Avignon, France
このブログの初心は留学のための情報を提供することでした。しかし留学の意義は人の状況・考え方よって千差万別です。理系/文系、男性/女性、学力、語学力、異文化への適応能力、将来就きたい仕事、プライベートなどなどいろいろな要素が絡み合って、一様にベストな答えが導かれることはありえません。このエントリでは、僕が考える海外留学の意味を紹介して参考になればと思って書きます。

研究員の流動性

まず、フランスの研究所では、研究員の流動性(mobilité de rechercheur)が重視されます。研究員がひとつの研究所に留まる期間を短くして、幅広い知識と経験をつけさせるのが狙いです。ひとつのところに留まっていると、自分の得意とする問題の考え方や、問題を解決するアプローチが最も正しい唯一の方法だと思い込んでしまう危険性があるからです。例えば、研究者の流動性に関する規定として、フランスの国立研究所では博士で採用された研究員は、ポスドクで採用しないという規定があります。

また、研究員の方も一つのところに留まっているよりも、複数の場所で研究を行った経験がある方が高く評価されます。しかもその場合、一つの国よりも複数の国で研究を行った経験があるがある方が、望ましいのです。フランスで博士の学位を受けたフランス人学生は、他の国で研究を続けることが強く推奨されています。この点は日本と大きく違うように感じます。例えば、以下のような経歴を持つ人を見るとどう感じるでしょうか?〇〇には同一の大学名、××には同一の学部名が入ります。
〇〇大学 ××学部卒業
〇〇大学 ××修士修了
〇〇大学 ××博士取得
〇〇大学 ××学部 助手
〇〇大学 ××学部 准教授
〇〇大学 ××学部 教授
仮に〇〇大学が著名な大学であった場合、日本では、かなり優秀な人なんだなという感想を持つと思います。なぜなら、そういう人に優秀な人が多いのを経験的に知っているからです。逆に大学がコロコロ変わっている人には「学歴ロンダリング」とか、居場所をコロコロ変える人という疑いのまなざしが向けられることすらあります。

でもフランスの場合はそうは思われません。上に挙げた同一組織でしか研究をしたことが無い人のほうが胡散臭く見られるのです。周りの状況を知らず、正しくないことを正しいと思い込んでしまう危険性を避けられないように感じるからです。下のリンクでは「自分の研究室から出た人は採用しないルール」が欧米では一般的だと書かれています。
「東大までの人」と「東大からの人」 〔受験生必読〕入ってみるとよくわかる | 賢者の知恵 | 現代ビジネス [講談社]
東大を始めとして、研究環境がまずおかしい。欧米では博士も、自分の研究室から出た人は採用しないのがルール。いつまでたっても、自立した研究者になれないからです。

そもそも大学は、研究を通して次世代の人材を育てるところ。ハーバードやMIT、中国の清華大学などが世界で評価される理由は、いい人材を輩出する大学だからです。博士を外に出せば、人材が世界に広がってゆき、評判が作られる。でも、日本は教授のクローンを作っているだけで、評判も生まれない。
1つ以上の国で研究を行った経験は高く評価されることが多いのことは注目です。

各研究室には得意技がある

研究所では研究者の流動性が議論の争点となり、研究者としては複数の国を渡り歩いた方が良いのは、各研究室には固有の得意技があるからだと思います。各研究室を統率する教授の得意とするアプローチや、日本的なアプローチ、フランス的な考え方というのが確かにあるように感じます。問題を解決するために複数のアプローチがあり、自分の得意とするアプローチが優れているのかは周りを見てみないとわかりません。この前提が、「研究者の流動性」の必要性を生んでいると思われます。

研究の得意技と言うのはストリートファイターでいうと、波動拳と昇竜拳みたいなものです。相手が遠距離の時は波動拳、近距離の時は昇竜拳と使い分けるために、または得意技の長所短所を知るために、両方をマスターした方が良いのです。なので、日本の研究室とフランスの研究室のどちらがレベルが高いの?という問いには、いつも答えに詰まってしまいます。それは、波動拳と昇竜拳のどちらが強いか比較するようなものだからです。どちらが有効かは、状況によるとしか言えないのです。

