Kyoto, Japan
なんとなく悲観的なムードのほかに違和感を感じた一時帰国中の話題としてはお笑いの矢島美容室に関するものです。海外にいるとお笑いブームにはついていけなくなります。僕にとって矢島美容室はそうした影響をモロに受けたブームでした。つまり最初にテレビで彼らを見たときに何の予備知識もなく見ることになりました。時期的に、おそらく見た場面は彼らの最後のライブだったようです。
矢島美容室 - Wikipedia
2008年12月20日国立代々木第一体育館で最初で最後のライブを開催され、その場で解散(帰国)が撤回される。
まず、見たときは片言の日本語をしゃべるフィリピン人が出てきたと感じました。しかしよく見ると日本人が変装しているようにも見え、どっちなんだろうと不思議に思っていました。それと同時に日本人が変装していないことを願いました。日本人が片言の外人のマネをして、会場全体で笑いものにしている図が耐えられないと感じたからです。僕はフランスでは完全な片言外人です。毎日3時間2年間勉強してもフランス語ネイティブから見たら、変なフランス語であることは疑いありません。それをネイティブがマネをしてみんなで笑っていたらやりきれない気分になると思うのです。せめて外人自身が面白おかしくやっていることを期待しました。しかし実際は日本人が外人のマネをしていたのです。少しショックを受けました。フランスではありえない現在の日本では許されるユーモアであると感じます。

さらに、彼らは「ニホンノミカタ -ネバダカラキマシタ-」という歌を歌います(歌詞はこちら)。
ニホンノミカタ -ネバダカラキマシタ-
(歌詞) パスポートもちゃんとあります。少しなら、YENも持ててます。

VISA(滞在許可)とお金と、パスポートと片言外人をお笑いのネタにするのはフランスでは少し深刻すぎます。やはり日本だからできる笑いなのではないでしょうか。

なおこのエントリーは、帰国当初に感じた違和感をつづっただけのもので、矢島美容室を批判しているわけではありません。お笑いがこの手の批判に怖じ気づいて、面白いことができなくなるほうが世の中に対する悪影響が強いと感じます。特に悲観的ムードが流れていると感じる今の日本にはもっとも必要なものは面白いものであるかもしれません。お笑い芸人は自分が面白いと信じるものをやり続けてほしいと願います。

ただ、僕自身、2年間日本を離れていてもお笑いの面白さを理解できなかったのは初めての経験でした。たとえば「そんなの関係ねー」は遅れて触れましたがちゃんと笑うことができたと思います。矢島美容室はマーケティング的には大成功を収めているようです。また、下のページでは矢部美容室をテレビで見たときの感想として肯定的に述べられています。
第45回:「矢島美容室」に学ぶ、長寿ブランド“とんねるず”のPR手法: NBonline(日経ビジネス オンライン)
どうですか?共感丸出しでしょう。いまの日本を外から見たふりをして、勇気づけている。ほんとは、政治家がすることなのでしょうが、日本の政治家には到底 頼れないから、エンターテイナーがやってやる。そんな心意気が見えてきて、思わず拍手してしまいました。楽しませながら、今の日本って変じゃない?と言っ ているのです。
今は当初、自身が感じた違和感の原因を知りたいという気分になっています。一つ思いつく原因の候補としては、やはりお笑いということで曲自体が冗談になっているというものでしょう。歌詞の”政治家嘘をつきません”、”先生は生徒守ります”、”税金無駄には使わないです”などすべて冗談仕立てになっていると解釈し、片言の外人も含めて、曲全体を笑い飛ばすことを期待されているのでしょうか?

関連:一時帰国中の雑感「なんとなく悲観的」

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2 Responses so far.

  1. サカタ says:

     日本のバラエティーだけかもしれませんが、モノマネでは有名人やアーティストの人たちをおもしろおかしくまねするのが普通です。それは、見方によれば大変失礼なものや、半ば中傷するようなものもあります。おそらくコロッケというタレントから始まったのでしょう。
     それを本人が聞いても、面白いと言って認めてしまうのが今の日本のお笑いの世界だと思います。むしろ、今では拍車がかかって面白いというのが本人の許容範囲の広さを知らしめるステータスみたいになってる感じがあります。
     だから、日本人は外国人に対してもモノマネの範囲だと認識しているのではないでしょうか?
     しかし、それはソフィーさんの言うとおり外国人に対してかなり失礼だし、留学してがんばっている人に対しても大変失礼です。そんなバラエティーの言うことなんか気にしなくていいと思います。

     僕個人の意見では、日本はフランスと違って単一民族の国です。だから、外国人と付き合いのある人はかなり少数です。人は遠い存在の人のことは考えにくくできていると思います。だから、しょうがないところもあるかもしれませんね。

  2. 確かに人をバカにするタイプのお笑いがありますよね。笑う方と笑われる方と見る方が、同じ意識を共有している場合には笑えて面白いのかもしれませんが、意識を共有していない相手はつらいかもしれませんね。今回は意識を共有していない人たちが多いかもしれないのが、引っかかった原因かも知れません。

    今気づきましたが、日本人は海外で日本人が笑い者にされていても、それを面白く見れたりするのが度量が深いという意識があるかもしれませんね。エコノミックアニマルやウサギ小屋と言われても本気で怒っている人も見ませんでしたしね。何でも笑ってもいいと無邪気に思っているおおらかな人が多いのかもしれません。

    日本人でも、さすがに海外でVISAなし、パスポートなしと言われれば笑えないと思うので、やっぱりやりすぎな気はしてしまいますね。

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