Avignon, France
明けましておめでとうございます。

このブログも2008年4月1日に始めてから、20ヶ月経ちました。総エントリ数が262となり、平均すると月に13エントリほど投稿してきたことになります。当初はヨーロッパ留学の良さを伝える不定期のアップデートを予定していましたが、いろいろ内容を拡張しつつ続けられているのは、見てくれたり反応をしてくれる人がいるおかげだと思います。

2009年の最後の月にGoogle analytics調べで50万ページビューを達成しました。ブログにアップロードされている260ページのデータがコピーされて読者のブラウザに配信され、なにがし反応を起こしていることに感動します。ありがとうございます。これからも地道に続けて良く予定ですので、よろしくお願いします。

2009年最もアクセスがあったエントリ

2009年最もはてなブックマークが付いたエントリ

2009年最もTweetされたエントリ

TwitterにおけるTweet数はサービスによって若干数に違いがあるのですが、Topsyで調べたTweet数です。

日本色の付いた技術ではもう世界で勝てない

もうそろそろ日本はもうダメだと言わなくてもよい

日本をもっとダメな国だと思い危機感を煽りましょう

市民が望んでないことを実現するリーダーが必要

日本人はなぜ悲観論が好きか

2009年最もふぁぼられたTweet

2009年6月に始めたTwitterも現在1200回つぶやきました。ふぁぼったー調べでファボが多い5つを紹介します。
  • 9月23日「白人がアフリカにやってきたとき、われわれは土地を持ち、彼らは聖書を持っていた。彼らはわれわれに目を閉じて祈ることを教えた。われわれが目を開いたとき、彼らは土地を持ち、われわれは聖書しか持っていなかった」ジョモ・ケニヤッタ http://ow.ly/qxJm

  • 12月4日 マ イケル・ムーア「アメリカになりたい気持ちは捨てて、日本のままでいて。1945年以来、皆さんが作り上げてきた、教育が大切だと考え、解雇はしないと 言っていた日本で居続けて。他国を一切侵略せず、侵略しようとしている国をサポートしない国に戻って」http://ow.ly/Ihmf

  • 10月10日 まじか。「新幹線や飛行機では、なぜか集中できるという人も多いのではないでしょうか。最近の研究で身体を動かさずとも、動いているという感覚があれば、脳が活性化することがわかっています」RT 池谷裕二が指南!やる気が出る「脳」のだまし方 http://ow.ly/tKUr

  • 10月29日 「過去1万年の人類史は極論すると、いわば悪貨(農業)が良貨(狩猟採集)を駆逐したグレシャムの法則史ということになる」RT 先進国ではなぜ、少子化するのか:日経ビジネスオンライン http://ow.ly/xbWy

  • 12月10日 「アメリカ人にとって英語は単なるコミュニケーションのツールでしかないのに、フランス人にとってフランス語は教養であり、アートである。アメリカ人にはなかなか理解できないが、フランス語は一種の歴史的記念物である」RT Style:30's Style http://ow.ly/KvYJ
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Paris, France
東アジアに安定と調和のとれた社会を作ったり、少子高齢化による社会のダメージを補うためなど、これからは日本では様々な場面で大きな転換が求められることになると思います。そのためには、選挙で選ばれたリーダーが市民が望んでない政策を実現していく必要があるんだろうと思います。それも、突き詰めると単に”現在の日本”に必要なだけでなく、投票による民主主義システム全般にわたって必要不可欠だと考えられます。

リーダーが現実を変えた後に大衆の意識が変わる

なぜリーダーには市民が望んでない政策を実現していく必要があるかというと、多くの場合、現実が変わる前に大衆の意識が変わることが無いからです。幕末に攘夷か開国かで揉めていた時に、開国する前に開国の方が正しいと大衆に分からせるのは至難の業です。江戸時代に牛肉を汚れていると思っていた人たちも、文明開化の後に「すき焼き」を食べて初めて異国の文化も良いかも知れないと思い始めたりするのです(日本の獣肉食の歴史)。

