Versailles, France
仏語本「Le Japon 固定観念」の「日本は人員超過である」という固定観念に関する章を読んでみました。

日本の人口と、人口密度に関することが書かれていました。まず、固定観念では日本の国土は小さいというものがありますが、実は海洋面積まで入れると大きな国だと言うふうに書かれています。
国土の面積では世界第50位から、日本はトータルの面積で世界第6位に上がる。別にいいかえると、大きな国である。日本が強国であることは驚きではない。
Du 50e rang mondial en surface terrestre, le Japon arrive donc au 6e rang en surface totale. Autrement dit, il s'agit d'un grand pays. Ce n'est pas une surprise s'il s'agit aussi d'une grande puissance. (P.54)
トータルの面積が大きいと国力も大きいというのもどうかと思い、調べてみると領土の大きさが関係するらしいモデルもありました。
国力 - Wikipedia
国力=((基本指標:人口+領土)+経済力+軍事力)×(戦略目的+国家意思)
次に、人口密度の高さを日本人の礼儀正しさの理由としている部分がありました。曰く、日本人は見ず知らずの人でも電車の中や狭い場所でも、突き飛ばさないように細心の注意を払うとあります。
礼儀正しさ、弁論術の象徴的な表現である本音と建前は、密度の高いこのような集団的生活のために欠かせないものである。
La politesse, expression emblématique de la dialectique tatemae-honne (la façade et le coeur), est indispensable pour permettre cette vie collective dense. (p.55)
日本とフランスで笑みに関することで、違いを感じることがあります。フランスではあまり不必要に笑みを作ると気持ち悪がられるか、真面目にしゃべってないか、バカにされていると感じさせてしまうことがあります。このことは、なんと1585年にすでに書かれていたことだったそうです。本書ではやはりヨーロッパ視点ですが、言っていることは同じようです。
これは、すでにルイ・フロワが聡明にも1585年にすでに理解していたことである:「我々においては、うわべの笑みは偽善的だと受け取られるが、日本においてはそれは上品の特徴と良い性質である。
C'est ce qu'avait déjà compris Luis Frois avec sagacité en 1585: « Chez nous, un rire feint est tenu pour hypocrite; au Japon, c'est une marque d'élégance et de bonne disposition ». (P.58)
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Versailles, France
仏語本「Le Japon 固定観念」の「日本は人員超過である」という固定観念に関する章を読んでみました。

日本の人口と、人口密度に関することが書かれていました。まず、固定観念では日本の国土は小さいというものがありますが、実は海洋面積まで入れると大きな国だと言うふうに書かれています。
国土の面積では世界第50位から、日本はトータルの面積で世界第6位に上がる。別にいいかえると、大きな国である。日本が強国であることは驚きではない。
Du 50e rang mondial en surface terrestre, le Japon arrive donc au 6e rang en surface totale. Autrement dit, il s'agit d'un grand pays. Ce n'est pas une surprise s'il s'agit aussi d'une grande puissance. (P.54)
トータルの面積が大きいと国力も大きいというのもどうかと思い、調べてみると領土の大きさが関係するらしいモデルもありました。
国力 - Wikipedia
国力=((基本指標:人口+領土)+経済力+軍事力)×(戦略目的+国家意思)
次に、人口密度の高さを日本人の礼儀正しさの理由としている部分がありました。曰く、日本人は見ず知らずの人でも電車の中や狭い場所でも、突き飛ばさないように細心の注意を払うとあります。
礼儀正しさ、弁論術の象徴的な表現である本音と建前は、密度の高いこのような集団的生活のために欠かせないものである。
La politesse, expression emblématique de la dialectique tatemae-honne (la façade et le coeur), est indispensable pour permettre cette vie collective dense. (p.55)
日本とフランスで笑みに関することで、違いを感じることがあります。フランスではあまり不必要に笑みを作ると気持ち悪がられるか、真面目にしゃべってないか、バカにされていると感じさせてしまうことがあります。このことは、なんと1585年にすでに書かれていたことだったそうです。本書ではやはりヨーロッパ視点ですが、言っていることは同じようです。
これは、すでにルイ・フロワが聡明にも1585年にすでに理解していたことである:「我々においては、うわべの笑みは偽善的だと受け取られるが、日本においてはそれは上品の特徴と良い性質である。
C'est ce qu'avait déjà compris Luis Frois avec sagacité en 1585: « Chez nous, un rire feint est tenu pour hypocrite; au Japon, c'est une marque d'élégance et de bonne disposition ». (P.58)
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非属の才能 (光文社新書 328)
『Bバージン』や『ゼブラーマン』で有名な漫画家、山田玲司氏による「みんなと同じはもうやめよう」という本です。 どこかに属さなければいけないと思いがちになる日本社会で、属さなくても良いと言ってくれる(属さない方が良い)本書は心地よく響くはずです。漫画家である著者は、おそらくいろいろなところで普通じゃなくて、属さない人です。そこでつらくなった時にどうしていたかというと、自分の中で勝手に尊敬する人の声を聞くそうです。
僕はと言えば、ずっと手塚治虫に私淑していた。まわりの漫画好きが「山田の絵はデッサンが滅茶苦茶だ」などと僕の漫画を罵っても全然へっちゃらだった。手塚先生は「漫画は発想が第一」であり、多少のデッサン狂いなどは気にしない人だったからだ。「これはこれでおもしろいですよ」手塚先生ならそう言うだろうと、僕は心の中で勝手に漫画の神様の声を聞いていたのである。(p.44)
なかなかユニークで独善に陥る危険さえ回避できれば効果的かなと思います。また、古今東西のスーパースターがいろいろ取り上げられているのですが、どれも属さない人達です。本書では天才と言われる人達が天才という近寄ることも不可能な特別枠にいるわけではなくて、その分かれ目はもっと曖昧なものだと主張しています。
ここで一つ重要な思い違いがあると思うのは、はたして人間には天才と凡人の二種類しかいないのか?という点についてだ。...(略)...「天才とまではいかなくとも、凡人とまでもいかない」クリエーターと呼ばれる人ですら、そんな人がほとんどなのだ。(p65-p.64)
その通りなのかもしれません。人が誰でも持っている、人と違った何かを信じてコツコツそれを磨いて来た人達が、他の人達から天才と呼ばれて特別視されているのかもしれません。

本書では、同調しないことの利点を強調していますが、協調は必要だとも述べています。群れに属さない決意を持った人が陥る危険な罠についても述べられています。これは有効な指摘だと感じました。
[自分病その1]「私は変わってるんです」病 (p.212)
[自分病その2]「自分はいつも正しい」病 (p.214)
[自分病その3]「メジャーだからダメ」病 (P.216)
[自分病その4]「俺は偉い」病 (P.218)
最後に、ちょっと行き過ぎているなと感じたところです。
整理整頓はアイデアの敵だ。(p.114)
特にテレビは一切見る必要はない。(P.186)
もちろん、インターネットも絶対につないではいけない。(P.187)
自分の中の感性を重視するとはいえ、インターネット上の他人の知恵と知識をまったく頼りにしない生き方は、おそらく多くの人にとっては害になるのではないでしょうか。
非属の才能 (光文社新書 328)
山田 玲司 (著)

第1章 誰のなかにも「プチ佳祐」がいる
第2章 ブルース・リーになる試験はない
第3章 定置網にかかった人生でいいのか?
第4章 「変わり者」が群れを動かす
第5章 非属の扉をこじ開ける方法
第6章 独創性は孤立が作る
第7章 和をもって属さず

 ”「みんなと同じ」が求められるこの国で、
「みんなと違う」自分らしい人生を送る方法はあるのか?
右肩上がりの経済成長が終わり、群れることで幸せを感じられる「恵まれた時代」が過ぎ去った今、なにより必要なのは、未来を担う才能ある人間が、その才能をいかんなく発揮できる環境作りであり、マインド作りだ。ところがいまだにこの社会では、出る杭は打たれ、はみ出し者はいじめられる。横並びが一番重視され、斬新な発想や強烈な個性は「群れのルール」に従って矯正、または無視されてしまう。才能ある人間が生きづらい国——それがニッポンだ。もはや今の時代、みんなと同じ必要はまったくない。むしろ、違えば違うほどいい。人はそれぞれだ。各個人が自分の道を自由にゆけばいい。「非属」であること——これこそが新しい時代のスタンダードだ。”
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非属の才能 (光文社新書 328)
『Bバージン』や『ゼブラーマン』で有名な漫画家、山田玲司氏による「みんなと同じはもうやめよう」という本です。 どこかに属さなければいけないと思いがちになる日本社会で、属さなくても良いと言ってくれる(属さない方が良い)本書は心地よく響くはずです。漫画家である著者は、おそらくいろいろなところで普通じゃなくて、属さない人です。そこでつらくなった時にどうしていたかというと、自分の中で勝手に尊敬する人の声を聞くそうです。
僕はと言えば、ずっと手塚治虫に私淑していた。まわりの漫画好きが「山田の絵はデッサンが滅茶苦茶だ」などと僕の漫画を罵っても全然へっちゃらだった。手塚先生は「漫画は発想が第一」であり、多少のデッサン狂いなどは気にしない人だったからだ。「これはこれでおもしろいですよ」手塚先生ならそう言うだろうと、僕は心の中で勝手に漫画の神様の声を聞いていたのである。(p.44)
なかなかユニークで独善に陥る危険さえ回避できれば効果的かなと思います。また、古今東西のスーパースターがいろいろ取り上げられているのですが、どれも属さない人達です。本書では天才と言われる人達が天才という近寄ることも不可能な特別枠にいるわけではなくて、その分かれ目はもっと曖昧なものだと主張しています。
ここで一つ重要な思い違いがあると思うのは、はたして人間には天才と凡人の二種類しかいないのか?という点についてだ。...(略)...「天才とまではいかなくとも、凡人とまでもいかない」クリエーターと呼ばれる人ですら、そんな人がほとんどなのだ。(p65-p.64)
その通りなのかもしれません。人が誰でも持っている、人と違った何かを信じてコツコツそれを磨いて来た人達が、他の人達から天才と呼ばれて特別視されているのかもしれません。

本書では、同調しないことの利点を強調していますが、協調は必要だとも述べています。群れに属さない決意を持った人が陥る危険な罠についても述べられています。これは有効な指摘だと感じました。
[自分病その1]「私は変わってるんです」病 (p.212)
[自分病その2]「自分はいつも正しい」病 (p.214)
[自分病その3]「メジャーだからダメ」病 (P.216)
[自分病その4]「俺は偉い」病 (P.218)
最後に、ちょっと行き過ぎているなと感じたところです。
整理整頓はアイデアの敵だ。(p.114)
特にテレビは一切見る必要はない。(P.186)
もちろん、インターネットも絶対につないではいけない。(P.187)
自分の中の感性を重視するとはいえ、インターネット上の他人の知恵と知識をまったく頼りにしない生き方は、おそらく多くの人にとっては害になるのではないでしょうか。
非属の才能 (光文社新書 328)
山田 玲司 (著)

第1章 誰のなかにも「プチ佳祐」がいる
第2章 ブルース・リーになる試験はない
第3章 定置網にかかった人生でいいのか?
第4章 「変わり者」が群れを動かす
第5章 非属の扉をこじ開ける方法
第6章 独創性は孤立が作る
第7章 和をもって属さず

