブログ 鳩山さんが首相であり続けることが国家安全保障上の問題: 極東ブログとその反応を見る限り、今まで登っていた対米従属の山が最善だと信じている人が多いように思います。そうすると、違う道を探すこと、または下山することを状況の悪化としか認識できないでしょう。普天間基地問題は、愚者が意図せず失敗したと言う視点以外で、見てみる必要があるように思います。
追記2:
鳩山発言にネットユーザー失望! 「鳩は平和じゃなく馬鹿の象徴」 - ガジェット通信 鳩山発言にネットユーザー失望! 「鳩は平和じゃなく馬鹿の象徴」 - ガジェット通信を見ると鳩山首相は馬鹿って言うのが、大方の見方なんでしょうかね。もう一度言っておきます。→「善意の愚者が意図せず事態を混迷させてしまった」と解釈されるのが鳩山首相にとっては最も都合が良いことです。と

続きとして、普天間基地問題に関して寄せられた反応を見て、認識のズレを分析して 紹介しようと思います。ずれてるポイントは1)首相は馬鹿、2)普天間は大問題、 3)迷走を世界が笑ってる、です。→普天間基地問題における三つの勘違い このエントリーを含むはてなブックマーク
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Nice, France
2010年4月は3エントリを投稿して約29000PVでした。3月から4月にかけて1ヶ月以上もブログを書かない期間があったからか、6ヶ月ぶりの低水準でした。

ブログは盛り上がりませんでしたが、学業の方ではうれしいことがありました。欧州でITSに関する研究を行う若手研究者を対象にした賞のファイナリスト50人に選ばれました。さらに、ブリュッセルで開かれる会議で審査員と議論して、上位者には金銀銅のメダルが授与されるそうです。コチラの方も頑張っていきたいところです。

「Facebook のLikeボタンとShareボタンの使い方と付け方 このエントリーを含むはてなブックマーク」で書いた通り、記事を共有しやすいようにFacebookのボタンを付けることにしました。同エントリでは、現在53人がFacebook上でシェアしてくれていて、11人が「いいね!」と言ってくれています。これを見ると日本語のブログでもFacebookが流行ってくるかも知れませんね。この記事の場合は、記事をシェアしたい人の他に、どんなふうに動作するか確認したい人も押してくれているのだとは思います。ボタンと合わせて、Facebook上でのフランスの日々のページ「Facebook | フランスの日々」も合わせてよろしくお願いします。
記事の方では、友愛について触れたエントリの反響は少なかったですが、220年も国家のモットーとして友愛を掲げるフランスと、友愛が現政権のキーワードとなる日本を考える上でも重要だと思うので、もう少し触れて行けたらなと思います。

以下が4月の人気エントリです。これからも、このブログをよろしくお願いします。
  1. ベーシック・インカムよりも怠け者同盟の社会 このエントリーを含むはてなブックマーク
  2. もうそろそろ日本はもうダメだと言わなくてもよい このエントリーを含むはてなブックマーク
  3. 海外でもリアルタイムに日本のテレビを見る方法(無料) このエントリーを含むはてなブックマーク
  4. フランス語の勉強の仕方 このエントリーを含むはてなブックマーク
  5. 共通言語 による親近感が国家の代わりになる このエントリーを含むはてなブックマーク
  6. Re: ベーシックインカムについて批評してる面白いサイトを見つけたので突っ込んでみる。|堀江貴文オフィシャルブログ このエントリーを含むはてなブックマーク
  7. 怠け者同盟の社会の中で輝きを取り戻す日本 このエントリーを含むはてなブックマーク
  8. 世界にいい影響を与える国:ニッポン このエントリーを含むはてなブックマーク
  9. フランス人から見た日本特集『Un oeil sur la planète: Japon : le reveil du sumo ?』(1/2) このエントリーを含むはてなブックマーク
  10. フランス人から見た日本特集『Un oeil sur la planète: Japon : le reveil du sumo ?』(2/2) このエントリーを含むはてなブックマーク
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Parc de Sceaux, France
先月、FacebookのLikeボタン(日本語環境だと「いいね!」ボタン)が公開されたので、このブログでもつけてみました。