問題を解決するアプローチとして、自分の中に複数の引き出しを持っておいた方が良いと言うのが、研究員の流動性の要点だと思います。

学部、修士、博士、ポスドク、いつ留学するか

いつ留学するのかと言う点については、以上の観点から、研究室の得意技をある程度マスターしてからが良いと言えます。波動拳という武器を持ってから、昇竜拳をマスターしに行きましょう。海外であなたを迎える研究室としても、違う得意技を持った学生と一緒に仕事が出来ることは歓迎すべきことです。海外に昇竜拳をマスターしに行くとしても、状況によっては日本の研究室で学んだ波動拳も有効です。その時は、海外の学生にも波動拳を教えてあげるぐらいの気概で行きましょう。

海外に留学した方が良い学生は、その研究室の得意技はそこそこマスターしたけども、世界の中で卓越した研究成果を出すほどではない人です。逆にいうと、日本の研究室に所属し、世界でも卓越した研究成果を出せるトップ研究者はわざわざ留学する必要も無いと思います。そういう人は、たまにインターンシップや訪問研究員などをして海外視察するぐらいでいいのではないかと思います。また、その日本の研究室の得意技を学びきれていない人は、海外に来るのは早いと思います。外国語で学んだ方が習得が早いなんてことはありえません。

羽生さんの言葉として、「ITとインターネットの進化によって将棋の世界に起きた最大の変化は、将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれたということです。でも高速道路を走り抜けた先では大渋滞が起きています(参照)」と紹介されていますが、母国語で学ぶことができる環境は、間違いなく高速道路です。母国語で高等教育を学べない国はかなり多いです。日本で高等教育の高速道路を整備してくれた先人に感謝して、活用しましょう。

なるべく早く海外に出た方が良いというアドバイスもあるみたいですが、以上のように海外と日本の両方の利点を考えてみることをおすすめします。

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「フランスの日々」の関連:フランス留学のススメ
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Parc de Sceaux, France
1月は1エントリを投稿してアクセスは約49300PVでした。

今年最初の月に一ヶ月間の過去最低更新回数を更新してしまいました。それでも延び延びになっていたフランスに来てからぼんやりと感じていたようなことをまとめた「怠け者同盟」の話をいちおう完結できたのは、よかったです。年末年始を日本で過ごした後、フランスに帰ってきてからは2年間関わってきたEUプロジェクトが完了するということで、休日返上で働いてしまいました。これはフランスに来てから2年半で2回目のことでした。

書きたかったブログネタもあったのですが、やっぱり書きたいその時に書いた方が勢いがあって良いような気がします。その時に書かなかったブログネタは自分の無意識の中に潜ってもっと面白くなって戻ってくることと信じています。

以下が1月の人気エントリです。1月唯一のエントリが首位でした。今後ともこのブログをよろしくお願いします。
  1. 怠け者同盟の社会の中で輝きを取り戻す日本
  2. もうそろそろ日本はもうダメだと言わなくてもよい
  3. フランス人から見た日本特集『Un oeil sur la planète: Japon : le reveil du sumo ?』(2/2)
  4. 海外でもリアルタイムに日本のテレビを見る方法(無料)
  5. 第10回 Japan Expo Paris 2009行ってきました
  6. 日本をもっとダメな国だと思い危機感を煽りましょう
  7. 怠け者同盟の社会は人類の未来
  8. 日本色の付いた技術ではもう世界で勝てない
  9. フランス人から見た日本特集『Un oeil sur la planète: Japon : le reveil du sumo ?』(1/2)
  10. フランスの移民政策は成功しつつあるという認識
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Avignon, France
昨年末に色々なブログで「輝きのある日本へ」、「輝きを取り戻すために」というキーワードが上がっていたのでなんだろうかと思っていたら、元ネタは年末に閣議決定され公開された「新成長戦略(基本方針)〜輝きのある日本へ〜」だったようです。これを読んでいたら本ブログで「怠け者同盟の社会」とかを書いていたときに書き残していたエントリを思い出しました。「怠け者同盟の社会の中の日本」というタイトルで書こうと思っていたのですが、想像する日本の未来のイメージを上手く伝えられるか自信がなくて延び延びになってしまっていました。