 ”「みんなと同じ」が求められるこの国で、
「みんなと違う」自分らしい人生を送る方法はあるのか?
右肩上がりの経済成長が終わり、群れることで幸せを感じられる「恵まれた時代」が過ぎ去った今、なにより必要なのは、未来を担う才能ある人間が、その才能をいかんなく発揮できる環境作りであり、マインド作りだ。ところがいまだにこの社会では、出る杭は打たれ、はみ出し者はいじめられる。横並びが一番重視され、斬新な発想や強烈な個性は「群れのルール」に従って矯正、または無視されてしまう。才能ある人間が生きづらい国——それがニッポンだ。もはや今の時代、みんなと同じ必要はまったくない。むしろ、違えば違うほどいい。人はそれぞれだ。各個人が自分の道を自由にゆけばいい。「非属」であること——これこそが新しい時代のスタンダードだ。”
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Nice, France
このエントリでは前のエントリで書いたパリのバーで会った、「俺は海賊だ〜、俺たちは仲間だ」と言って来た学生から聞いた話を紹介しようと思います。この学生は日本のマンガとフランスのバンド・デシネをこよなく愛する学生でした。ちなみに彼のいち押しのバンド・デシネは『LA CASTE DES META-BARONS(メタバロンのカースト制度)』だそうです。

彼は、日本のマンガはストーリーが面白くてキャラクターに愛着を持てると言ってました。日本のマンガは向かうところ敵なしで、フランス以外ではバンド・デシネを圧倒しているように見えますが、一方バンド・デシネにはマンガには無い魅力もあるそうです。そこで、まずマンガとバンド・デシネを特徴付ける点を整理します。


LA CASTE DES META-BARONS
参照:BDショップ パピエ
まず、マンガは日本で多くの読者をもっているために商業的に成功しています。漫画家になりたい若者が多く、多くの才能がマンガ雑誌を目指して切磋琢磨します。ストーリーは洗練され、キャラクターは読者を引きつけるものになっていきます。また薄利多売によって価格が下がり、毎週読み切れないほどのマンガが発行され、多くの人がマンガを大量消費していきます。一方、バンド・デシネの読者数は圧倒的に少なく、刊行は年に一度であることもよくあるそうです。このようにマンガは良いスパイラルが起きてクウォリティを保っていて、バンド・デシネは苦戦している様子が分かります。

しかし、冒頭の彼がいうバンド・デシネの良いところと言うのは、日本のマンガのように過当競争が起こらないところから来ているそうです。日本のマンガは商業的に成功することが生き残りの条件になってしまっていて、常に雑誌の売り上げを意識することになります。まず、一つのマンガは毎週雑誌に20ページほど掲載され、全体のストーリーから見ると1話ずつ切り売りされている状態といえます。こうなると商業的には、例えば「ついに因縁の対決が幕を上げた!!次週乞うご期待!!」というように、毎週の掲載の最後の方に次週の期待を盛り上げる見せ場を作る必要が生じます。これはマンガを面白くしている要素である一方、マンガの一種の制約であるといえます。

一方、一年に一巻程度の刊行で良いバンド・デシネにはそう言った制約はありません。また、毎週刊行する日本のマンガほど執筆スピードが要求されないため、じっくり作り込むことが出来るそうです。彼は、描画の芸術性はバンド・デシネの方が高いと明言していました。

バンド・デシネを圧倒しているように見えるマンガにも死角は存在します。移り気な読者をつなぎ止めるには、マンガ人気に安住し気を良くするだけでなく、他のコミックの良さを認め、さらに進化していく必要があるのだと思います。
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Nice, France
このエントリでは前のエントリで書いたパリのバーで会った、「俺は海賊だ〜、俺たちは仲間だ」と言って来た学生から聞いた話を紹介しようと思います。この学生は日本のマンガとフランスのバンド・デシネをこよなく愛する学生でした。ちなみに彼のいち押しのバンド・デシネは『LA CASTE DES META-BARONS(メタバロンのカースト制度)』だそうです。

彼は、日本のマンガはストーリーが面白くてキャラクターに愛着を持てると言ってました。日本のマンガは向かうところ敵なしで、フランス以外ではバンド・デシネを圧倒しているように見えますが、一方バンド・デシネにはマンガには無い魅力もあるそうです。そこで、まずマンガとバンド・デシネを特徴付ける点を整理します。


LA CASTE DES META-BARONS
参照:BDショップ パピエ
まず、マンガは日本で多くの読者をもっているために商業的に成功しています。漫画家になりたい若者が多く、多くの才能がマンガ雑誌を目指して切磋琢磨します。ストーリーは洗練され、キャラクターは読者を引きつけるものになっていきます。また薄利多売によって価格が下がり、毎週読み切れないほどのマンガが発行され、多くの人がマンガを大量消費していきます。一方、バンド・デシネの読者数は圧倒的に少なく、刊行は年に一度であることもよくあるそうです。このようにマンガは良いスパイラルが起きてクウォリティを保っていて、バンド・デシネは苦戦している様子が分かります。

しかし、冒頭の彼がいうバンド・デシネの良いところと言うのは、日本のマンガのように過当競争が起こらないところから来ているそうです。日本のマンガは商業的に成功することが生き残りの条件になってしまっていて、常に雑誌の売り上げを意識することになります。まず、一つのマンガは毎週雑誌に20ページほど掲載され、全体のストーリーから見ると1話ずつ切り売りされている状態といえます。こうなると商業的には、例えば「ついに因縁の対決が幕を上げた!!次週乞うご期待!!」というように、毎週の掲載の最後の方に次週の期待を盛り上げる見せ場を作る必要が生じます。これはマンガを面白くしている要素である一方、マンガの一種の制約であるといえます。

一方、一年に一巻程度の刊行で良いバンド・デシネにはそう言った制約はありません。また、毎週刊行する日本のマンガほど執筆スピードが要求されないため、じっくり作り込むことが出来るそうです。彼は、描画の芸術性はバンド・デシネの方が高いと明言していました。

バンド・デシネを圧倒しているように見えるマンガにも死角は存在します。移り気な読者をつなぎ止めるには、マンガ人気に安住し気を良くするだけでなく、他のコミックの良さを認め、さらに進化していく必要があるのだと思います。
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Paris, France
フランスに初めて来た時に、レンヌに漫画の店があってビックリしたことがあります。それからしばらくして別に驚くことではなかったと気づきました。何しろ若いフランス人は漫画が好きで、いろいろなところで漫画が読まれています。

多くのフランス人にとってマンガは日本のイメージを構成する大部分になりつつあります。ワインとチーズでフランスをイメージするように、またフラメンコと聞いてスペインを思い出すように、キムチと聞いて韓国をイメージするようなものになっています。特に、フランスでは毎年「Japan expo in Paris」が開催され、漫画をはじめとする日本文化が紹介されています。

日本での漫画の捉え方と少し違うと感じることがあり漫画に関するエントリをたくさん書いて来たので、このエントリでまとめます。
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Paris, France
フランスに初めて来た時に、レンヌに漫画の店があってビックリしたことがあります。それからしばらくして別に驚くことではなかったと気づきました。何しろ若いフランス人は漫画が好きで、いろいろなところで漫画が読まれています。

多くのフランス人にとってマンガは日本のイメージを構成する大部分になりつつあります。ワインとチーズでフランスをイメージするように、またフラメンコと聞いてスペインを思い出すように、キムチと聞いて韓国をイメージするようなものになっています。特に、フランスでは毎年「Japan expo in Paris」が開催され、漫画をはじめとする日本文化が紹介されています。

日本での漫画の捉え方と少し違うと感じることがあり漫画に関するエントリをたくさん書いて来たので、このエントリでまとめます。
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Paris, France
フランス人のマンガ好きは日本でも紹介されることが増えて来ているようです。「フランスのマンガ人気」のエントリではJapan expo in Parisが日本のテレビに取り上げられたり、「「20世紀少年」ルーブル美術館で会見」のエントリの会見の様子もテレビで紹介されたそうです。そして今度は、秋葉原のお祭りで「フランスでの日本マンガ事情をテーマにしたシンポジウム」が開かれたそうです。
アニメのニュースと情報
10月18日から始まった秋葉原エンタまつりで、フランスでの日本マンガ事情をテーマにしたシンポジウム「日仏MANGA文化交流(仮題)」が開催される。
上の記事や、進化する欧米のアニメ市場と日本企業の戦略を見ると、ジェトロ・パリセンターに勤務されていたの豊永真美さんがフランスのマンガ人気を精力的に紹介しているされているそうです。フランスに来る時には日本で人気のマンガのストーリーぐらいは押さえて来た方が良いと言うのが僕の意見なので、この事実が日本人にも知られることを望みます。夏目漱石は知らなくとも何とかなると思いますが、有名マンガを知らないと話しかけてくれたフランス人がさみしい思いをすると思います。

というのもフランス人は純粋にマンガを楽しんで読んでいるのですが、少しは日本文化を学んでいるという意識もあるのです。日本人が翻訳や原文でドストエフスキーの『罪と罰』を読む時に心のどこかでロシアに思いを馳せ、『星の王子様』を読む時にフランス文学を学んでいる気になるのと一緒です。出会ったロシア人やフランス人に『罪と罰』や『星の王子様』について語ってみたところ、相手がその作品について知らなければ、少しがっかりするのではないでしょうか。

僕もパリのバーで、日本人と見ると「俺は海賊だ〜、俺たちは仲間だ」と声をかけてくる学生に会ったことがあります。その時に、「はぁ?」と言う反応をするより、「漫画『ワンピース』が好きなの?僕も好きだよ。」と返した方が喜ぶに違いありません。共通の話題は、言語の熟達度より重要で、会話の内容や相手との心理的な距離に直結してきます。マンガの話題は、フランス人が初めて会う日本人との会話に利用する共通の話題では最も選ばれる可能性の高いものであると感じます。パリに来る前に、『のだめカンタービレ』を、ヴェルサイユに来る前に漫画『ベルサイユのばら』を読むようにし、有名なマンガは押さえましょう。
フランスにおける日本文化
キャプテン翼は、オリビエとトム(Oliver et Tom)、シティーハンターはNicky Larson、ベルサイユのばらはLady Oscarと違う名前で呼ばれることもあるので、対応も覚えるとなお良いです。→パリ発ヨーロッパのマンガ情報 : フランスと日本のマンガタイトル比較表-EuroJapanComic
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Paris, France
フランス人のマンガ好きは日本でも紹介されることが増えて来ているようです。「フランスのマンガ人気」のエントリではJapan expo in Parisが日本のテレビに取り上げられたり、「「20世紀少年」ルーブル美術館で会見」のエントリの会見の様子もテレビで紹介されたそうです。そして今度は、秋葉原のお祭りで「フランスでの日本マンガ事情をテーマにしたシンポジウム」が開かれたそうです。
アニメのニュースと情報
10月18日から始まった秋葉原エンタまつりで、フランスでの日本マンガ事情をテーマにしたシンポジウム「日仏MANGA文化交流(仮題)」が開催される。
上の記事や、進化する欧米のアニメ市場と日本企業の戦略を見ると、ジェトロ・パリセンターに勤務されていたの豊永真美さんがフランスのマンガ人気を精力的に紹介しているされているそうです。フランスに来る時には日本で人気のマンガのストーリーぐらいは押さえて来た方が良いと言うのが僕の意見なので、この事実が日本人にも知られることを望みます。夏目漱石は知らなくとも何とかなると思いますが、有名マンガを知らないと話しかけてくれたフランス人がさみしい思いをすると思います。