Facebookは日本ではあまり流行ってないのかも知れませんが、フランスではここ2年ぐらいでかなり流行ってきました。先週今週とパリから近いソー公園という花見スポットで、3回花見(←写真参照)に参加しましたが、3つともFacebookで告知が行われていました。パリでは暖かくなりこれからピクニックとかが増えてくると思いますが、facebookに参加しておくと呼ばれることも増えると思うので、オススメです。自分でピクニックとかパーティとかの通知をするのも、パリ周辺に住んでいる友だちリストにクリックひとつで通知できるので便利なのです。

また、各国から研究所に来るインターンシップ生が帰国しても、帰国後の近況を知れるのが嬉しかったりします。このエントリでは、今回このブログに導入したLikeボタンとShareボタンの違いなどを説明して、ブログに付ける方法を説明します。

全世界の4億人以上が利用するFacebook

Facebookをやっていない人のために少し解説しておくと、facebookはミクシィのような友達と近況を報告できるようなソーシャルネットワーキングサービスです。日本ではあまり流行っていない印象がありますが、ユーザが約100万人ぐらいと言われているそうです。Facebook ユーザーの実態とマーケティングにおける実力とは?:日経ビジネスオンラインによると
  • 全世界の4億人以上のアクティブユーザーの 50%はいつもログオンしている
  • 平均的なユーザーは130人のフレンドを持ち、13のグループ(コミュニティ)のメンバーに登録している
  • 毎週50億のコンテンツ(リンク、ニュース、ブログ投稿、ノート、写真など)が共有されている
  • 平均的なユーザーは毎月4つの企業や友人のページなどのファンになる
だそうです。

このブログのアクセスは8.5割ぐらい日本からなので、facebookを使っている人も少ないかも知れませんが、逆に日本でFacebookをやっている人は海外とのつながりが多い人だと推測されます。このブログの興味とも合うと感じるので、facebookのボタンも付けるにしました。各エントリの下にあるこれ(↓)のうち右の二つのボタンがFacebookのShareとLikeのボタンです。はてなブックマークやTwitterとは違い、見知らぬ人が付けたコメントを見ることはできません。
また、本文の右側に表示されているfacebook上のフランスの日々のページ「Facebook | フランスの日々」も合わせてよろしくお願いします。

LikeボタンとShareボタンの違い

先月公開されたLike(いいね!)ボタンと元からあったshare(シェア)ボタンのどこが違うか解説したページがありました→Facebook Like Button Vs. Facebook Share: Why I’m Keeping Both(FacebookのLikeボタンVS. FacebookのShareボタン:なぜ両方付けることにしたか)。

これによると、LikeボタンとShareボタンでは主に、1) 自分のページにできるリンクの画像の有り無し、2)コメント、3) Friendsへの通知、の点で違いがあるようです。

Likeボタンは
  • 自分のページに画像なしのリンクが出来る
  • コメントなし
  • Friendsへの通知が行われない(5月19日追記:Friendsのハイライトへの通知が行われず、最新情報へ通知される)
一方、Shareボタンは、
  • 自分のページに画像ありのリンクが出来る
  • リンクにコメントを付けられる
  • Friendsへ通知が行われる
となります。本ブログでも両方付けることにしました。

実際に試してみて自分のページを見てみると、Likeボタンを押したものは、画像下のようにシンプルなリンクが貼られています。一方、Shareボタンを押すと、ページの画像の上のようにコメントとページ画像、ページ概要を見ることができます。また、Shareボタンの方ではその記事に対してコメントやLike、Shareができます。

LikeボタンとShareボタンの使い方

まとめると、Likeボタンは自分への備忘録として残しておくような場合につかい、Shareボタンは友人に通知したり、自分の意見を言ったり、友人の意見を聞いたりしたい場合となります。ぜひこのブログにつけられているボタンも、どんどん押してくださいね。

Facebookでは英語を使っている人は、日本語のサイトをシェアするのをためらうかも知れません。実際、僕もfacebookは英語主体で使っています。友人との会話の場合は、相手に応じて、日本語、フランス語、英語を使い分けたりしています。それでも、トップページに流れる情報を見てみると、日本語、フランス語、英語のほかにも、僕は読めないアラビア語、韓国語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、イタリア語などなど、友人たちが使っています。