欧州の歴史を見ても望まれない政策が実行されて初めて、人々に理解されるという推移をたどっているものがあります。現在のヨーロッパの強みはEUという共同体の調和だと理解されています。しかしフランスでは30年にわたり2回も殺し合ったドイツと和解するのは、大衆の望みを越えるリーダーの決断が必要でした。通貨統合、共通防衛、出入国管理の撤廃(シェンゲン条約)、欧州大統領、欧州憲法(未達成)などは、国家の役割を解体していく過程です。フランス万歳な人たちが賛成するわけはありません。決して大衆が納得済みで行われてきたことではないのです。本ブログでオススメの書「[書評] フランスの外交力—自主独立の伝統と戦略」では、ヨーロッパの父が以下のように考えたと書かれています。
この試みを主導したのは、のちに「ヨーロッパの父」と呼ばれることになる二人のフランス人、ジャン・モネとロベール・シューマン外相であった。二人は欧州統合の基本は仏独和解にあると信じて疑わなかった。しかし、三〇年にわたり干戈(かんか)を交えた両国国民間の不信を解消することは一朝一夕にはできない。そのためには、協力と連帯の実績を一つ一つ積み上げていくしかないと、二人は考えた。モネは後年著した回想録の中で、次のように述べている。
「世に起こることの流れを変えなければならない。そのためには、人々の精神を変えなければならない。言葉のみでは不十分である。本質に関わる行動を直ちに起こすことによって初めて、現在の停滞状況を変えることができるのである.... 現在与えられている条件の下でドイツ問題を解決しようとしてはならない。条件そのものを変えていかなければならないのである。」(p.86)
順を整理すると、リーダーの発想→行動(現実が変わる)→人々の精神が変わる、となります。こういった場合、人々の意識が変わる前に現実を変える必要があるのです。

民主主義システムはわがままな政治家を想定している

民意を反映するリーダーが善で、民意を汲まないリーダーが悪とされる風潮の中で、「市民が望んでないことを実現するリーダーが必要」と言うと突拍子も無く聞こえるかもしれません。しかし、逆に民意を反映するリーダーは必要ないことが以下のように考えると分かります。

現在の民主主義ではリーダーを選出するために投票します。そして、そのリーダーが政策を決定します。ここでもし仮に、人々が政策に直接投票できるシステムができれば、それを使うでしょうか?Webで簡単に政策への賛成/反対を投票できたりするシステムができたとします。何千もある政策を理解し意見を表明するのが手間であるなら、人々の意識を抽出し政策を決定できる未来のシステムが完成したとします。こんなシステムは使えないことは直感で分かります。自分に都合のいい政策ばかりに賛成すれば、総論賛成、各論反対となって、各政策ごとの整合性はバラバラになります。

こう考えると現在の民主主義がなぜ政策ではなく人に投票するのかが分かります。市民は賢くて信頼できる人物を互いに選び合って、その人に政策を決定してもらいます。いわば、選出された人は自分よりも賢く政策に詳しくて、かつ信頼できるということを前提としています。とすれば、選出された人が自分が反対する政策を進めていったとしても、その人の方が賢く正しいという前提に立って、信頼してついていかなければなりません。投票によって最も賢くて信頼できる人物が選ばれたのですから。

選出された人から見ると、市民が望んでいない正しい政策を推進していく必要があります。市民が現在望んでいることだけを進めるのなら、上記の政策へ直接投票するシステムを利用すれば良いはずです。そうしないのは現在のシステムは、リーダーが大衆が見ている未来よりも先を見通して、大衆の望むもの以外を進めていくことを期待しているからです。民主主義システムは市民が望んでないことを実現するリーダーを必要としているのです。