というのもフランス人は純粋にマンガを楽しんで読んでいるのですが、少しは日本文化を学んでいるという意識もあるのです。日本人が翻訳や原文でドストエフスキーの『罪と罰』を読む時に心のどこかでロシアに思いを馳せ、『星の王子様』を読む時にフランス文学を学んでいる気になるのと一緒です。出会ったロシア人やフランス人に『罪と罰』や『星の王子様』について語ってみたところ、相手がその作品について知らなければ、少しがっかりするのではないでしょうか。

僕もパリのバーで、日本人と見ると「俺は海賊だ〜、俺たちは仲間だ」と声をかけてくる学生に会ったことがあります。その時に、「はぁ?」と言う反応をするより、「漫画『ワンピース』が好きなの?僕も好きだよ。」と返した方が喜ぶに違いありません。共通の話題は、言語の熟達度より重要で、会話の内容や相手との心理的な距離に直結してきます。マンガの話題は、フランス人が初めて会う日本人との会話に利用する共通の話題では最も選ばれる可能性の高いものであると感じます。パリに来る前に、『のだめカンタービレ』を、ヴェルサイユに来る前に漫画『ベルサイユのばら』を読むようにし、有名なマンガは押さえましょう。
フランスにおける日本文化
キャプテン翼は、オリビエとトム(Oliver et Tom)、シティーハンターはNicky Larson、ベルサイユのばらはLady Oscarと違う名前で呼ばれることもあるので、対応も覚えるとなお良いです。→パリ発ヨーロッパのマンガ情報 : フランスと日本のマンガタイトル比較表-EuroJapanComic
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Google Mapsのストリート ビューがパリに対応」のエントリの時には、ツールドフランスのコースだけが対応していましたが、10月20日よりフランス全域の大都市がカバーされました。
Google Japan Blog: フランスの街並を楽しもう!
今年のはじめ、ヨーロッパにおける最初のストリートビューの対象として、ツールドフランスのルートである 21 ステージを紹介し、フランスの Google マップユーザーだけではなく、世界中のサイクリングファンに好評を博しました。そして今、フランスの中心である 6 つの都市(パリ、リヨン、リール、マルセイユ、ニース、トゥールーズ)が新たに加わったことに興奮しています。

下の画像は、マウスで動かすことが出来ます。今年の夏はニースに行ったので、覚えている場所をいつでも見れるのはうれしいです。
パリ

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ニース

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リール

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リヨン

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マルセイユ

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トゥールーズ

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6都市の他にもいろいろな地域が見れます。
サンマロの城壁の中。

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Google Mapsのストリート ビューがパリに対応」のエントリの時には、ツールドフランスのコースだけが対応していましたが、10月20日よりフランス全域の大都市がカバーされました。
Google Japan Blog: フランスの街並を楽しもう!
今年のはじめ、ヨーロッパにおける最初のストリートビューの対象として、ツールドフランスのルートである 21 ステージを紹介し、フランスの Google マップユーザーだけではなく、世界中のサイクリングファンに好評を博しました。そして今、フランスの中心である 6 つの都市(パリ、リヨン、リール、マルセイユ、ニース、トゥールーズ)が新たに加わったことに興奮しています。
下の画像は、マウスで動かすことが出来ます。今年の夏はニースに行ったので、覚えている場所をいつでも見れるのはうれしいです。
パリ

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ニース

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マルセイユ

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パリに生きた科学者 湯浅年子 (岩波ジュニア新書)1939年、30歳にしてパリに旅立って、研究を続けた科学者の生涯を描いた本です。科学者を取り巻く状況が、当時と今はまったく違う様相で驚きます。まず、フランスへの渡航は船でした。インド洋を抜け、スエズ運河を抜けてからマルセイユ経由でパリにやってきます。簡単に帰国できない日本に病気の父親をおいて来た覚悟は今とは違うものでしょう。また、時代は第二次世界大戦まっただ中です。パリでの研究を開始した年子の幸福な日々は、たった3週間後にパリが陥落することで終わりを告げます。この時の、年子の研究に掛ける執念は凄まじいものでした。まさに命をかけて研究している姿は、劇的です。
「ここで研究できずに日を過ごすのは大変つらいことです。たとえパリの研究所で爆弾の下に死ぬとも悔いないから、どうかよびもどしてください。」...(略)...「あなたの安全を思って避難をすすめたが、あなたが爆弾が落ちて死のうともかまわない覚悟なら、一緒に死にましょう。」年子は涙をこらえるのに必死であった。(P.33-34)

その後、フランスの研究所で占領軍のドイツ研究者と共に研究していましたが、連合国側のパリ奪還を迎える手前に、日本人である年子はドイツに移されます。結局、年子はそこでドイツ降伏を迎え、日本に帰って来て日本の終戦を迎えます。

研究の業績はものすごいもので、CNRS(フランス国立中央科学研究所、Centre National de la Recherche Scientifique)の名誉研究員にまでなっています。本書は研究の軌跡だけを書いているだけではなく、年子の気持ちや悩みなどを残された書物から取り出しているところが特に興味深いです。45歳の時に、帰国しないとお茶の水女子大学を退職扱いになってしまう人生の選択がありました。最初にフランスに渡ってから15年経っても、やはり一生フランスに留まる決意と言うのは難しいものだったことが分かります。
帰国すれば研究テーマの継続は望まれず、再び研究を軌道に乗せるまでにはまたまた多くの時間と困難が予想される。一方、今帰らなければ、もはや同大学に戻ることは不可能で、一生フランスに留まる決意をしなければならない。年子の心は揺れる。(P.116)
30歳にしてフランスに渡り70歳で亡くなるまで、多少の中断を除いてフランスに滞在した年子はすっかりフランス人のようになってしまったかと想像するかもしれませんが、終世意識は日本人であったそうです。
ここに書きのこしているいちばん重大な点は、いくら日本が骨を折り、フランスはじめヨーロッパが東洋への理解を深めて近寄ろうとしても、私の考えでは、「東洋」と「西洋」は異質の民族なのであり、ほんとうの意味では諒解しあえない思想というか思考体質をもっているということである。そこで私にとって祖国とは、故郷とは、同胞とはということを考えてみようというわけである。(P.174)
他の人たちは、パリに学び、パリで死んでいく。個人(少なくとも私自身)にとってはそれで満足しているが、祖国は日本以外のどこでもないのだ。(P.185)
2つ目の引用は、年子の絶筆の結びです。どちらの引用も、どれだけ外国にいようとも祖国は日本だけであるという想いを述べています。まだ在仏1年6ヶ月に満たないですが、僕も同じように感じます。

ただ、東洋と西洋が異質で諒解し得ないかどうかは、まだ感覚として分かりません。おそらく、年子の意見はもっと高い次元の相互理解と言うことになるのでしょう。自身の考え方を、全てフランス人のような考え方と入れ替えることはできず、またしたいとは思いませんが、フランス人の考え方に触れ、その考え方を理解し、よいものがあれば自分の中に取り入れる努力をしていきたいと感じています。そういった努力はいずれ限界がくるという予言かもしれません。そのとき、また振り返ってみたい言葉です。
パリに生きた科学者 湯浅年子 (岩波ジュニア新書)
山崎 美和恵 (著)

1 フランスへの旅立ち
2 コレジ・ド・フランス原子核化学研究所
3 ドイツ占領下の研究所で
4 崩れ行くベルリンで
5 敗戦の祖国
6 再会、そして別れ
7 オルセー原子核研究所で
8 断層を超えて
9 “Jusqu’au bout”—最後まで徹底的に

第二次世界大戦勃発直後、三〇歳で単身渡仏。ジョリオ=キュリー夫妻のもとで研究を始めたものの、敗戦の迫る日本に帰国を余儀なくされ…。国際的に活躍し た日本初の女性科学者の伝記。波瀾万丈の生涯にあって、真摯に科学と向き合い、芸術や文学、哲学や宗教にも心を傾けた生き方からは、勇気を与えられます。
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パリに生きた科学者 湯浅年子 (岩波ジュニア新書)1939年、30歳にしてパリに旅立って、研究を続けた科学者の生涯を描いた本です。科学者を取り巻く状況が、当時と今はまったく違う様相で驚きます。まず、フランスへの渡航は船でした。インド洋を抜け、スエズ運河を抜けてからマルセイユ経由でパリにやってきます。簡単に帰国できない日本に病気の父親をおいて来た覚悟は今とは違うものでしょう。また、時代は第二次世界大戦まっただ中です。パリでの研究を開始した年子の幸福な日々は、たった3週間後にパリが陥落することで終わりを告げます。この時の、年子の研究に掛ける執念は凄まじいものでした。まさに命をかけて研究している姿は、劇的です。
「ここで研究できずに日を過ごすのは大変つらいことです。たとえパリの研究所で爆弾の下に死ぬとも悔いないから、どうかよびもどしてください。」...(略)...「あなたの安全を思って避難をすすめたが、あなたが爆弾が落ちて死のうともかまわない覚悟なら、一緒に死にましょう。」年子は涙をこらえるのに必死であった。(P.33-34)
その後、フランスの研究所で占領軍のドイツ研究者と共に研究していましたが、連合国側のパリ奪還を迎える手前に、日本人である年子はドイツに移されます。結局、年子はそこでドイツ降伏を迎え、日本に帰って来て日本の終戦を迎えます。

研究の業績はものすごいもので、CNRS(フランス国立中央科学研究所、Centre National de la Recherche Scientifique)の名誉研究員にまでなっています。本書は研究の軌跡だけを書いているだけではなく、年子の気持ちや悩みなどを残された書物から取り出しているところが特に興味深いです。45歳の時に、帰国しないとお茶の水女子大学を退職扱いになってしまう人生の選択がありました。最初にフランスに渡ってから15年経っても、やはり一生フランスに留まる決意と言うのは難しいものだったことが分かります。
帰国すれば研究テーマの継続は望まれず、再び研究を軌道に乗せるまでにはまたまた多くの時間と困難が予想される。一方、今帰らなければ、もはや同大学に戻ることは不可能で、一生フランスに留まる決意をしなければならない。年子の心は揺れる。(P.116)
30歳にしてフランスに渡り70歳で亡くなるまで、多少の中断を除いてフランスに滞在した年子はすっかりフランス人のようになってしまったかと想像するかもしれませんが、終世意識は日本人であったそうです。
ここに書きのこしているいちばん重大な点は、いくら日本が骨を折り、フランスはじめヨーロッパが東洋への理解を深めて近寄ろうとしても、私の考えでは、「東洋」と「西洋」は異質の民族なのであり、ほんとうの意味では諒解しあえない思想というか思考体質をもっているということである。そこで私にとって祖国とは、故郷とは、同胞とはということを考えてみようというわけである。(P.174)
他の人たちは、パリに学び、パリで死んでいく。個人(少なくとも私自身)にとってはそれで満足しているが、祖国は日本以外のどこでもないのだ。(P.185)
2つ目の引用は、年子の絶筆の結びです。どちらの引用も、どれだけ外国にいようとも祖国は日本だけであるという想いを述べています。まだ在仏1年6ヶ月に満たないですが、僕も同じように感じます。

ただ、東洋と西洋が異質で諒解し得ないかどうかは、まだ感覚として分かりません。おそらく、年子の意見はもっと高い次元の相互理解と言うことになるのでしょう。自身の考え方を、全てフランス人のような考え方と入れ替えることはできず、またしたいとは思いませんが、フランス人の考え方に触れ、その考え方を理解し、よいものがあれば自分の中に取り入れる努力をしていきたいと感じています。そういった努力はいずれ限界がくるという予言かもしれません。そのとき、また振り返ってみたい言葉です。
パリに生きた科学者 湯浅年子 (岩波ジュニア新書)
山崎 美和恵 (著)