「新成長戦略」は33ページにまとまっていて、読みやすく意味はわかりやすいのですが、日本の未来のイメージが伝わってきません。本物のリーダーですらそうなのですから、このブログで多少伝わりにくくてもしょうがないと思った次第。怠け者同盟の社会が到来した日本の姿を想像で書いていこうと思います。一応、「怠け者同盟の社会」の完結編です。

怠け者同盟の社会は新時代の常識になる

時間が経ってしまったので、あらすじをおさらいしようと思います。怠け者同盟の社会とは、エネルギー資源、人的資源、労働時間などの資源を投入して経済的利益を上げる競争を抑制して、節約した資源を本当に社会と個人を「幸福」にする要素に振り分ける社会です(1章)。この社会がグローバル社会で敗北しないために取っている戦略が、1.怠け者同盟の拡大と2.同盟の論理の構築でした(2章)。3章、4章ではそれぞれ、フランスと日本が取っている(取るべき)戦略についても分析しています。

第1章 怠け者同盟の社会は人類の未来
第2章 怠け者同盟の社会が働き者の社会に対抗する手段
第3章 怠け者同盟の社会と働き者の社会の間の競争の中のフランス
第4章 怠け者同盟の社会と働き者の社会の間の競争の中の日本

日本人はまず、そうは言っても覇権を握るアメリカや台頭する中国、インド、中南米が反対すればそんな社会は出来ないと考えがちです。でもこれはそういった話ではないのです。2章で対抗する手段として述べた、怠け者同盟の拡大と同盟の論理の構築は、この怠け者同盟の社会を新時代の常識にする試みです。要は、「強い者が弱い者を殴って金を奪ってはいけない」とか、「強い国が弱い国を銃で脅して土地を奪ってはいけない」といった皆で共有されるコンセンサスに、「働きすぎて無用な競争を創りだすのは人類を不幸にする悪である」という命題を加えるようなものです。そういった新時代の常識ができれば、例え大国や台頭する国でも従わなければなりません。そうでなければ非道徳として非難されます(世の中には強いものが殴らなくともお金を奪う方法や、強い国が銃を使わなくても収奪できる方法もあって悩ましいですが)。

本ブログの結論は、将来的には日本もこの怠け者同盟の社会に合流するのが吉だというものです。以下は、そのときに日本がどんな感じになるか想像します。

新ルールを理解し迅速に転換する日本

4章の「実利重視の日本、思想から自由な日本」で「日本は思想から自由なために、一度コンセンサスを得れば、その時代のルールに則って実利本位で自由に社会を改革することが可能な強みがあります」と書きましたが、ルールを理解して大転換ののち、優秀なプレイヤーとして戻ってくるシナリオです。戦前の植民地獲得競争ルール、戦後の自由主義的な市場経済ルールと、当初は下位から始まり大転換ののち優秀なプレイヤーになったようになると想像します。

先の植民地獲得競争ルールと、自由主義的な市場経済ルールは日本人の勤勉さは何よりの武器でした。しかし、今度の怠け者同盟の社会という新ルールではその勤勉さが封じられます。「勤勉は悪」の世界で、日本はどのような未来を描けばいいのでしょうか?日本はおそらく新ルールを理解し自分自身を変えるのではないかと思います。仕事上の勤勉さは封印し、同じ性格が仕事後の趣味に対するコダワリや凝り性に転化するのではないでしょうか。そしてそれが、新時代での日本の成功を約束すると考えます。もちろんここで言う「成功」は現在の日本人が想像するような、しゃかりきに働きながらアメリカに追いつき、台頭する中国、インド、南米の追い上げを封じ込めるようなことではありません。怠け者同盟の社会とはそういった競争がもたらす害悪を除く試みなのですから。以下そのあたりを解説していこうと思います。

余暇が増えれば日本人の想像力と創造力がさらに解放される

フランスが思う日本像といえば、経済の不調、少子高齢化、新興国の台頭などの問題に有効な対策が打てない衰退途中にある国というものの他にも、肯定的な見方もあります。それは、伝統や文化を重んじる反面、ロボットや通信などの最新テクノロジーをいち早く取り入れ、マンガやアニメ、ゲーム、カラオケなどの楽しい娯楽が満載な国というイメージです。こういったイメージも単にフランス人の幻想などではなく、日本の一面を表していると思います([まとめ] フランスと海外のマンガ人気)。