はてなは日本語、Diggは英語とサービスごとに言語が分かれていますが、facebookは世界の人が参加しているので、何語を使ってもいいはずです。翻訳しないと読めないページも有りますが、それはそれなりに楽しいものなのです。なので、このブログのように日本語の記事をシェアするのも問題ないと思います。いろいろな言語の人達が参加するfacebookではこれからどんな文化が花開くか楽しみですね。

Facebookのボタンのつけ方

Likeボタンのつけ方は「Like Button - Facebook Developers」にあります。iframeで付ける方法と、XFBMLで付けるやり方があります。XFBMLの方がコメント機能やタイトルの設定機能などすべての機能が使えるそうですが、実験してみたところ本ブログでは表示されたり表示されなかったりするので、今のところiframeを使っています。Bloggerのエントリー投稿画面にログインして、レイアウトの編集をクリック→HTMLの編集(ここで、ウィジットのテンプレートを展開をチェッ ク)→ボタンを貼付けたいところに、ボタンのHTMLを編集すればO.K.です。このブログでは、
<span class='post-icons'>
<!-- email post links -->
<b:if cond='data:post.emailPostUrl'>
<span class='item-action'>
<a expr:href='data:post.emailPostUrl' expr:title='data:top.emailPostMsg'>
<img alt='' class='icon-action' src='http://www.blogger.com/img/icon18_email.gif'/>
</a>
</span>
</b:if>
<b:include data='post' name='postQuickEdit'/>
</span>
</div>
の後に、以下のコードを貼り付けてあります。横幅90ピクセル、縦幅60ピクセルにしています。このボタンは読者が英語設定だとLikeと表示され、日本語設定だと「いいね!」と表示されます。日本語だと英語に比べて横幅が増えてしまうので、90ピクセル以下だとはみ出してしまいました。
<iframe allowTransparency='true' expr:src='&quot;http://www.facebook.com/plugins/like.php?href=&quot; + data:post.url + &quot;  &amp;layout=button_count&amp;show_faces=false&amp;width=90&amp;action=like&amp;colorscheme=light&quot;' frameborder='0' scrolling='no' style='border:none; overflow:hidden; width:90px; height:60px'/>
一方、Shareボタンは「Facebook | Share」で手に入ります。このブログでは、上のコードの近くに、以下のように貼り付けてあります。
<a expr:share_url='data:post.url' href='http://www.facebook.com/sharer.php' name='fb_share' type='button_count'>Share</a><script src='http://static.ak.fbcdn.net/connect.php/js/FB.Share' type='text/javascript'/>

Bloggerのアーカイブにはてなブックマーク数を表示する

ココからはfacebookとは関係ありませんが、本ブログでは何ヶ月か前から導入しているBloggerのアーカイブにはてなブックマーク数を表示する方法を書いておこうと思います。まず、上と同じように、Bloggerのエントリー投稿画面にログインして、レイアウトの編集をクリック→HTMLの編集(ここで、ウィジットのテンプレートを展開をチェッ ク)と進みます。それから<li><a expr:href='data:i.url'><data:i.title/></a></li>の部分を探し出して、以下のコードに置き換えれば、完了です。右の画像のようにブログアーカイブの後にはてなブックマーク数が表示されるようになります。
<li><a expr:href='data:i.url'><data:i.title/></a> <a expr:href='&quot;http://b.hatena.ne.jp/entry/&quot; + data:i.url'><img alt='このエントリーを含むはてなブックマーク' expr:src='&quot;http://b.hatena.ne.jp/entry/image/&quot; + data:i.url' style='border: none; padding: 0px;' title='このエントリーを含むはてなブックマーク'/></a></li>
関連:
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Vancenne, France
僕がフランスに来てから来月で3年ですが、その間に4人の内閣総理大臣が日本の指導者を務めています。3年前は日本の首相は安部氏でした。それから半年後、福田氏が首相になり、そしてその1年後に麻生氏が引き継ぎ、去年、「友愛」を掲げる鳩山首相の政権が誕生しました。現在、日本では友愛とはどういう概念なのかという議論があることと思います。

フランスはフランス革命以来、220年にわたって「自由、平等、友愛(Liberté, égalité, fraternité)」を国家のモットーとして掲げています。自由と平等は当時、革命的な概念だったのだと思われますが、現在はフランスを飛び出し、多くの人が理解する普遍的、常識的な概念として捉えられています。その一方、最後の友愛については常識的な概念には成りきれていません。それでも、当時のフランス人達が革命のドタバタの中で自由と平等だけでは足りないと感じ、友愛という概念を追加したのは聡明だったといわざるを得ません。現在日本で注目度が上昇中のキーワードである友愛については、フランス人たちの理解を知ってみる価値があると思います。