1 フランスへの旅立ち
2 コレジ・ド・フランス原子核化学研究所
3 ドイツ占領下の研究所で
4 崩れ行くベルリンで
5 敗戦の祖国
6 再会、そして別れ
7 オルセー原子核研究所で
8 断層を超えて
9 “Jusqu’au bout”—最後まで徹底的に

第二次世界大戦勃発直後、三〇歳で単身渡仏。ジョリオ=キュリー夫妻のもとで研究を始めたものの、敗戦の迫る日本に帰国を余儀なくされ…。国際的に活躍し た日本初の女性科学者の伝記。波瀾万丈の生涯にあって、真摯に科学と向き合い、芸術や文学、哲学や宗教にも心を傾けた生き方からは、勇気を与えられます。
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Paris, France
[書評] 高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院」のエントリの続きです。「本書は、博士課程に進む学生が読むと憂鬱になるタイプの本だと思いますが、僕は逆にやっぱり博士課程に進学してよかったなと思いました。」の理由について書いていこうと思います。まず、僕自身が工学の博士課程に在籍しているので、それに工学の博士課程の状況に偏ると思いますが、思ったことを書いていきます。

まず、状況として博士号を取得する人が増えていることによって、多くの人が職を手にすることが出来にくい状況が生まれているそうです。上の書にあるように、大学のポストだけを求めるのは、危険だと言うのは納得です。
そう考えると、遮二無二、専任教員になることだけを目指すことは、危険極まりないことではないだろうか。四〇歳や五〇歳になって、無職に転落した博士は、いったいどうやって生きていったら良いのか。三十代のノラ博士でさえ、ツブシがなかなかきかず、苦しんでいるというのに。(P.163)
工学の博士号を取得すれば、企業に就職する道はそれほど険しくないと言われています。このまま博士号を持つ研究者が増え続ければ、30代の学生が博士号を取得して社会で働く三十余年の間には、同僚、後輩の大半が博士号を持つ状況が生まれるでしょう。博士号が無いことを理由に希望する仕事ができない状況が生まれるかも知れません。それが、今から博士号を取得しておいた方が良いと考える第一の理由です。

英語では、博士号を持った人は必ずドクターと呼ばれ、それ以外の人がミスター、ミセスと呼ばれるため、明確な区別がなされます。実際、博士号の有る無しは、研究者にとって大きな要素となり始めています。博士号を持たない上司と博士号を持った部下が海外の研究所に視察に行き、その一団を迎えた研究員が、部下の博士だけに語りかけたというような話も聞いたことがあります。博士号が研究の最低限の能力を証明する運転免許のようなものになる日が来るかもしれません(免許は運転手の飛び抜けた運転能力を保証する訳ではありませんが、最低限の能力を保証しています)。

第二に、フランスのシステムとしては、技術者にもこう言った免状(diplôme d'ingénieur)があります。技術者は医者や弁護士とは違い免状が無くても職に就くことは出来ますが、免状を持った技術者はいろいろな面で優遇/重宝される状況にあります→技術系のグランゼコール。技術が専門化するに従って、それらを専門に学んだ者が重要性を増してくるかもしれません。研究者における博士もそのような状況になるかも知れません。
Diplôme d'ingénieur - wikipedia
ディプロム・ダンジェニュール(diplôme d'ingénieur)は、エンジニアリングの独立した学校か、エンジニアリングの内部の学校と共の大学によるフランスの高等教育の免状である。
The diplôme d'ingénieur is a French diploma of higher education awarded by French institutions which can be independent schools of engineering or universities with internal school of engineering (they are often known as grandes écoles).
それでは、直接企業の研究と結びつかない文系の博士号(例えば、歴史、哲学)を取る利点はどのようなことが考えられるでしょう。価値観は人それぞれですが、僕はやはり、自分が人生において何かを成し遂げたいと言う欲求を満たすための過程というように捉えるのがよいのではないかと思います。博士号を取るということは、先人がまだなし得ていなかったことをなし得た結果です。それは、人類の知恵と知識を前進させたことになります。30歳で博士号を取ったとして、多くの人がその後50年ほどで人生を終えることになります。博士号(特に文系)は人生を終える時に、その50年のうちに人類の知恵と知識をほんの少しでも進めたという満足感で満たされたいという人が選ぶ道なのかも知れません。

ただ、その道を選択することがあまりにもリスクの高いことであるのは問題です。博士号を上のように捉えることによって、「[書評] 高学歴ワーキングプア」にあるような、博士号を取り巻く社会の問題に目をつぶることは、当然出来ません。
つまり、重点化による余剰博士問題は、「優秀でないから、ノラ博士になっているのだ」という論理である。もちろん、こうした考えが、まったく本質からはずれたものであることはすでに見て来た通りだ。社会における構造的問題を個人の問題としてすげ替えていこうとする動きは、枚挙にいとまが無い。(P.152)
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Paris, France
[書評] 高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院」のエントリの続きです。「本書は、博士課程に進む学生が読むと憂鬱になるタイプの本だと思いますが、僕は逆にやっぱり博士課程に進学してよかったなと思いました。」の理由について書いていこうと思います。まず、僕自身が工学の博士課程に在籍しているので、それに工学の博士課程の状況に偏ると思いますが、思ったことを書いていきます。

まず、状況として博士号を取得する人が増えていることによって、多くの人が職を手にすることが出来にくい状況が生まれているそうです。上の書にあるように、大学のポストだけを求めるのは、危険だと言うのは納得です。
そう考えると、遮二無二、専任教員になることだけを目指すことは、危険極まりないことではないだろうか。四〇歳や五〇歳になって、無職に転落した博士は、いったいどうやって生きていったら良いのか。三十代のノラ博士でさえ、ツブシがなかなかきかず、苦しんでいるというのに。(P.163)
工学の博士号を取得すれば、企業に就職する道はそれほど険しくないと言われています。このまま博士号を持つ研究者が増え続ければ、30代の学生が博士号を取得して社会で働く三十余年の間には、同僚、後輩の大半が博士号を持つ状況が生まれるでしょう。博士号が無いことを理由に希望する仕事ができない状況が生まれるかも知れません。それが、今から博士号を取得しておいた方が良いと考える第一の理由です。

英語では、博士号を持った人は必ずドクターと呼ばれ、それ以外の人がミスター、ミセスと呼ばれるため、明確な区別がなされます。実際、博士号の有る無しは、研究者にとって大きな要素となり始めています。博士号を持たない上司と博士号を持った部下が海外の研究所に視察に行き、その一団を迎えた研究員が、部下の博士だけに語りかけたというような話も聞いたことがあります。博士号が研究の最低限の能力を証明する運転免許のようなものになる日が来るかもしれません(免許は運転手の飛び抜けた運転能力を保証する訳ではありませんが、最低限の能力を保証しています)。

第二に、フランスのシステムとしては、技術者にもこう言った免状(diplôme d'ingénieur)があります。技術者は医者や弁護士とは違い免状が無くても職に就くことは出来ますが、免状を持った技術者はいろいろな面で優遇/重宝される状況にあります→技術系のグランゼコール。技術が専門化するに従って、それらを専門に学んだ者が重要性を増してくるかもしれません。研究者における博士もそのような状況になるかも知れません。
Diplôme d'ingénieur - wikipedia
ディプロム・ダンジェニュール(diplôme d'ingénieur)は、エンジニアリングの独立した学校か、エンジニアリングの内部の学校と共の大学によるフランスの高等教育の免状である。
The diplôme d'ingénieur is a French diploma of higher education awarded by French institutions which can be independent schools of engineering or universities with internal school of engineering (they are often known as grandes écoles).
それでは、直接企業の研究と結びつかない文系の博士号(例えば、歴史、哲学)を取る利点はどのようなことが考えられるでしょう。価値観は人それぞれですが、僕はやはり、自分が人生において何かを成し遂げたいと言う欲求を満たすための過程というように捉えるのがよいのではないかと思います。博士号を取るということは、先人がまだなし得ていなかったことをなし得た結果です。それは、人類の知恵と知識を前進させたことになります。30歳で博士号を取ったとして、多くの人がその後50年ほどで人生を終えることになります。博士号(特に文系)は人生を終える時に、その50年のうちに人類の知恵と知識をほんの少しでも進めたという満足感で満たされたいという人が選ぶ道なのかも知れません。

ただ、その道を選択することがあまりにもリスクの高いことであるのは問題です。博士号を上のように捉えることによって、「[書評] 高学歴ワーキングプア」にあるような、博士号を取り巻く社会の問題に目をつぶることは、当然出来ません。
つまり、重点化による余剰博士問題は、「優秀でないから、ノラ博士になっているのだ」という論理である。もちろん、こうした考えが、まったく本質からはずれたものであることはすでに見て来た通りだ。社会における構造的問題を個人の問題としてすげ替えていこうとする動きは、枚挙にいとまが無い。(P.152)
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高学歴ワーキングプア  「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)
博士課程に進んだ学生がどのような過酷な条件に置かれることになるのか解説されている本です。タイトルから分かる通り、博士号についての利点・不利益を検証する本ではなく、もっぱら負の側面を解説した本と言えます。ネット上に同じようなテーマのウェブサイトがあります→「創作童話 博士が100人いる村」。

簡単に読める本なので、博士課程に進む学生は目を通しておいた方が良いと思います。とはいえ、博士号の負の側面を描き出すと言う趣旨は良く分かりますが、本書のまとまりはよくないと感じました。一番気になったのは、博士が100人いる村でもそうでしたが、文系と理系の区別がはっきりとつけられていない点でした。著者のプロフィールによると「人間環境学博士。専門は、環境心理学・環境行動論」だそうなので、主に文系の博士について書かれているのだと思われます。

著者の意見は、大学の入学生が減りはじめる頃から、大学院生が増えだしていることから、大学院生達が学費を払う金づるとして利用されているというものでした。その結果が、タイトルにもなっている「高学歴ワーキングプア」だそうです。僕自身、現在博士課程在籍2年(理系)なので、描かれる博士課程修了者の悲劇は人ごとに思えません。そして、あまりの悲惨さに、著者は仏に意味を問うてみることにしたそうです。
自らの人生について、ここらで考え直してみるのも一手ではあるまいか。私自身、仏門に入ったのは、このことと無関係ではない。現世の無情とどう付き合えばよいか。我の思いとはならぬこの身を仏にまかせ、「生きる」という問題への知恵をあおぎたくなったのだ。(P.165)
この文章にあるように、著者もその悲惨さの中にあって、解決策を見つけた人物ではありません。つまり、その悲惨さの中の解決策は本書では提示されていません。強いて言えば、「利他の精神(P.210)」か、もしくは以下の部分です。
これから、大学院を目指す人達は、老いも若きも自らのなかに何を目的として進学するのかということを明確にイメージすることが必要となるだろう。そして、そこに価値を見いだすことは、それぞれの作業となっていくだろう。(P.190)
明確な解答とは言えませんが、その通りかもしれません。本書は、博士課程に進む学生がその後の状況を知る上では有用かもしれませんが、その結論(仏門利他の精神)は個人的には、ほとんど使えないと感じました。