自分が楽しいと思うものを、なんと言われようと貪欲に楽しむ力と言えるかもしれません。それが存在しないなら自分で作ったり、周りに理解されなくとも自分なりのこだわりを持って収集したりする性格も感じます。フランスで人気のある娯楽として、サッカー、サイクリング、スキー、園芸、料理、ワイン、チーズなどなど権威が確立していたり、周りの理解を得られるものが趣味として選択される傾向とは違うように思われるのです。なんの役にも立たなくとも、自分が面白いと思うものにとことん想像力と創造力を投入していく様子は独特の感覚なのではないでしょうか。手間の割に大して儲かるわけでもないのに、コミケに自作のコミックを出展するのは、書きたい、見てもらいたい、楽しんでもらいたいという自分の中の楽しさを追求した結果のように思われます。

同じようなことは、ニコニコ動画や2ちゃんねるの「才能の無駄使い」を見ていても感じます。右の図は「みんながもってるエロ画像でこれ再現できないかな?? あんか〜びっぷ」から持ってきたのですが、「これで面白いもの出来ないかな」と発想して、報酬も手柄も無いのにただ面白いと言うだけで、皆でよってたかって、すごく面白いものが出来ることに感動します。

次の写真は説明不要の有名な画像で「歴史的な画像を貼ってゆくスレ 無題のドキュメント」から取ってきました。第二次世界大戦が終わったときの歴史的な写真です。戦勝国のフランスでも学校の社会の時間などで、よく見せられる写真なのではないでしょうか。戦争の忌まわしい記憶と終戦の喜びが混じった空気が流れることと思います。しかし、2ちゃんねるでは誰かがこの写真を見て、数秒後に「左の人がブラジャーかぶっているようにしか見えない」と言います。これを授業中に指摘すれば、間違いなくクラスの人気者になれると思いますw。

怠け者同盟の社会が本格的に到来し、日本人の余暇が増えれば何が起こるでしょうか?午後五時に帰宅後、今の日本からすれば有り余るほどの時間が手に入ります。マンガを消費する人口、ゲームを消費する人口、ニコニコ動画、2ちゃんねるを閲覧する人口は間違いなく増えるでしょう。娯楽を消費する人口の裾野が広がれば、制作する側のモチベーションも上がります。閲覧する人口のうち何割かは自分で製作しようと考えるかもしれません。労働の拘束時間が長い今の日本で、こんなに面白いものが生まれるならば、フランス人のように毎日午後5時、6時に帰れて長期のバカンスが取れたらどんなにトンデモナイ面白いものが生まれるでしょうか、想像しないわけにはいきません。

まとめ

怠け者同盟の社会の中の日本を想像したときに、頭に浮かんできた光景は、社会の競争の抑制によって、体力、時間の資源の消耗を節約した日本人が、それらの資源を使ってどんどん幸せになっている光景でした。仕事は定時で帰って、家族団らんし、著名な文学作品を読んで感性を養い、楽しいことに夢中になっている姿でした。世界ではユニークな想像力と創造力を投入して制作したコンテンツが、それに受け取った世界の人々の中で評判になり、作り手も受け取り側も楽しく幸福になっている姿です。

ここまで読んだ方は、このエントリがなかなか書けなかった理由もわかったのではないでしょうか。楽観的すぎてノーテンキで馬鹿だと思われそうというのもあります。現状認識とかけ離れすぎて、荒唐無稽だと思われそうというのもあります。この辺りは、「もうそろそろ日本はもうダメだと言わなくてもよい」の最後で書いていたことと同じです。子供の頃に未来だった21世紀も最初の10年が終わりました。そして来世紀は22世紀からやってくるドラえもんの世界です。次の10年の始まりに、もう少し突拍子も無いことを想像しても良いのではないかと思った次第です。