220年経っても達成されない超難易度「友愛」という概念

辞書で友愛を引くと、1)兄弟の間の情愛、2)友人に対する親愛の情。友情。と出てきます。他人のことを他人事と思わず、兄弟のように困ったときは一緒に困ってあげて、兄弟が喜んだら一緒に喜ぶような心持ちのようです。また、ジャック・アタリ氏はそのままズバリ、「友愛(Fraternité)」という本の中で以下のように書いています。偉く聡明な人が定義し、説明しなければならないということは、まだ普遍的な概念となりきれていないことを示しています。
Fraternité - Wikipédia
友愛とは各々が本当の兄弟に対するように他者に親愛の情を感じる社会的秩序と定義することができる。(略)友愛は、自然状態ではなく、文明のひとつの目標である。
« On peut essayer de définir la fraternité comme un ordre social, dans lequel chacun aimerait l'autre comme son propre frère. [...] La fraternité est un but de civilisation, pas un état de nature.»
人類はミトコンドリア・イブと呼ばれる共通の祖先を持っています。彼女の産んだ子どもたちは兄弟の間の情愛である友愛(Fraternité)を自然に持っていたでしょう。その次の世代も持っていたかも知れません。それから何世代もたった現在、人類は他者に対して自然に友愛を持つことはできなくなってしまいました。それどころか、自らに最も近い隣人に対して最も友愛から遠い関係を作ってしまいます。メロドラマ的な親族の争い、隣家との争い、隣町との争い、隣国との争いなどなど。この理由はハッキリしています。最も近い隣人とは、最も利害が対立するからです。自分と利害が対立する他者に対して、友愛なんて抱けないというのが根本的な問題です。

フランスではフランス革命当時、「自由、平等、友愛(Liberté, égalité, fraternité)」の標語が誕生して220年、10世代もの親から子供へ友愛の概念の説明が行われてきたにも関わらず、統一見解は得られていません。そう考えると、極東の島国で、お偉いさんが突然「友愛」を唱えても、長くて4年間の任期でそれを達成できるなんてことは、ありえません。荒唐無稽です。

現在のフランスでよく使われる「連帯(Solidalité)」

フランスでも達成できてない友愛へ向かって、現状を少しでも変える努力がなされています。それが「連帯(Solidalité)」です。連帯は市民が手と手を取り合って困難を乗り越える意味合いで使われます。例えば、強大な国王と一人ひとりの弱い市民では革命は起こせません。市民が手をとってことに当たる必要があります。これが連帯です。また、フランス名物のストライキも、資本家の従業員支配に対して、連帯して抵抗する意味合いがあり、これもSolidalitéの発露だと解釈されています。また、最近ではハイチの地震への義援金募集の標語にも「連帯」が使われていました。強大な自然の脅威に対して、一人ひとりが手をとって困難に当たらなければならないのです。Solidalitéには困ったときはお互いさま、協力しましょうといったニュアンスもあります。

「連帯」は2つの点で「友愛」よりも行動に移しやすい概念だと言えます。まず一つ目としては、具体的な脅威が設定されているために、各人が連帯の価値を理解しやすい点にあります。上の例では国王、資本家、地震となります。二つ目としては、具体的な脅威が明確なために、具体的な行動を伴いやすいことです。国王に投獄された人を支援したり、ストライキで従業員の要求を通したり、義援金を募集したりという行動が、「連帯」の発露として認識されます。逆に友愛とは具体的な脅威を設定ぜずとも、他者に親愛の情を持つことなので、難しいのです。さらに、他者に対して親愛の情を持った具体的行動というものも明確なものは無いので、難しいのです。「友愛」とは、具体的脅威を設定せずとも行われる「連帯」と言えるかも知れません。

(EUはアメリカ超大国の誕生とアジア諸国の台頭に危機感を覚えたヨーロッパの「連帯」とも言えるかも知れません。最終的には友愛を目指しているのかも知れませんが、現在は連帯どまりでしょう。)