まとめ

民主主義システムは市民が望んでないことを実現するリーダーを必要としています。こういったリーダーは特に近い将来の日本に必要なんだと思います。市民は賢くて信頼できる人物を互いに選び合うことで、最も賢く信頼できる人物が選出できるかには疑問が残ります。また選ばれたリーダーに無批判についていくことは、ヒトラーのようなリーダーを生む可能性もあります。正しく人物を選ぶということは、また別の難しい問題です。チャーチルは「実際のところ、民主主義は最悪の政治形態と言うことが出来る。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば、だが。」と言ったそうです。実際はより良いシスムがまだ無いと言ったところでしょう。つまり、正しい人物を選べる確率を上げていくしか無いのでしょう。個人的には投票義務化でも良いかなと思います。国家は税でお金を徴収する代わりに、または追加で、国民に頭脳の活用を強いるわけです。膨大な教育費をかけて鍛えてきた国民の頭脳をフル活用する良い案だと思うのですが、どんなもんでしょう?

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Provins, France
フランスの移民政策は失敗だったと結論づけられることがあります。夜間外出禁止令が発令された2005年パリ郊外暴動事件など移民関係の問題が山積しているからです。僕も渡仏するまでは、フランス人は自国に誇りを持ってそうだし、プライド高そうだし、他文化を許容することができないのかな、なんて考えてました。それは、まったく違っていて、フランス人は他文化にかなり寛容なことが分かってきました。

フランス人の中には、白人の他にも黒人、アラブ系、アジア系、南米系など様々な人たちがいます。職場では彼らと留学生が混じり合って仕事をしていますが、フランス人とそれ以外を隔てる壁を感じることは少ないです。フランスは人種や文化の交流がうまくいっている国だと感じます。いろいろな肌の色や髪の色の子が、物心ついた頃から学校や公園で一緒に遊んでいるのを見ると次世代はもっとうまくいくんだろうと、想像できます。

日本の移民問題で、フランスの移民政策の失敗を教訓に日本は移民をやめた方が良いという論調もありますが、これは全く違います。日本とフランスの置かれている状態が全く違うからです。日本がフランスのように移民政策をとったら、フランスの成功(失敗?)レベルまで達しないは明白です。

他国のニュースは深いところまで伝わらない

実際に暮らしてみた感想とニュースで伝わるフランスの姿が一致しないのには、他国のニュースが深いところまで伝わらないことが挙げられます。実際にフランスで暮らしていると、フランスの移民政策は成功しそうだという感触が伝わってきます。しかし日本のニュースでは全く違った印象で伝えられました。例えば、下の書では2005年パリ郊外暴動事件の発生した現場を見物に行った著者が以下のように書いています。
[書評] 日本とフランス 二つの民主主義
実際、危険も恐怖も何もなかった。私自身はごく普通に過ごしていたし、当のフランス人たちもまた、少なくともそのほとんどは、ごく普通に生活していたと思われる。しかし、日本の家族や友人からの電話やメールに、私は大いに驚かされた。日本での報道を見た人々は、フランス全土がまるで混迷するイラク顔負けの内戦状態にでも陥っているかのような印象を受けたらしいのだ。(p. 180)
このときは1が月半ぐらい続き、車はたくさん燃えたらしいのですが、人への攻撃はなかったそうです(老人が群衆に巻き込まれてなくなったそうですが)。事件が移民政策の現状を表しているのは確かなので、社会学者は詳細に分析するでしょうが、多くの一般人には大したことじゃないというのが、感想だと思います。

また、日本の大したことがないニュースが拡大されてフランスに伝わることがあります。2006年の大雪では転落事故などで1ヶ月で50人が亡くなりました(ニュース)。このときフランスでは除雪作業のための自衛隊派遣など検討することが伝わり、日本にいるフランス人の家族からは心配の連絡が入ったそうです。実際には関東にはうっすらと雪が積もるくらいで危険も恐怖もなかったのです。