博士号を「足の裏の米粒」と例えているのを初めて聞いたのは、だいぶ前のことですが、当時は上手いこと言うな〜と感心した覚えがあります。
博士号をさして、「足の裏の米粒」などと揶揄する声も耳にすることが少なくない。その意味は、「とっても食えないが、取らないと気持ちが悪い」だ。(P.188)
本書では、博士号には米粒ほどの価値しか無いと述べられていますが、当時僕が聞いたときには、すこしニュアンスが違いました。曰く、博士号を取れば仕事が急にできるようになる訳ではないけど、培った知恵と知識をどのように社会に役立てるかが重要だということでした。つまり博士号を取ることに価値を見いだすのではなく、その過程でつける知恵と知識に価値を見いだせということでした。

本書は、博士課程に進む学生が読むと憂鬱になるタイプの本だと思いますが、僕は逆にやっぱり博士課程に進学してよかったなと思いました。長くなったので、別エントリで書いていこうと思います→「博士課程に進む意義」。
高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)
水月 昭道 (著)

 はじめに
 第1章 高学歴ワーキングプアの生産工程
 第2章 なぜか帳尻が合った学生数
 第3章 なぜ博士はコンビニ店員になったのか
 第4章 大学とそこで働くセンセの実態
 第5章 どうする? ノラ博士
 第6章 行くべきか、行かざるべきか、大学院
 第7章 学校法人に期待すること
 おわりに

大学院重点化というのは、文科省と東大法学部が知恵を出し合って練りに練った、成長後退期においてなおパイを失わん都執念を燃やす"既得権維持"のための秘策だったのである。
折しも、九〇年代半ばからの若年労働市場の縮小と重なるという運もあった。就職難で行き場を失った若者を、大学院につりあげることなどたやすいことであった。若者への逆風も、ここでは追い風として吹くこととなった。
成長後退期に入った社会が、我が身を守るために斬り捨てた若者たちを、これ幸いとすくい上げ、今度はその背中に「よっこらしょ」とおぶさったのが、大学市場を支配する者たちだった。(本文より)
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高学歴ワーキングプア  「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)
博士課程に進んだ学生がどのような過酷な条件に置かれることになるのか解説されている本です。タイトルから分かる通り、博士号についての利点・不利益を検証する本ではなく、もっぱら負の側面を解説した本と言えます。ネット上に同じようなテーマのウェブサイトがあります→「創作童話 博士が100人いる村」。

簡単に読める本なので、博士課程に進む学生は目を通しておいた方が良いと思います。とはいえ、博士号の負の側面を描き出すと言う趣旨は良く分かりますが、本書のまとまりはよくないと感じました。一番気になったのは、博士が100人いる村でもそうでしたが、文系と理系の区別がはっきりとつけられていない点でした。著者のプロフィールによると「人間環境学博士。専門は、環境心理学・環境行動論」だそうなので、主に文系の博士について書かれているのだと思われます。

著者の意見は、大学の入学生が減りはじめる頃から、大学院生が増えだしていることから、大学院生達が学費を払う金づるとして利用されているというものでした。その結果が、タイトルにもなっている「高学歴ワーキングプア」だそうです。僕自身、現在博士課程在籍2年(理系)なので、描かれる博士課程修了者の悲劇は人ごとに思えません。そして、あまりの悲惨さに、著者は仏に意味を問うてみることにしたそうです。
自らの人生について、ここらで考え直してみるのも一手ではあるまいか。私自身、仏門に入ったのは、このことと無関係ではない。現世の無情とどう付き合えばよいか。我の思いとはならぬこの身を仏にまかせ、「生きる」という問題への知恵をあおぎたくなったのだ。(P.165)
この文章にあるように、著者もその悲惨さの中にあって、解決策を見つけた人物ではありません。つまり、その悲惨さの中の解決策は本書では提示されていません。強いて言えば、「利他の精神(P.210)」か、もしくは以下の部分です。
これから、大学院を目指す人達は、老いも若きも自らのなかに何を目的として進学するのかということを明確にイメージすることが必要となるだろう。そして、そこに価値を見いだすことは、それぞれの作業となっていくだろう。(P.190)
明確な解答とは言えませんが、その通りかもしれません。本書は、博士課程に進む学生がその後の状況を知る上では有用かもしれませんが、その結論(仏門利他の精神)は個人的には、ほとんど使えないと感じました。

博士号を「足の裏の米粒」と例えているのを初めて聞いたのは、だいぶ前のことですが、当時は上手いこと言うな〜と感心した覚えがあります。
博士号をさして、「足の裏の米粒」などと揶揄する声も耳にすることが少なくない。その意味は、「とっても食えないが、取らないと気持ちが悪い」だ。(P.188)
本書では、博士号には米粒ほどの価値しか無いと述べられていますが、当時僕が聞いたときには、すこしニュアンスが違いました。曰く、博士号を取れば仕事が急にできるようになる訳ではないけど、培った知恵と知識をどのように社会に役立てるかが重要だということでした。つまり博士号を取ることに価値を見いだすのではなく、その過程でつける知恵と知識に価値を見いだせということでした。

本書は、博士課程に進む学生が読むと憂鬱になるタイプの本だと思いますが、僕は逆にやっぱり博士課程に進学してよかったなと思いました。長くなったので、別エントリで書いていこうと思います→「博士課程に進む意義」。
高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)
水月 昭道 (著)

 はじめに
 第1章 高学歴ワーキングプアの生産工程
 第2章 なぜか帳尻が合った学生数
 第3章 なぜ博士はコンビニ店員になったのか
 第4章 大学とそこで働くセンセの実態
 第5章 どうする? ノラ博士
 第6章 行くべきか、行かざるべきか、大学院
 第7章 学校法人に期待すること
 おわりに

大学院重点化というのは、文科省と東大法学部が知恵を出し合って練りに練った、成長後退期においてなおパイを失わん都執念を燃やす"既得権維持"のための秘策だったのである。
折しも、九〇年代半ばからの若年労働市場の縮小と重なるという運もあった。就職難で行き場を失った若者を、大学院につりあげることなどたやすいことであった。若者への逆風も、ここでは追い風として吹くこととなった。
成長後退期に入った社会が、我が身を守るために斬り捨てた若者たちを、これ幸いとすくい上げ、今度はその背中に「よっこらしょ」とおぶさったのが、大学市場を支配する者たちだった。(本文より)
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Strasbourg, France
フランス人から見た日本特集『Un oeil sur la planète: Japon : le reveil du sumo ?』(1/2)の続きです。公式サイトで見れる動画はフランス語なので、フランス語が分からないとつらいのですが、mixiで概要をレポートしてくれている人がいました(mixiのアカウントを持っていないと見れません)。感謝です→[mixi] パリ | フランス人から見た日本人と日本特集 (先端技術、漫画、日沈む国日本?)。このトピックの著者に同意を頂いたので、転載します。

概要と映像を共に見れるように交互に配置していきます。オススメの見方はまず、公式サイト『 Japon : le reveil du sumo ?(日本:相撲の目覚め)』で6分の1ほど見てから、下のビデオを見る方法です。公式サイトの動画は少し小さいのと、早送りや巻き戻しが出来ないので、下のビデオの方が見やすいと思います。
【欧米諸国外の唯一の先進国である日本は資源がないのに何故発展が未だに保たれているか?(GDPではフランスの国力の2倍ある。)】

①「最先端技術の日本」(最先端技術を行く日本の紹介)

・トヨタやホンダ等のロボットへの投資
・欧州はキリストの一神教で、人間のみ神につくられた考え、仏ではロボットを否定的に捉えがち(雇用も減るし)であるが、日本は多神教の国で虫や物まで魂が宿るとかんがえるから、日本人はロボットが人間を代替しても悪いことをしているという罪悪感がない。

②「働き過ぎの日本」

(ある典型的な日本家族の生活を1週間追う。過労死(Karoshi)はもはやKaraokeど同様国際語になった。圧倒的な消費と競争社会であるが、伝統が共有している社会)

・旦那さんは会社までいくのに往復毎日5時間かける。
・朝6時おき、夜23時帰宅。(子供や妻の顔も見ずに寝る様子)
・仕事では組織が第一優先。夜は会社の同僚と食事をする。
・有給は存在しても、周囲の目を気にしてとらない。
・妻は専業主婦で、欧米のように旦那さんに手伝ってほしいと思わない。それよりも旦那さんが一生懸命働いてくれることで妻は満足している。
・子供は日本では、小学校から団体生活を重んじることを教わる。(長い先生の話も集団で聞けるようになれる。)


(②「働き過ぎの日本」の続き)
●「カルロス・ゴーンのインタビュー」

1.【フランス人にはとても理解しにくいことですが、何故日本人は、そんなに働けるのでしょうか?何がモチベーションされるのでしょうか】

・そもそも日本と仏がメンタリティで何が違うかというより、それぞれまったく別々のものと考えたほうがわかりやすいと思う。
・フランスではありえないが、有給に関して例えると皆があまりにもとらないから、例えば、日産では、有給をとるように推奨している。それでも80%の人しかとらない。
・周囲を非常に気にする文化で有給がよくないことと思われている。集団を重んじる国。
・また、集団の中では、やることをやったという結果主義が必ずしも重んじるわけではなく、集団に属しているということが一番大切だったりする。必要のない人が会議に参加するのもその為だ。

2.【フランス人よりも日本人のほうが優れていることか?】

・そうは思わない。アイデアレベルでは仏人のほうがむしろ優れているぐらいだ。私たち(仏)が発明したものを日本は細かく研究して、より細かくして開発しているだけだ。一つ、違う点として日本人は形にするという労力や仕事の労力をいとわない。開発にして言えば、フランスでは、無駄なエネルギーをなるべくそいで開発するが、日本人は、何個も開発し、連続的に行う。だから結果的に、私たちより多くの「製品」「物」ができあがり、中にはすぐれたものができあがるので、それを輸出しているのだ。

3.【フランスは今後も日本をおそれる必要があるか?】

・恐れる必要はないと思う。フランスは、逆に日本を利用する、コラボレーションするべきだと思う。実際に日産が困っていた時にルノーはそのチャンスを狙いコラボレーションし、日産の技術もうまく取り入れ、フランスにとってメリットのある状況になっている。怖がらずに利用することだ。


③「COOL JAPAN」文化の輸出も世界一
(文化的なものの輸出今は世界第一位)
・漫画は世界に輸出されている。
・フランスで翻訳される言語の1位は英語であるが今は漫画の影響で2位は日本語だ。
・秋葉原の紹介、
・ファッションが最先端

日本は、若者が消費ができる国。フランスと違い若者はいつまでも実家に住むことができる。仕事したらそのままそれが遊びに使えるので若者の消費力は世界一。

●ハーフのインタビュー

【フランスには戻りたくないか?】

「日本は変化を好む。何かしたいと思ったらすぐ何でもできる。フランスは何もできない。この安全さもいごこちいい。私の父はバイクにバッグをおいても盗まれない。それと、日本人は人に興味をもつ。外国人が1人あるいているだけでも、興味を持つ。だから常に興味がある国民性なので、ここにいるといつも変化があるので日本のほうが面白い」


④「日沈む国日本」(高年齢化社会、閉鎖社会)

・100歳以上が3万人いる最高齢国家。平均寿命は82歳。
・現在は就労者の5人に1人が高齢者の年金を請け負っており、2015年には、4人に1人の状況になる。
・中長期的には国が衰退していくことが予想される。既に2005年から年間100万人の人口が減っている。
・かといって、日本は、2世紀にわたり鎖国してきた国でもあり、現在でも移民を受け入れたがらない。周辺諸国からの移民も歓迎されていない。
・移民はわずか1.5%しかいなく、移民に対する規制は仏以上。長年すんでいても国籍は取りにく取れない国。

人口は減る、高年齢で労働者がいなくなる、でも移民は嫌い、このような日本は、これからどのように乗り切るのであろう?高年齢者採用か?あるいは方針変えて移民歓迎か?ロボットが代替するか?もしくは、奇跡的な国家戦略が今後生まれるのだろうか?