日本の伝統的価値観「和を以て貴しと為す」

日本には、「友愛」と意味合いの近い価値観として、日本初の憲法にもうたわれた「和を以て貴しと為す」という価値観があります。これには、フランスで唱えられている「連帯(Solidalité)」には無い優れた特徴があります。それは、調和を重んじる心には、具体的な脅威を設定する必要がないという点です。「和を以て貴しと為す」という価値観は、なにか目的のために、争いをやめることではなく調和そのものを目的とする点が「連帯」とは違います。

それでは、「和を以て貴しと為す」という価値観を進めていけば、「友愛」に到達できるのかというと、そうではありません。「友愛」は他者に対する親愛の情ですが、「和を以て貴しと為す」は情愛とは無関係だからです。「和を以て貴しと為す」だと、「うーん、あいつ嫌いだから叩いてやりたいけど、調和が貴いから感情を抑えて、取り繕わなければならない」という事も有り得ます。「友愛」とは他者に対する親愛の情という人類の気持ちの持ちようを対象にしている点でずっと難しいものなのです。

まとめ

このエントリでは友愛に関係して、フランスでよく聞く「連帯」と日本の伝統的価値観である「調和」を絡めて考えてみました。まとめると友愛というのは、連帯と調和のはるか先にある概念で、達成するのはものすごく難しいということです。

友愛=他者に対する親愛の情
連帯=手と手を取り合りあうこと(脅威を必要とする友愛)
調和=争いの無い状態(親愛の情のない友愛)
現状の世界を覆う価値観で考える限り、達成する見込みのない概念だと言えるかも知れません。たかだか後50年ぐらいしか生きられない僕はおそらく、友愛が達成された世界を見ることはないと思われます。現状の世界を覆う価値観が完全にひっくり返る何かが起こらなければ、無理でしょう。核戦争で人類が15人になっちゃったとか、インターネットを越える通信技術で各人の感情が接続される世界が到来したとか...

それでも、隣国の中国・韓国にも自然に親愛の情が湧いてくる日本、アフリカで飢餓で死にゆく人々に親族のように親身になれる世界、というのを想像することには意味があると思います。つまり、友愛とは掲げることに意味があります。友愛とは方角を告げる北極星のような存在なのです。北極星がどのような星なのかは誰も知りませんが、そちらの方角が北だということは誰でも知っています。友愛を掲げておけば、我々がどの方角へ行こうとしているかということに関して、皆の意識を統一できます。

関連で、友愛をどう訳すか - Chikirinの日記
友愛をどう訳すか - Chikirinの日記を読んだ感想。
  • 友愛を「LOVE & PEACE」と訳すのはいいアイデアかと思いました。
  • 友愛を示すFraternityは、英語では心象の弱い言葉だそうです。米英(アングロ・サクソン)を見ている限り、友愛とは程遠いようなので、さもありなんという感じがします。フランス語ではFraternitéは国家のスローガンになるほど、心象の強い言葉です。米英と欧州大陸は意識の面でもかなりの差があります。
  • 米英に近いオーストラリア人はともかく大陸のイタリア人は勉強が足りていないように感じました...。隣国の標語ぐらいは意識しておいて欲しいですね。
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Eze, France
前エントリでは「大陸の人は国家は気持ちの持ちようだと思ってる このエントリーを含むはてなブックマーク」と書きました。人が人に感じる親近感を国家が成立していることへの根拠にしようという話でした。それでは次に、人が人に抱く親近感は何によって影響される割合が多いのかということが重要になってきます。これはフランスでは既に答えが出ています。フランス人はフランス語を喋る人に親近感を抱きます。もう少しいうと「フランス語をしゃべればフランス人として扱われる」と言えます。

日本では「日本語をしゃべれば日本人として扱う」とは言い換えられませんから、日本とはだいぶ違う感覚のように思われます。世界の多くの国は大陸の中で分割された土地にあるので、どちらかというとフランス人の感覚に近いのではないでしょうか。このエントリでは、人と人との関わりに言語が及ぼす影響について書いていきます。

フランス語をしゃべれはフランス人として扱われる

「フランス語を話せばフランス人として扱われる」というのは、完全に正しいとは言えませんが、フランスでは日本に比べるとこの傾向が強いです。なぜこういう事が起こるのかというと、フランスではフランス人同士において、人種や容姿や宗教、慣習、振る舞い方などの共通項が少ないため、言語がアイデンティティに占める割合が増えるからです。