関連:
  1. 怠け者同盟の社会のまとめ
  2. 怠け者同盟の社会は人類の未来
  3. 怠け者同盟の社会が働き者の社会に対抗する手段
  4. 怠け者同盟の社会と働き者の社会の間の競争の中のフランス
  5. 怠け者同盟の社会と働き者の社会の間の競争の中の日本
  6. 怠け者同盟の社会の中で輝きを取り戻す日本(本エントリ)
  7. 自由のスパイラルから脱出を目指す怠け者同盟
  8. 労働に対する社会の仕組みを試験に例える
  9. ベーシック・インカムよりも怠け者同盟の社会 このエントリーを含むはてなブックマーク
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Avignon, France
明けましておめでとうございます。

このブログも2008年4月1日に始めてから、20ヶ月経ちました。総エントリ数が262となり、平均すると月に13エントリほど投稿してきたことになります。当初はヨーロッパ留学の良さを伝える不定期のアップデートを予定していましたが、いろいろ内容を拡張しつつ続けられているのは、見てくれたり反応をしてくれる人がいるおかげだと思います。

2009年の最後の月にGoogle analytics調べで50万ページビューを達成しました。ブログにアップロードされている260ページのデータがコピーされて読者のブラウザに配信され、なにがし反応を起こしていることに感動します。ありがとうございます。これからも地道に続けて良く予定ですので、よろしくお願いします。

2009年最もアクセスがあったエントリ

2009年最もはてなブックマークが付いたエントリ

2009年最もTweetされたエントリ

TwitterにおけるTweet数はサービスによって若干数に違いがあるのですが、Topsyで調べたTweet数です。

日本色の付いた技術ではもう世界で勝てない

もうそろそろ日本はもうダメだと言わなくてもよい

日本をもっとダメな国だと思い危機感を煽りましょう

市民が望んでないことを実現するリーダーが必要

日本人はなぜ悲観論が好きか

2009年最もふぁぼられたTweet

2009年6月に始めたTwitterも現在1200回つぶやきました。ふぁぼったー調べでファボが多い5つを紹介します。
  • 9月23日「白人がアフリカにやってきたとき、われわれは土地を持ち、彼らは聖書を持っていた。彼らはわれわれに目を閉じて祈ることを教えた。われわれが目を開いたとき、彼らは土地を持ち、われわれは聖書しか持っていなかった」ジョモ・ケニヤッタ http://ow.ly/qxJm

  • 12月4日 マ イケル・ムーア「アメリカになりたい気持ちは捨てて、日本のままでいて。1945年以来、皆さんが作り上げてきた、教育が大切だと考え、解雇はしないと 言っていた日本で居続けて。他国を一切侵略せず、侵略しようとしている国をサポートしない国に戻って」http://ow.ly/Ihmf

  • 10月10日 まじか。「新幹線や飛行機では、なぜか集中できるという人も多いのではないでしょうか。最近の研究で身体を動かさずとも、動いているという感覚があれば、脳が活性化することがわかっています」RT 池谷裕二が指南!やる気が出る「脳」のだまし方 http://ow.ly/tKUr

  • 10月29日 「過去1万年の人類史は極論すると、いわば悪貨(農業)が良貨(狩猟採集)を駆逐したグレシャムの法則史ということになる」RT 先進国ではなぜ、少子化するのか:日経ビジネスオンライン http://ow.ly/xbWy

  • 12月10日 「アメリカ人にとって英語は単なるコミュニケーションのツールでしかないのに、フランス人にとってフランス語は教養であり、アートである。アメリカ人にはなかなか理解できないが、フランス語は一種の歴史的記念物である」RT Style:30's Style http://ow.ly/KvYJ
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Paris, France
東アジアに安定と調和のとれた社会を作ったり、少子高齢化による社会のダメージを補うためなど、これからは日本では様々な場面で大きな転換が求められることになると思います。そのためには、選挙で選ばれたリーダーが市民が望んでない政策を実現していく必要があるんだろうと思います。それも、突き詰めると単に”現在の日本”に必要なだけでなく、投票による民主主義システム全般にわたって必要不可欠だと考えられます。