●シャネル・ジャパンの社長のインタビュー

【日本に暮らしてどうですか?日本人はどういった人たちですか?】

・あなたも来てわかったと思うけど、日本はものすごい消費社会だ。反面根本的には、それとは異なる伝統・独特の文化が根強く残っている。
・「伝統」と「消費・資本主義」が合体した国。

私は日本をこう例える:『日本人は、根っこは根本的に日本独特の伝統を重んじる、しかし、上は未来を見て努力する民族だ。』

・日本人は、細かいのが得意、きめこまさ、どこまでも追求する精神は日本がすばらしいと思う。実際シャネルは日本にきて、品質をあげる努力をおこたらないことを学んだ。だからシャネル全体として結果的に会社のため、フランスの為にになった。

・こっちにきて外国人がまずぶつかることで、日本人の物事の進め方は、あなたも感じたと思うけど、はっきりしていなくて、いらいらすることが多い。欧米人がいらいらするこの、あいまいさは、過程を重んじる文化ととらえがちだが、実は、日本のこの面が発展する面でもあると私は思う。日本人は稟議やら何時間もありとあらゆる可能性を検討する、それにはすごい時間がかかる。時には、全従業員にヒアリングをたったりもする。でもひとえにこの研究がおわるとものすごいいきおいで開発をする。この文化も実は成功の鍵ではないのか。

【フランスは日本を恐れる必要があるのか?どう付き合えばいいのか?】

・日本はこのアジア周辺諸国の中で唯一の先進国で一応人権もある国だ。フランスは日本を土台にしてアジアを制覇することを学んでアジアを制覇するのが良いと思う。これからは中国市場が発展すると思われる。民族的にもメンタリティー敵にも日本人は中国人に近く、経済でも既に日本は中国に入り込んでいる。私たちはそれを見習いアジア諸国を制覇していくのが良いと思う。

【あなたは30年住んでいるけど結果的に日本とフランスどっちが好きなのか?】

私が30年住んでいるということと、今でも日本にいるということで、もう既に答えはおわかりでしょう。

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Strasbourg, France
フランス人から見た日本特集『Un oeil sur la planète: Japon : le reveil du sumo ?』(1/2)の続きです。公式サイトで見れる動画はフランス語なので、フランス語が分からないとつらいのですが、mixiで概要をレポートしてくれている人がいました(mixiのアカウントを持っていないと見れません)。感謝です→[mixi] パリ | フランス人から見た日本人と日本特集 (先端技術、漫画、日沈む国日本?)。このトピックの著者に同意を頂いたので、転載します。

概要と映像を共に見れるように交互に配置していきます。オススメの見方はまず、公式サイト『 Japon : le reveil du sumo ?(日本:相撲の目覚め)』で6分の1ほど見てから、下のビデオを見る方法です。公式サイトの動画は少し小さいのと、早送りや巻き戻しが出来ないので、下のビデオの方が見やすいと思います。
【欧米諸国外の唯一の先進国である日本は資源がないのに何故発展が未だに保たれているか?(GDPではフランスの国力の2倍ある。)】

①「最先端技術の日本」(最先端技術を行く日本の紹介)

・トヨタやホンダ等のロボットへの投資
・欧州はキリストの一神教で、人間のみ神につくられた考え、仏ではロボットを否定的に捉えがち(雇用も減るし)であるが、日本は多神教の国で虫や物まで魂が宿るとかんがえるから、日本人はロボットが人間を代替しても悪いことをしているという罪悪感がない。

②「働き過ぎの日本」

(ある典型的な日本家族の生活を1週間追う。過労死(Karoshi)はもはやKaraokeど同様国際語になった。圧倒的な消費と競争社会であるが、伝統が共有している社会)

・旦那さんは会社までいくのに往復毎日5時間かける。
・朝6時おき、夜23時帰宅。(子供や妻の顔も見ずに寝る様子)
・仕事では組織が第一優先。夜は会社の同僚と食事をする。
・有給は存在しても、周囲の目を気にしてとらない。
・妻は専業主婦で、欧米のように旦那さんに手伝ってほしいと思わない。それよりも旦那さんが一生懸命働いてくれることで妻は満足している。
・子供は日本では、小学校から団体生活を重んじることを教わる。(長い先生の話も集団で聞けるようになれる。)


(②「働き過ぎの日本」の続き)
●「カルロス・ゴーンのインタビュー」

1.【フランス人にはとても理解しにくいことですが、何故日本人は、そんなに働けるのでしょうか?何がモチベーションされるのでしょうか】

・そもそも日本と仏がメンタリティで何が違うかというより、それぞれまったく別々のものと考えたほうがわかりやすいと思う。
・フランスではありえないが、有給に関して例えると皆があまりにもとらないから、例えば、日産では、有給をとるように推奨している。それでも80%の人しかとらない。
・周囲を非常に気にする文化で有給がよくないことと思われている。集団を重んじる国。
・また、集団の中では、やることをやったという結果主義が必ずしも重んじるわけではなく、集団に属しているということが一番大切だったりする。必要のない人が会議に参加するのもその為だ。

2.【フランス人よりも日本人のほうが優れていることか?】

・そうは思わない。アイデアレベルでは仏人のほうがむしろ優れているぐらいだ。私たち(仏)が発明したものを日本は細かく研究して、より細かくして開発しているだけだ。一つ、違う点として日本人は形にするという労力や仕事の労力をいとわない。開発にして言えば、フランスでは、無駄なエネルギーをなるべくそいで開発するが、日本人は、何個も開発し、連続的に行う。だから結果的に、私たちより多くの「製品」「物」ができあがり、中にはすぐれたものができあがるので、それを輸出しているのだ。

3.【フランスは今後も日本をおそれる必要があるか?】

・恐れる必要はないと思う。フランスは、逆に日本を利用する、コラボレーションするべきだと思う。実際に日産が困っていた時にルノーはそのチャンスを狙いコラボレーションし、日産の技術もうまく取り入れ、フランスにとってメリットのある状況になっている。怖がらずに利用することだ。


③「COOL JAPAN」文化の輸出も世界一
(文化的なものの輸出今は世界第一位)
・漫画は世界に輸出されている。
・フランスで翻訳される言語の1位は英語であるが今は漫画の影響で2位は日本語だ。
・秋葉原の紹介、
・ファッションが最先端

日本は、若者が消費ができる国。フランスと違い若者はいつまでも実家に住むことができる。仕事したらそのままそれが遊びに使えるので若者の消費力は世界一。

●ハーフのインタビュー

【フランスには戻りたくないか?】

「日本は変化を好む。何かしたいと思ったらすぐ何でもできる。フランスは何もできない。この安全さもいごこちいい。私の父はバイクにバッグをおいても盗まれない。それと、日本人は人に興味をもつ。外国人が1人あるいているだけでも、興味を持つ。だから常に興味がある国民性なので、ここにいるといつも変化があるので日本のほうが面白い」


④「日沈む国日本」(高年齢化社会、閉鎖社会)

・100歳以上が3万人いる最高齢国家。平均寿命は82歳。
・現在は就労者の5人に1人が高齢者の年金を請け負っており、2015年には、4人に1人の状況になる。
・中長期的には国が衰退していくことが予想される。既に2005年から年間100万人の人口が減っている。
・かといって、日本は、2世紀にわたり鎖国してきた国でもあり、現在でも移民を受け入れたがらない。周辺諸国からの移民も歓迎されていない。
・移民はわずか1.5%しかいなく、移民に対する規制は仏以上。長年すんでいても国籍は取りにく取れない国。

人口は減る、高年齢で労働者がいなくなる、でも移民は嫌い、このような日本は、これからどのように乗り切るのであろう?高年齢者採用か?あるいは方針変えて移民歓迎か?ロボットが代替するか?もしくは、奇跡的な国家戦略が今後生まれるのだろうか?


●シャネル・ジャパンの社長のインタビュー

【日本に暮らしてどうですか?日本人はどういった人たちですか?】

・あなたも来てわかったと思うけど、日本はものすごい消費社会だ。反面根本的には、それとは異なる伝統・独特の文化が根強く残っている。
・「伝統」と「消費・資本主義」が合体した国。

私は日本をこう例える:『日本人は、根っこは根本的に日本独特の伝統を重んじる、しかし、上は未来を見て努力する民族だ。』

・日本人は、細かいのが得意、きめこまさ、どこまでも追求する精神は日本がすばらしいと思う。実際シャネルは日本にきて、品質をあげる努力をおこたらないことを学んだ。だからシャネル全体として結果的に会社のため、フランスの為にになった。

・こっちにきて外国人がまずぶつかることで、日本人の物事の進め方は、あなたも感じたと思うけど、はっきりしていなくて、いらいらすることが多い。欧米人がいらいらするこの、あいまいさは、過程を重んじる文化ととらえがちだが、実は、日本のこの面が発展する面でもあると私は思う。日本人は稟議やら何時間もありとあらゆる可能性を検討する、それにはすごい時間がかかる。時には、全従業員にヒアリングをたったりもする。でもひとえにこの研究がおわるとものすごいいきおいで開発をする。この文化も実は成功の鍵ではないのか。

【フランスは日本を恐れる必要があるのか?どう付き合えばいいのか?】

・日本はこのアジア周辺諸国の中で唯一の先進国で一応人権もある国だ。フランスは日本を土台にしてアジアを制覇することを学んでアジアを制覇するのが良いと思う。これからは中国市場が発展すると思われる。民族的にもメンタリティー敵にも日本人は中国人に近く、経済でも既に日本は中国に入り込んでいる。私たちはそれを見習いアジア諸国を制覇していくのが良いと思う。

【あなたは30年住んでいるけど結果的に日本とフランスどっちが好きなのか?】

私が30年住んでいるということと、今でも日本にいるということで、もう既に答えはおわかりでしょう。

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Paris, France
2008年7月16日、France 2というテレビ局で、2時間30分にわたる日本に関するドキュメンタリーが放映されたそうです。『Un oeil sur la planète(世界に目を)』という番組の第21回目の放送で、タイトルは『 Japon : le reveil du sumo ?(日本:相撲の目覚め)』というものでした。

上のリンクから全編が見れる太っ腹ぶりです。興味のある方はぜひ見て見てみてください。サイトを翻訳したものを以下に置いておきます。

フランス人から見た日本特集『Un oeil sur la planète: Japon : le reveil du sumo ?』(2/2)』に続きます。
多くの訪問者がこう言う、「日本への到着、それは火星への着陸のようなものだ」と。道ばたでは映像が理解力を追い越していき、私たちヨーロッパの合理性に衝撃を与える。しかし、今日の日本に見られるものは、我々にもたらされることもあり得る。
この国は近代化の決定者になった。我々が電気や自動車をを送った後、日本人はしかしながら彼らの文化を輸出した:流行、寿司、カラオケ、漫画、ビデオゲーム。そして、それ疑いなく終わることは無い、なぜなら(人々はとてもよく忘れすぎるけど、)アジアの本当の巨人、それは日本であり、長らくこの星の第二の経済強国であるからだ。
経済に関して言えば、日本は常に中国とインドを足したより大きい!1.28億の日本人は、25億人の中国人とインド人よりも多くのものを製造している!自然資源を持たない山がちなこの列島であるのに、どのようにこのような成功を説明するのか。
この日の昇る国はそこの人々の仕事と創意工夫によって発展して来た。日本は絶え間ない革新の才能の力を引き出している。今日、自動車の部門では最高位を掲げている。しかし、日本の工業はすでにロボットの商業化に賭けて、次の準備をしている。
最初の見方として、日本はかつて無く大変である。経済危機の10年の大損害を忘れるには早すぎる、不安定な雇用、団結を理想とする社会の中で拡大する不平等、天文学的な公的債務(GDPに対するパーセンテージはフランスの2.5倍である、日本164%に対し、フランス66%)。
将来に対する心配から、日本ではどんどん少子化が進んでいる。
結果:高齢化、その上、人口は減り始めている。国家的悲劇だ。そこで、『Japon:le réveil du sumo?(日本:相撲の目覚め?)』、第21回の『Un oeil sur la planète(世界に目を)』。

ルポタージュ:
  • 未来への道
    30年前に悪口を言われた日本の自動車は、しかしながら彼らの信頼性とかれらの創意工夫の根拠となった。2.8万人の研究者によって、トヨタは世界一の自動車製造会社となった。しかし、革新の国においては、すでに次の秘策が練られていた、ロボット工学である。未来への道?