このブログ を始めた2週間後にこういうふうに書いているので、参考にしてみてください。
フランスにおける言語の重要性 このエントリーを含むはてなブックマーク
フランス人はというと、白人、黒人、アジア人といった容姿の人が混在しているので、見た目では判断できません。また、宗教もカトリック、イスラム教などな ど広く普及しているので、普遍的な文化的な共有もありません。当然、両親や祖先の前提も何もありません。そうすると、必然的にフランス人というアイデン ティティにおける言語の割合が相対的に増えます。つまりフランス語をしゃべればフランス人という状態になります。もう少し正確に言うと、フランス語をしゃべればフランス人と見分けがつかなくなるということです。
これは、去年行われたCSA-パリジャンの調査でもハッキリしています。回答者の8割がフランスの国家アイデンティティはフランス語と答えたのでした。
Identité nationale: 60% des Français pour un débat: ParisMatch.com
(国家アイデンティティ:60%のフランス人が議論を支持)

60%のフランス人が国家アイデンティティの議論を支持しているとCSA-パリジャンの調査で示された。国家アイデンティティで最も多かったのは、回答者の80%が支持したフランス語、次いで共和国64%、次に三色旗63%、政教分離61%、公共事業60%、国家マルセイエーズ50%、移民受け入れ31%と答えた。

親近感を左右する共通言語

「フランス語をしゃべればフランス人」という感覚は、結構おかしな話です。僕はフランス語をしゃべっているときにも、フランス人になったとは思っていませんし、何語をしゃべろうとも日本人という意識は抜けません。しかしこのときでも、相手は自分の母国語をしゃべる人に対して、親近感を持つのです。もう少しぶっちゃけて言うと、この人とは分かり合えるかもしれないという思い込みがかすかに生まれる感じです。これはどんなに理屈くさい大人でも起こる普遍的な現象のように思います。というのもこれは人間の深いところに刻まれた刷り込みのようなものだからです。

例えば、知り合いの娘で4ヶ国語をしゃべる少女に合ったときの話です。ちなみに欧州ではこれぐらいはよくあることです。彼女の場合も、日本人の母とイタリア人の父の間に生まれ、家庭内の会話は英語、ベルギーに住み幼稚園ではフランス語を習います。少女は4ヶ国語をしゃべり、母親には日本語、父親にはイタリア語、幼稚園の先生にはフランス語と自然に使い分けます。僕と少女の間には3ヶ国語で意思疎通をする手段がありました。

知り合いに誘われ、その家庭には何日かおじゃまさせていただきました。少女とは散歩ぐらいはするけれども、僕が用があるのは両親なので、少女にはあまり構っていませんでした。少女のほうもいきなり家に見たことのない両親の友人が現れたら、少し警戒があるのは当然かもしれません。少女とはそれほど関わり合いがないまま、最終日を迎えました。最終日の帰る時間を待っているときに手持ち無沙汰で、少女の持っている日本語の絵本を読んであげることにしました。そして日本語で2,3冊読んだ後の彼女のなつき様は、ちょっとびっくりするぐらいでした。ひざに乗ったり、ぬいぐるみで遊んだり、さらに別れるときにはさみしくて泣かれるほどでした。

おそらくベルギーに住む彼女に日本語をしゃべりかけてくる人は母親を除くとそれほど多くないはずです。母親以外に日本語で絵本を読める人がいたのはちょっとした驚きのはずです。母親と同系統の言語を操る人の存在に安心したとか、親近感を感じたということがあるような気がするのです。

分かり合えるかもしれないという思い込み

自分が物心ついたときから母親が使っていた言語を使う人に対する親近感というのは、大人になっても一定の影響があるように思います。言い換えるなら、この人とは分かり合えるかもしれないという思い込みです。例えば日本人と日本人であれば、一言交わせば分かり合えるとか、目と目を見つめるだけで分かり合えるような気になる感覚が近いです。日本人とでは起こり、外国人とでは起こらない感覚があるなら、まさしくそれが親近感、もしくは分かり合えるかもしれないという思い込みです。これが、共通言語によっても引き起こされます。今後世界が相互理解を深めたとしても、共通言語による分かり合えるかもしれないという思い込み感覚は、最後まで残るでしょう。