文化が混ざり合ってできた国、フランス

フランスが他文化に寛容なのは、フランスは欧州大陸の中央部にあり、昔から文化の交流が盛んだったからでしょう。紀元前から、ローマ人、ガリア人、ゲルマン人との混血が進んできました。「ローマ帝国の支配に組み込まれたガリア諸部族はローマへの同化が進み(ガロ・ローマ文化)、やがてゲルマン人とも混血が進んで、後のフランク王国・フランスを形成していった。wikipedia)」。また、フランス共和国という国民国家が成立したときにも、ほとんどイタリアだったニースや、ほとんどドイツのようなアルザス、独立していたブルターニュなどを版図に組み込んでいます。それぞれが別の言語(パトワ、方言みたいなもの)でしゃべっていたため、時には標準フランス語をしゃべるように強制されたりしました。なんと、この100年で5分の4の人が言語をフランス語に変えたそうです。
[書評] フランス三昧
フランスはヨーロッパで、いやおそらくは世界で唯一の、この一〇〇年以来人口の五分の四が言語を変えた国である。(P.163)
植民地との文化の混ざり合いなど、異文化交流には日本の状況では考えられないほどの量と期間が費やされています。フランス、あるいは多くの欧州では、ある日突然、生まれも育ちも考え方も違う隣人が来るという場面が繰り返されてきたのです。こういった交流の中から醸成された他文化と共生する空気は移民に心地良い物だと考えられます。

移民問題は試行錯誤の連続

移民問題は成功したらそれでおしまい、失敗したらそれでおしまい、ではありません。長い努力の上に少しずつ良い形を作っていくような物です。そう言った意味では、他国の移民政策を成功・失敗と言い切ってしまうのは移民問題をよく分かっていないと思います。

移民は違う人種、背景、宗教、考え方の人間が同じ場所で生活することになります。人間で例えるなら移民問題は結婚のような物ではないかと思います。どちらも「育ってきた環境が違うから〜好き嫌いは否めない〜」と言うように、誰もが順調じゃないことを予想して、それでもお互いに理解し合いたいというように考えます。結婚を死別や離婚などの結果が出る前の過程の状態で、成功だった、失敗だったと結論することに意味はありません。喧嘩して上手くいってないように見えても、理解し合うための過程であるかも知れないのです。同じように移民政策でも、問題が表面化しても、それが上手くいくための過程であることもあるのです。

まとめ

日本ではフランスの移民政策は失敗と位置づけられますが、住んだ感想でフランスの移民政策は成功しつつあると確信しています。確かに問題はたくさんありますが、成功するまでの過程に過ぎないと感じます。フランス人だったら必ず解決できるに違いありません。フランスには紀元前からの文化交流の歴史があり、不和や対立を経て醸成されてきた他文化理解の空気が存在します。この点は日本とは全く違うところです。「フランスのように失敗するから」日本は移民をやめた方がいいのではなくて、「フランスほど上手くできないから」とした方が実情にあうと思います。

(日本の移民についてはまたの機会に)
追加
書きました。

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Paris, France
11月は4エントリを更新して、アクセスは約39800PVでした。

上旬に日本からフランスに帰ってきて、下旬には出張でマドリッドに行くという日程でした。移動中は日本で買って持ってきた本を読む時間があり、久しぶりに書評を書いてみました。このブログは書評のカテゴリが現在61エントリと最も多いのですが、7月以来書いていませんでした。たくさん書評を書いていた頃と同じぐらいの頻度で本は読んでいるのですが、全て紹介しないようになっています。自分のメモのためにも、書評を再開しようかなと思います。

今週の人気エントリです。10月最終日に更新した「日本一時帰国の雑感「日本は絶えず進化している」」が10月に引き続いて首位でした。
  1. 日本一時帰国の雑感「日本は絶えず進化している」
  2. フランス人から見た日本特集『Un oeil sur la planète: Japon : le reveil du sumo ?』(1/2)
  3. フランス人から見た日本特集『Un oeil sur la planète: Japon : le reveil du sumo ?』(2/2)
  4. もうそろそろ日本はもうダメだと言わなくてもよい
  5. 日本文化エロネタに対するフランス人の反応
  6. 第10回 Japan Expo Paris 2009行ってきました
  7. 日本色の付いた技術ではもう世界で勝てない
  8. 海外でもリアルタイムに日本のテレビを見る方法(無料)
  9. 日本はもうダメだ論と日本の優秀な人材
  10. 日本人はなぜ悲観論が好きか
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