  • ありの生活?
    一週間の間、我々のチームはある日本人家族の日常を追った。快適なルポタージュはしかしながらまた、型にはまった表現をひっくり返す。

  • クール・ジャパン?
    日本は文化財産を輸出する世界第二位の国となった。根を否定すること無く、その列島は非常に平和的に世界に対する影響力を増してきた。東京は世界の流行の首都となった。日本の”ソフト・パワー”の成功への調査。

  • 日の沈む帝国?
    日本は寿命がもっとも高い国である:列島には2.5万人の100歳を数える。しかし、2015年には、4人に一人が65歳を超える:少子化が進み、高齢化が進む。人口は減り始めてさえいる。日の昇る帝国は「日の沈む」帝国となるのか?
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Paris, France
2008年7月16日、France 2というテレビ局で、2時間30分にわたる日本に関するドキュメンタリーが放映されたそうです。『Un oeil sur la planète(世界に目を)』という番組の第21回目の放送で、タイトルは『 Japon : le reveil du sumo ?(日本:相撲の目覚め)』というものでした。

上のリンクから全編が見れる太っ腹ぶりです。興味のある方はぜひ見て見てみてください。サイトを翻訳したものを以下に置いておきます。

フランス人から見た日本特集『Un oeil sur la planète: Japon : le reveil du sumo ?』(2/2)』に続きます。
多くの訪問者がこう言う、「日本への到着、それは火星への着陸のようなものだ」と。道ばたでは映像が理解力を追い越していき、私たちヨーロッパの合理性に衝撃を与える。しかし、今日の日本に見られるものは、我々にもたらされることもあり得る。
この国は近代化の決定者になった。我々が電気や自動車をを送った後、日本人はしかしながら彼らの文化を輸出した:流行、寿司、カラオケ、漫画、ビデオゲーム。そして、それ疑いなく終わることは無い、なぜなら(人々はとてもよく忘れすぎるけど、)アジアの本当の巨人、それは日本であり、長らくこの星の第二の経済強国であるからだ。
経済に関して言えば、日本は常に中国とインドを足したより大きい!1.28億の日本人は、25億人の中国人とインド人よりも多くのものを製造している!自然資源を持たない山がちなこの列島であるのに、どのようにこのような成功を説明するのか。
この日の昇る国はそこの人々の仕事と創意工夫によって発展して来た。日本は絶え間ない革新の才能の力を引き出している。今日、自動車の部門では最高位を掲げている。しかし、日本の工業はすでにロボットの商業化に賭けて、次の準備をしている。
最初の見方として、日本はかつて無く大変である。経済危機の10年の大損害を忘れるには早すぎる、不安定な雇用、団結を理想とする社会の中で拡大する不平等、天文学的な公的債務(GDPに対するパーセンテージはフランスの2.5倍である、日本164%に対し、フランス66%)。
将来に対する心配から、日本ではどんどん少子化が進んでいる。
結果:高齢化、その上、人口は減り始めている。国家的悲劇だ。そこで、『Japon:le réveil du sumo?(日本:相撲の目覚め?)』、第21回の『Un oeil sur la planète(世界に目を)』。

ルポタージュ:
  • 未来への道
    30年前に悪口を言われた日本の自動車は、しかしながら彼らの信頼性とかれらの創意工夫の根拠となった。2.8万人の研究者によって、トヨタは世界一の自動車製造会社となった。しかし、革新の国においては、すでに次の秘策が練られていた、ロボット工学である。未来への道?

  • ありの生活?
    一週間の間、我々のチームはある日本人家族の日常を追った。快適なルポタージュはしかしながらまた、型にはまった表現をひっくり返す。

  • クール・ジャパン?
    日本は文化財産を輸出する世界第二位の国となった。根を否定すること無く、その列島は非常に平和的に世界に対する影響力を増してきた。東京は世界の流行の首都となった。日本の”ソフト・パワー”の成功への調査。

  • 日の沈む帝国?
    日本は寿命がもっとも高い国である:列島には2.5万人の100歳を数える。しかし、2015年には、4人に一人が65歳を超える:少子化が進み、高齢化が進む。人口は減り始めてさえいる。日の昇る帝国は「日の沈む」帝国となるのか?
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Saint-Malo, France
フランスの日々:英語の浸食からの言語防衛に見る日本とフランス」には、「言語侵略からの防衛に余念がないフランスと、危機感のない日本ですが、おそらく英語浸食がより進んでいないのは日本だと感じます。」と書きました。これと似たような構図なのが、日本とフランスの文化による外交にも現れているような気がします。

文化による外交はフランス外交の大きな柱の一つです。「[書評] フランスの外交力—自主独立の伝統と戦略」に以下の記述があります。
文化は、フランス外交の力の源泉である。フランスは、良く知られているように、国を挙げて文化を振興し、海外にも積極的に発信してきた。(P.143)
フランス人の考え方、フランス的な思考様式、知的方法論などを、世界の多くの人々に共有させることを通じて、国際社会におけるフランスの影響力を拡大し、フランスがより強い主導権を発揮できるようにしていこうとの、したたかな戦略が働いている。(P.147)
ルーブル美術館、オルセー美術館、オペラ、パリコレクション、ワイン、チーズなど、フランスの文化の浸透力そのものを外交に使っていっています。また、文化の振興には努力と予算を惜しみません。そういった努力と予算をつぎ込んで出来ている組織の一つが、uniFrance(世界中でフランス映画の振興をめざします)のような組織なのかもしれません。

フランスがやっているような文化振興とその影響力を外交に利用しようとする努力は、日本ではあまり聞きません。武士道、空手、歌舞伎、浮世絵、書道、寿司、天ぷら、着物、下駄などなど、豊富にある日本の文化を外交に使うと言う発想はあまり聞かないような気がします。最近は、麻生氏がサブカルチャー(マンガ、ゲーム、アニメ、カラオケ)の海外展開による外交を考えているようです。
外務省: 第1回国際漫画賞についての報道
今日、日本のイメージは、Jポップ、つまり、特に漫画やアニメに基礎を置く現代日本ポップカルチャーの輸出によるところが大きい。...(略)... 麻生外相は熱く語る。『JポップとJファッションの普及力は、想像をはるかに超えています。世界で最も有名なサッカー選手の中の2人、ジダン選手とトッティ選手は、テレビで「キャプテン翼」を観て育ちました。』
日本発のサブカルチャーの浸透力の強さはこのブログでもたびたび触れてきました。もしこれらの文化が、フランスに存在していたら、間違いなく歴代の外交官が真っ先に文化による外交に利用するでしょう。フランス発の文化がやや伝統的なものに偏りすぎているので、映画振興と共にこれらのポップカルチャーの波及のために夢中になるに違いありません。麻生氏が、最初にポップカルチャーによる外交を唱えた時は、突拍子も無いアイデアだと受け取られたそうですが、フランスから見るとごく普通の方向性のように見えます。

伝統文化を除いた現代の人気文化を待望しながら、なかなか生み出せてないフランスと、現代の人気文化を多数擁しながら上手く外交に利用できていない日本は対照的に見えます。このような差が、前のエントリで述べた「放射型外交のフランスと妥協型外交の日本」の差なのでしょう。こういったところでも、前のエントリで述べた結論を再確認します。
フランス人にしたら、なぜ日本が持つ経済的な影響力や文化的影響力をもっと積極的に他国に及ぼさないのか不思議に感じるでしょう。両国が外交を通じて目指すビジョンの違い、体質の違いといえるかも知れません。
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Saint-Malo, France
フランスの日々:英語の浸食からの言語防衛に見る日本とフランス」には、「言語侵略からの防衛に余念がないフランスと、危機感のない日本ですが、おそらく英語浸食がより進んでいないのは日本だと感じます。」と書きました。これと似たような構図なのが、日本とフランスの文化による外交にも現れているような気がします。

文化による外交はフランス外交の大きな柱の一つです。「[書評] フランスの外交力—自主独立の伝統と戦略」に以下の記述があります。
文化は、フランス外交の力の源泉である。フランスは、良く知られているように、国を挙げて文化を振興し、海外にも積極的に発信してきた。(P.143)
フランス人の考え方、フランス的な思考様式、知的方法論などを、世界の多くの人々に共有させることを通じて、国際社会におけるフランスの影響力を拡大し、フランスがより強い主導権を発揮できるようにしていこうとの、したたかな戦略が働いている。(P.147)
ルーブル美術館、オルセー美術館、オペラ、パリコレクション、ワイン、チーズなど、フランスの文化の浸透力そのものを外交に使っていっています。また、文化の振興には努力と予算を惜しみません。そういった努力と予算をつぎ込んで出来ている組織の一つが、uniFrance(世界中でフランス映画の振興をめざします)のような組織なのかもしれません。

フランスがやっているような文化振興とその影響力を外交に利用しようとする努力は、日本ではあまり聞きません。武士道、空手、歌舞伎、浮世絵、書道、寿司、天ぷら、着物、下駄などなど、豊富にある日本の文化を外交に使うと言う発想はあまり聞かないような気がします。最近は、麻生氏がサブカルチャー(マンガ、ゲーム、アニメ、カラオケ)の海外展開による外交を考えているようです。
外務省: 第1回国際漫画賞についての報道
今日、日本のイメージは、Jポップ、つまり、特に漫画やアニメに基礎を置く現代日本ポップカルチャーの輸出によるところが大きい。...(略)... 麻生外相は熱く語る。『JポップとJファッションの普及力は、想像をはるかに超えています。世界で最も有名なサッカー選手の中の2人、ジダン選手とトッティ選手は、テレビで「キャプテン翼」を観て育ちました。』
日本発のサブカルチャーの浸透力の強さはこのブログでもたびたび触れてきました。もしこれらの文化が、フランスに存在していたら、間違いなく歴代の外交官が真っ先に文化による外交に利用するでしょう。フランス発の文化がやや伝統的なものに偏りすぎているので、映画振興と共にこれらのポップカルチャーの波及のために夢中になるに違いありません。麻生氏が、最初にポップカルチャーによる外交を唱えた時は、突拍子も無いアイデアだと受け取られたそうですが、フランスから見るとごく普通の方向性のように見えます。