「大陸の人は国家は気持ちの持ちようだと思ってる」ではフランス人は親近感を国籍の根拠としていました。中国人は、誰を信用するかは国籍と関係ないとしています。どちらも、自分の中に引き起こされる気持ちを重要視していることに変わりはありません。自分の中に引き起こされる感覚が共通言語によって左右される割合が大きいとすれば、国籍や今後国籍に取って代わる概念でも、言語が重要な要素になってくるのです。

最後に、共通言語をしゃべる人間に親近感を抱かざるを得ない人間の特性を理解すれば、言語を習得するメリットがひとつわかりやすくなります→言語を習得することによるネイティブとの心理的距離の接近させる効果を書いたエントリ「留学するのにフランス語は必要か」など。

また、英語が得意な人でも母国語をしゃべる魅力にはどうしても勝てません。こう理解すれば、「他人に英語をしゃべってもらうのは大変」で述べたように、相手にいつでも英語を期待するのは心理的負担が大きいことがわかります。

関連:
感想:
エントリの内容と関係しないのですが、CSA-パリジャンの調査で驚くことは、フランス人の6割が国家アイデンティティの議論に賛成というところです。ということは4割は議論に不賛成なのです。おそらくこれ は、国家アイデンティティを議論した結果、国家が定めるアイデンティティの公式見解が定められた結果、それらを支持しない人々への差別を助長してしまう恐 れがあるからでしょう。フランス共和国憲法の定めるところの「フランスは、非宗教 的、民主的、社会的な、分割し得ない共和国」という原則を守るため、国家アイデンティティの議論に不賛成という立場もありえます。

もう一つびっくりするのは、「移民受け入れ」を3人に1人がフランスの国家アイデンティティと回答していることです。「フランス の移民政策は成功しつつあるという認識 このエントリーを含むはてなブックマーク」 のように文化が混じり合って共通の価値観を作り出したという自負なのかも知れません。もしくは自身が移民、親族が移民、友人が移民などなど移民の受け入れ を国家アイデンティティとする土壌があるのかも知れません。
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Loire, France
3月は1エントリを投稿して約58500PVでした。今年一月と同じ過去最低タイの投稿数となってしまいました。

今日4月2日をもって、このブログ開始から満2年になりました。2年前、このブログを始めるときも日本の友人からの新年度の所属変更の連絡とか、花見の話題とかを見ていて、新しいことを始めたいと思って始めたのがきっかけでした。フランスでは4月は新年度という意識はありませんが、僕も当時関わっていたEUプロジェクトが完了して、気分的に落ち着いていたのも理由の一つだと思います。

今年の3月も同じように、現在まで2年間関わっていたEUプロジェクトが終わり、報告書執筆に追われていました。それも一因で、3月はブログやTwitterに割く時間があまり取れませんでした。また、本ブログの「日本の失敗産業と成功産業は間もなく融合する(通信と自動車)」で書いていたような話題で、欧州におけるITSの研究開発を紹介する機会をいただき、100ページ近くの報告書にまとめました。まもなくWeb上のどこかで公開さます。結論の部分など、このブログでも触れられたらなと思います。

今月のアクセス数の上位10エントリです。これからもこのブログをよろしくお願いします。
  1. Re: ベーシックインカムについて批評してる面白いサイトを見つけたので突っ込んでみる。|堀江貴文オフィシャルブログ このエントリーを含むはてなブックマーク
  2. ベー シック・インカムよりも怠け者同盟の社会 このエントリーを含むはてなブックマーク
  3. ホ リエモン進化論 このエントリーを含むはてなブックマーク
  4. 大陸の人 は国家は気持ちの持ちようだと思ってる このエントリーを含むはてなブックマーク
  5. も うそろそろ日本はもうダメだと言わなくてもよい このエントリーを含むはてなブックマーク
  6. 怠 け者同盟の社会の中で輝きを取り戻す日本 このエントリーを含むはてなブックマーク
  7. 海 外でもリアルタイムに日本のテレビを見る方法(無料) このエントリーを含むはてなブックマーク
  8. ベー シック・インカムの議論が見えなくさせるもの このエントリーを含むはてなブックマーク
  9. 社 会問題の議論でポジショントークを避ける二つの方法 このエントリーを含むはてなブックマーク
  10. セ ンター入試とバカロレアに見る日仏の違い このエントリーを含むはてなブックマーク
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