リーダーが現実を変えた後に大衆の意識が変わる

なぜリーダーには市民が望んでない政策を実現していく必要があるかというと、多くの場合、現実が変わる前に大衆の意識が変わることが無いからです。幕末に攘夷か開国かで揉めていた時に、開国する前に開国の方が正しいと大衆に分からせるのは至難の業です。江戸時代に牛肉を汚れていると思っていた人たちも、文明開化の後に「すき焼き」を食べて初めて異国の文化も良いかも知れないと思い始めたりするのです(日本の獣肉食の歴史)。

欧州の歴史を見ても望まれない政策が実行されて初めて、人々に理解されるという推移をたどっているものがあります。現在のヨーロッパの強みはEUという共同体の調和だと理解されています。しかしフランスでは30年にわたり2回も殺し合ったドイツと和解するのは、大衆の望みを越えるリーダーの決断が必要でした。通貨統合、共通防衛、出入国管理の撤廃(シェンゲン条約)、欧州大統領、欧州憲法(未達成)などは、国家の役割を解体していく過程です。フランス万歳な人たちが賛成するわけはありません。決して大衆が納得済みで行われてきたことではないのです。本ブログでオススメの書「[書評] フランスの外交力—自主独立の伝統と戦略」では、ヨーロッパの父が以下のように考えたと書かれています。
この試みを主導したのは、のちに「ヨーロッパの父」と呼ばれることになる二人のフランス人、ジャン・モネとロベール・シューマン外相であった。二人は欧州統合の基本は仏独和解にあると信じて疑わなかった。しかし、三〇年にわたり干戈(かんか)を交えた両国国民間の不信を解消することは一朝一夕にはできない。そのためには、協力と連帯の実績を一つ一つ積み上げていくしかないと、二人は考えた。モネは後年著した回想録の中で、次のように述べている。
「世に起こることの流れを変えなければならない。そのためには、人々の精神を変えなければならない。言葉のみでは不十分である。本質に関わる行動を直ちに起こすことによって初めて、現在の停滞状況を変えることができるのである.... 現在与えられている条件の下でドイツ問題を解決しようとしてはならない。条件そのものを変えていかなければならないのである。」(p.86)
順を整理すると、リーダーの発想→行動(現実が変わる)→人々の精神が変わる、となります。こういった場合、人々の意識が変わる前に現実を変える必要があるのです。

民主主義システムはわがままな政治家を想定している

民意を反映するリーダーが善で、民意を汲まないリーダーが悪とされる風潮の中で、「市民が望んでないことを実現するリーダーが必要」と言うと突拍子も無く聞こえるかもしれません。しかし、逆に民意を反映するリーダーは必要ないことが以下のように考えると分かります。

現在の民主主義ではリーダーを選出するために投票します。そして、そのリーダーが政策を決定します。ここでもし仮に、人々が政策に直接投票できるシステムができれば、それを使うでしょうか?Webで簡単に政策への賛成/反対を投票できたりするシステムができたとします。何千もある政策を理解し意見を表明するのが手間であるなら、人々の意識を抽出し政策を決定できる未来のシステムが完成したとします。こんなシステムは使えないことは直感で分かります。自分に都合のいい政策ばかりに賛成すれば、総論賛成、各論反対となって、各政策ごとの整合性はバラバラになります。

こう考えると現在の民主主義がなぜ政策ではなく人に投票するのかが分かります。市民は賢くて信頼できる人物を互いに選び合って、その人に政策を決定してもらいます。いわば、選出された人は自分よりも賢く政策に詳しくて、かつ信頼できるということを前提としています。とすれば、選出された人が自分が反対する政策を進めていったとしても、その人の方が賢く正しいという前提に立って、信頼してついていかなければなりません。投票によって最も賢くて信頼できる人物が選ばれたのですから。

選出された人から見ると、市民が望んでいない正しい政策を推進していく必要があります。市民が現在望んでいることだけを進めるのなら、上記の政策へ直接投票するシステムを利用すれば良いはずです。そうしないのは現在のシステムは、リーダーが大衆が見ている未来よりも先を見通して、大衆の望むもの以外を進めていくことを期待しているからです。民主主義システムは市民が望んでないことを実現するリーダーを必要としているのです。