伝統文化を除いた現代の人気文化を待望しながら、なかなか生み出せてないフランスと、現代の人気文化を多数擁しながら上手く外交に利用できていない日本は対照的に見えます。このような差が、前のエントリで述べた「放射型外交のフランスと妥協型外交の日本」の差なのでしょう。こういったところでも、前のエントリで述べた結論を再確認します。
フランス人にしたら、なぜ日本が持つ経済的な影響力や文化的影響力をもっと積極的に他国に及ぼさないのか不思議に感じるでしょう。両国が外交を通じて目指すビジョンの違い、体質の違いといえるかも知れません。
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アメリカもアジアも欧州に敵わない―「脱米入欧」のススメ (祥伝社新書)
この本は、「複雑な歴史の上に成立したヨーロッパ諸国の知恵を借りた方が良い」という著者の意見について書かれているもののはずです。プロローグとエピローグでそう書かれていたので、間違いないと思います。しかし、その他は、ヨーロッパの歴史、文化、グルメ、言語などについて著者の知識が広く披露されているというだけに見えました。プロローグに以下のように書かれているのが、それに当たるようです。
そして同時に、本書は少しレベルの高い教養を持った方々のためのヨーロッパ旅行案内書としても楽しんでいただけるように工夫した。(P.18)
知らなかった知識なども多く、得るものはあるのですが、肝心の「アメリカもアジアも欧州には適わない」という命題の根拠は詳しく述べられていないように感じました。はっきり言うとヨーロッパ・バンザイな著者の思い込みのようなものです。本のまとめであるエピローグから引用して、本書の意図を理解しようと試みます。
ヨーロッパは単独でもアメリカと対峙できる規模を備えたのである。まして、日本がヨーロッパと組めば、勝敗の帰趨はそれだけで決まるのだ。... (略)... 何も、アメリカの世界支配を崩すために、しゃかりきになれというのではないが、アメリカが傲慢になりすぎないためにも、日本はヨーロッパ・カードを活用すべきなのだ。さらにいえば、日本は植民地経験がある国々とは違って、ヨーロッパ各国とまんべんなく長く深い交流があり、アジアの中でヨーロッパといちばん 自然に理解し合える国なのだ。(P.261)
現在アメリカと親密すぎる関係を、アメリカとヨーロッパを等距離においた関係にするか、ヨーロッパを重視する関係に変えるかというような提案をしています。結論は日本が今後取り得る選択ではあると思いますが、その根拠が明らかではありません。ヨーロッパ・カードを使って、日本の立場を良くすると言うならば、1. 現在日本がアメリカから受けている利益と、2. アメリカとの関係を弱めることの不利益、3. ヨーロッパを重視することによる利益を分析する必要があるはずです。これが無い結論では、著者の思い込みと感じてしまいます。

エピローグにあるように、「ヨーロッパ旅行案内書(P.18)」として読むのが良いのかもしれません。以下の文章は同意しました。
フランス人やスペイン人のように海外で多くの人が自国語を話している国民は、外国語など出来なくてもあまり困らないので、自然と外国語が苦手になる。フランス人は誇り高いから英語をしゃべらない、などというのは嘘だ。かれらは英語が意識面も含めて苦手なのだし、どうしても、しゃべらなければいけないと言う場面も少ないのだ。日本でも高校を卒業していれば、六年も英語を勉強しているのだから、まったく英語が話せないなどということは、あるはずがない。だが、できなければできないで済んでしまう。東京のタクシーの運転手もパリの同業者も事情は同じなのだ。(p. 147)
フランス人は英語をしゃべりたがらないです。それでも一般的には、日本人よりはしゃべれますが。日本人を良く知る友人は「日本人は英語をしゃべれないけど、フランス人はフランスから出ると英語をしゃべる」と言っていました。

個人的には文章が少し鼻につくような気がしました。感覚の問題ですが、このエントリで引用したところでも、「少しレベルの高い教養を持った方々」や「〜などというのは嘘だ」(騙されている日本人がいるけれども?)のような箇所です。本書全体に渡って、そのような印象を受けました。著者は東京大学法学部卒業で、フランス国立行政学院(ENA)に留学していたそうです。
アメリカもアジアも欧州に敵わない―「脱米入欧」のススメ (祥伝社新書)
八幡 和郎 (著)

目次
プロローグ アメリカもアジアもヨーロッパに敵わない
第1章 ヨーロッパには、なぜたくさんの国があるのか
第2章 キーワードで読むヨーロッパ史
第3章 ロシア&東欧のめざましい変容
第4章 北欧&西欧に見る二一世紀の実験
第5章 英語だけではヨーロッパは分からない
第6章 ヨーロッパ・グルメの真髄
第7章 ヨーロッパ文化の精華を見る
第8章 統合ヨーロッパはどこへ行く
エピローグ なぜ、いまヨーロッパなのか

新しい世界の秩序は日本と欧州(ヨーロッパ)が作るのだ
アメリカとのつき合いには限界がある。
ヨーロッパ見所ガイドつきのニュー・新西洋事情
<本書の内容>
● 世界はヨーロッパ文明のもとで動いてきた
● 日本の戦後改革は「脱欧入米」だった
● 王様たちの愛と欲望が、欧州各国を作った
● サッチャーとキッシンジャーのフランス革命論争
● 日本人を怖がるロシア人
● 本当は裏で繋(つな)がっているフランスと英米
● ヨーロッパの首都をめぐる争い
● アメリカという国の宿命的な限界
● ヨーロッパ統合が世界を救う理由(わけ)
<手本はヨーロッパにある>
明治以来、日本はヨーロッパのすぐれた制度を学び採用してきた。第二次大戦後、それがすべてアメリカへ転換していった。それがここにきて、さまざまな歪 (ゆが)みを生じてきた。〈学ぶべきなのが米国流のグローバリズム、米国的な価値感絶対主義、多国間の話し合いより二国間交渉優先といった考え方だけかというと、そんなはずはない。むしろ、ヨーロッパにこそ、われわれがモデルとすべきものは多いはずだ。(中略)本書は、欧州各国、およびその文化や国民性がどのように成立してきたのか、生活大国、幸福大国としてのヨーロッパの素晴らしさを考えてみたい〉(「プロローグ」より)
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アメリカもアジアも欧州に敵わない―「脱米入欧」のススメ (祥伝社新書)
この本は、「複雑な歴史の上に成立したヨーロッパ諸国の知恵を借りた方が良い」という著者の意見について書かれているもののはずです。プロローグとエピローグでそう書かれていたので、間違いないと思います。しかし、その他は、ヨーロッパの歴史、文化、グルメ、言語などについて著者の知識が広く披露されているというだけに見えました。プロローグに以下のように書かれているのが、それに当たるようです。
そして同時に、本書は少しレベルの高い教養を持った方々のためのヨーロッパ旅行案内書としても楽しんでいただけるように工夫した。(P.18)
知らなかった知識なども多く、得るものはあるのですが、肝心の「アメリカもアジアも欧州には適わない」という命題の根拠は詳しく述べられていないように感じました。はっきり言うとヨーロッパ・バンザイな著者の思い込みのようなものです。本のまとめであるエピローグから引用して、本書の意図を理解しようと試みます。
ヨーロッパは単独でもアメリカと対峙できる規模を備えたのである。まして、日本がヨーロッパと組めば、勝敗の帰趨はそれだけで決まるのだ。... (略)... 何も、アメリカの世界支配を崩すために、しゃかりきになれというのではないが、アメリカが傲慢になりすぎないためにも、日本はヨーロッパ・カードを活用すべきなのだ。さらにいえば、日本は植民地経験がある国々とは違って、ヨーロッパ各国とまんべんなく長く深い交流があり、アジアの中でヨーロッパといちばん 自然に理解し合える国なのだ。(P.261)
現在アメリカと親密すぎる関係を、アメリカとヨーロッパを等距離においた関係にするか、ヨーロッパを重視する関係に変えるかというような提案をしています。結論は日本が今後取り得る選択ではあると思いますが、その根拠が明らかではありません。ヨーロッパ・カードを使って、日本の立場を良くすると言うならば、1. 現在日本がアメリカから受けている利益と、2. アメリカとの関係を弱めることの不利益、3. ヨーロッパを重視することによる利益を分析する必要があるはずです。これが無い結論では、著者の思い込みと感じてしまいます。

エピローグにあるように、「ヨーロッパ旅行案内書(P.18)」として読むのが良いのかもしれません。以下の文章は同意しました。
フランス人やスペイン人のように海外で多くの人が自国語を話している国民は、外国語など出来なくてもあまり困らないので、自然と外国語が苦手になる。フランス人は誇り高いから英語をしゃべらない、などというのは嘘だ。かれらは英語が意識面も含めて苦手なのだし、どうしても、しゃべらなければいけないと言う場面も少ないのだ。日本でも高校を卒業していれば、六年も英語を勉強しているのだから、まったく英語が話せないなどということは、あるはずがない。だが、できなければできないで済んでしまう。東京のタクシーの運転手もパリの同業者も事情は同じなのだ。(p. 147)
フランス人は英語をしゃべりたがらないです。それでも一般的には、日本人よりはしゃべれますが。日本人を良く知る友人は「日本人は英語をしゃべれないけど、フランス人はフランスから出ると英語をしゃべる」と言っていました。

個人的には文章が少し鼻につくような気がしました。感覚の問題ですが、このエントリで引用したところでも、「少しレベルの高い教養を持った方々」や「〜などというのは嘘だ」(騙されている日本人がいるけれども?)のような箇所です。本書全体に渡って、そのような印象を受けました。著者は東京大学法学部卒業で、フランス国立行政学院(ENA)に留学していたそうです。
アメリカもアジアも欧州に敵わない―「脱米入欧」のススメ (祥伝社新書)
八幡 和郎 (著)

目次
プロローグ アメリカもアジアもヨーロッパに敵わない
第1章 ヨーロッパには、なぜたくさんの国があるのか
第2章 キーワードで読むヨーロッパ史
第3章 ロシア&東欧のめざましい変容
第4章 北欧&西欧に見る二一世紀の実験
第5章 英語だけではヨーロッパは分からない
第6章 ヨーロッパ・グルメの真髄
第7章 ヨーロッパ文化の精華を見る
第8章 統合ヨーロッパはどこへ行く
エピローグ なぜ、いまヨーロッパなのか

新しい世界の秩序は日本と欧州(ヨーロッパ)が作るのだ
アメリカとのつき合いには限界がある。
ヨーロッパ見所ガイドつきのニュー・新西洋事情
<本書の内容>
● 世界はヨーロッパ文明のもとで動いてきた
● 日本の戦後改革は「脱欧入米」だった
● 王様たちの愛と欲望が、欧州各国を作った
● サッチャーとキッシンジャーのフランス革命論争
● 日本人を怖がるロシア人
● 本当は裏で繋(つな)がっているフランスと英米
● ヨーロッパの首都をめぐる争い
● アメリカという国の宿命的な限界
● ヨーロッパ統合が世界を救う理由(わけ)
<手本はヨーロッパにある>
明治以来、日本はヨーロッパのすぐれた制度を学び採用してきた。第二次大戦後、それがすべてアメリカへ転換していった。それがここにきて、さまざまな歪 (ゆが)みを生じてきた。〈学ぶべきなのが米国流のグローバリズム、米国的な価値感絶対主義、多国間の話し合いより二国間交渉優先といった考え方だけかというと、そんなはずはない。むしろ、ヨーロッパにこそ、われわれがモデルとすべきものは多いはずだ。(中略)本書は、欧州各国、およびその文化や国民性がどのように成立してきたのか、生活大国、幸福大国としてのヨーロッパの素晴らしさを考えてみたい〉(「プロローグ」より)
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