まとめ

民主主義システムは市民が望んでないことを実現するリーダーを必要としています。こういったリーダーは特に近い将来の日本に必要なんだと思います。市民は賢くて信頼できる人物を互いに選び合うことで、最も賢く信頼できる人物が選出できるかには疑問が残ります。また選ばれたリーダーに無批判についていくことは、ヒトラーのようなリーダーを生む可能性もあります。正しく人物を選ぶということは、また別の難しい問題です。チャーチルは「実際のところ、民主主義は最悪の政治形態と言うことが出来る。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば、だが。」と言ったそうです。実際はより良いシスムがまだ無いと言ったところでしょう。つまり、正しい人物を選べる確率を上げていくしか無いのでしょう。個人的には投票義務化でも良いかなと思います。国家は税でお金を徴収する代わりに、または追加で、国民に頭脳の活用を強いるわけです。膨大な教育費をかけて鍛えてきた国民の頭脳をフル活用する良い案だと思うのですが、どんなもんでしょう?

関連
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Provins, France
フランスの移民政策は失敗だったと結論づけられることがあります。夜間外出禁止令が発令された2005年パリ郊外暴動事件など移民関係の問題が山積しているからです。僕も渡仏するまでは、フランス人は自国に誇りを持ってそうだし、プライド高そうだし、他文化を許容することができないのかな、なんて考えてました。それは、まったく違っていて、フランス人は他文化にかなり寛容なことが分かってきました。

フランス人の中には、白人の他にも黒人、アラブ系、アジア系、南米系など様々な人たちがいます。職場では彼らと留学生が混じり合って仕事をしていますが、フランス人とそれ以外を隔てる壁を感じることは少ないです。フランスは人種や文化の交流がうまくいっている国だと感じます。いろいろな肌の色や髪の色の子が、物心ついた頃から学校や公園で一緒に遊んでいるのを見ると次世代はもっとうまくいくんだろうと、想像できます。

日本の移民問題で、フランスの移民政策の失敗を教訓に日本は移民をやめた方が良いという論調もありますが、これは全く違います。日本とフランスの置かれている状態が全く違うからです。日本がフランスのように移民政策をとったら、フランスの成功(失敗?)レベルまで達しないは明白です。

他国のニュースは深いところまで伝わらない

実際に暮らしてみた感想とニュースで伝わるフランスの姿が一致しないのには、他国のニュースが深いところまで伝わらないことが挙げられます。実際にフランスで暮らしていると、フランスの移民政策は成功しそうだという感触が伝わってきます。しかし日本のニュースでは全く違った印象で伝えられました。例えば、下の書では2005年パリ郊外暴動事件の発生した現場を見物に行った著者が以下のように書いています。
[書評] 日本とフランス 二つの民主主義
実際、危険も恐怖も何もなかった。私自身はごく普通に過ごしていたし、当のフランス人たちもまた、少なくともそのほとんどは、ごく普通に生活していたと思われる。しかし、日本の家族や友人からの電話やメールに、私は大いに驚かされた。日本での報道を見た人々は、フランス全土がまるで混迷するイラク顔負けの内戦状態にでも陥っているかのような印象を受けたらしいのだ。(p. 180)
このときは1が月半ぐらい続き、車はたくさん燃えたらしいのですが、人への攻撃はなかったそうです(老人が群衆に巻き込まれてなくなったそうですが)。事件が移民政策の現状を表しているのは確かなので、社会学者は詳細に分析するでしょうが、多くの一般人には大したことじゃないというのが、感想だと思います。

また、日本の大したことがないニュースが拡大されてフランスに伝わることがあります。2006年の大雪では転落事故などで1ヶ月で50人が亡くなりました(ニュース)。このときフランスでは除雪作業のための自衛隊派遣など検討することが伝わり、日本にいるフランス人の家族からは心配の連絡が入ったそうです。実際には関東にはうっすらと雪が積もるくらいで危険も恐怖もなかったのです。

文化が混ざり合ってできた国、フランス

フランスが他文化に寛容なのは、フランスは欧州大陸の中央部にあり、昔から文化の交流が盛んだったからでしょう。紀元前から、ローマ人、ガリア人、ゲルマン人との混血が進んできました。「ローマ帝国の支配に組み込まれたガリア諸部族はローマへの同化が進み(ガロ・ローマ文化)、やがてゲルマン人とも混血が進んで、後のフランク王国・フランスを形成していった。(wikipedia)」。また、フランス共和国という国民国家が成立したときにも、ほとんどイタリアだったニースや、ほとんどドイツのようなアルザス、独立していたブルターニュなどを版図に組み込んでいます。それぞれが別の言語(パトワ、方言みたいなもの)でしゃべっていたため、時には標準フランス語をしゃべるように強制されたりしました。なんと、この100年で5分の4の人が言語をフランス語に変えたそうです。
[書評] フランス三昧
フランスはヨーロッパで、いやおそらくは世界で唯一の、この一〇〇年以来人口の五分の四が言語を変えた国である。(P.163)
植民地との文化の混ざり合いなど、異文化交流には日本の状況では考えられないほどの量と期間が費やされています。フランス、あるいは多くの欧州では、ある日突然、生まれも育ちも考え方も違う隣人が来るという場面が繰り返されてきたのです。こういった交流の中から醸成された他文化と共生する空気は移民に心地良い物だと考えられます。

移民問題は試行錯誤の連続

移民問題は成功したらそれでおしまい、失敗したらそれでおしまい、ではありません。長い努力の上に少しずつ良い形を作っていくような物です。そう言った意味では、他国の移民政策を成功・失敗と言い切ってしまうのは移民問題をよく分かっていないと思います。

移民は違う人種、背景、宗教、考え方の人間が同じ場所で生活することになります。人間で例えるなら移民問題は結婚のような物ではないかと思います。どちらも「育ってきた環境が違うから〜好き嫌いは否めない〜」と言うように、誰もが順調じゃないことを予想して、それでもお互いに理解し合いたいというように考えます。結婚を死別や離婚などの結果が出る前の過程の状態で、成功だった、失敗だったと結論することに意味はありません。喧嘩して上手くいってないように見えても、理解し合うための過程であるかも知れないのです。同じように移民政策でも、問題が表面化しても、それが上手くいくための過程であることもあるのです。

まとめ

日本ではフランスの移民政策は失敗と位置づけられますが、住んだ感想でフランスの移民政策は成功しつつあると確信しています。確かに問題はたくさんありますが、成功するまでの過程に過ぎないと感じます。フランス人だったら必ず解決できるに違いありません。フランスには紀元前からの文化交流の歴史があり、不和や対立を経て醸成されてきた他文化理解の空気が存在します。この点は日本とは全く違うところです。「フランスのように失敗するから」日本は移民をやめた方がいいのではなくて、「フランスほど上手くできないから」とした方が実情にあうと思います。

(日本の移民についてはまたの機会に)
追加
書きました。

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Paris, France
11月は4エントリを更新して、アクセスは約39800PVでした。

上旬に日本からフランスに帰ってきて、下旬には出張でマドリッドに行くという日程でした。移動中は日本で買って持ってきた本を読む時間があり、久しぶりに書評を書いてみました。このブログは書評のカテゴリが現在61エントリと最も多いのですが、7月以来書いていませんでした。たくさん書評を書いていた頃と同じぐらいの頻度で本は読んでいるのですが、全て紹介しないようになっています。自分のメモのためにも、書評を再開しようかなと思います。

今週の人気エントリです。10月最終日に更新した「日本一時帰国の雑感「日本は絶えず進化している」」が10月に引き続いて首位でした。
  1. 日本一時帰国の雑感「日本は絶えず進化している」
  2. フランス人から見た日本特集『Un oeil sur la planète: Japon : le reveil du sumo ?』(1/2)
  3. フランス人から見た日本特集『Un oeil sur la planète: Japon : le reveil du sumo ?』(2/2)
  4. もうそろそろ日本はもうダメだと言わなくてもよい
  5. 日本文化エロネタに対するフランス人の反応
  6. 第10回 Japan Expo Paris 2009行ってきました
  7. 日本色の付いた技術ではもう世界で勝てない
  8. 海外でもリアルタイムに日本のテレビを見る方法(無料)
  9. 日本はもうダメだ論と日本の優秀な人材
  10. 日本人はなぜ悲観論が好きか
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