英仏百年戦争 (集英社新書)
wikipediaによると百年戦争には「現在のフランスとイギリスの国境線を決定した戦争であり、両国の国家体系と国民の帰属意識は、この戦争を通じて形成されたといっても過言ではない。」とあります。フランスとイギリスの成り立ちを知るには必要不可欠な歴史です。百年戦争の概要は本書ではすごく分かりやすく、こうなっています。
十四世紀に戦端が開かれると、序盤は圧倒的なイギリスの優勢ですすんだ。クレシーの戦い(一三四六年)、ポワティエの戦い(一三五六年)と祖国を勝利に導き、この快進撃の立役者となった軍事的カリスマが黒太子エドワードである。戦争が十五世紀に突入するにつれ、フランスは国土の半ばを占領され、いよいよ国家存亡の危機に見舞われる。オルレアンの攻防(一四二八年〜一四二九年)に敗退すれば、もう大局が決するという場面に突如として現れるのが、救世主ジャンヌ・ダルクである。おかげで憎きイギリスを放逐し、フランスは祖国防衛の輝かしい勝利を収める。要するに、最初は黒太子エドワードで、イギリスが勝つ。最後はジャンヌ・ダルクで、フランスが勝つ。(P.12)
実は本書を読むのは二回目なのです。1年ほど前に買って、最初は興味が持てず途中で他の本を読み出して、そのままになっていました。本の記述はすごく簡潔に分かりやすいのですが、登場人物や土地の名前が多くて混乱してしまいます。二回目の今回は、英仏百年戦争への興味が知識も少し増していたため、すんなり読めました。

まず、一番最初に知らなければならないことは、なんと英仏百年戦争はイギリスとフランスの戦いではなかったことです。なぜならその頃には、イギリスやフランスといった国家の概念が無く、豪族の治める土地という概念が多くを占めていたからです。よって、百年戦争は、フランス国王と、大陸の一部とイギリス島を治める豪族(イギリス王)との戦いだったのです。フランス国王に奪われた大陸の土地を取り返すために、イギリス王がフランスにやって来て戦いを始めたということです。当然両者ともフランス語を話す領主です。そして、百年にわたり間欠的に行われた戦争によってイギリスとフランスという国家という概念が生まれてきました。
いいかえれば、英語しか話さないヘンリー五世は、イングランド人として即位した、最初のイングランド王だった。「フランス人」だった祖先の権利を持ち出してはみるものの、すでにして野心を美化する便宜に過ぎない。その戦争は祖父伝来の領土を奪還する戦争ではなく、フランスという「外国」を征服する侵略戦争に変質していたのである。(P.141)
イギリスは、このとき出来たといえそうですが、フランスもまたこの戦争によって形づくられました。
いうなれば、フランスという既存の国が「英仏百年戦争」に勝利したのではなく、「英仏百年戦争」がフランスという新たな国を誕生させたのである。(P.179)
最後に、フランスの国民的ヒロインであるジャンヌ・ダルクの興味深い小話を一つ。
ジャンヌ・ダルクは瞬く間に忘れ去られた。実際のところ、女救世主の物語は近代に至るまで、生まれ故郷のドムレミ村と開放されたオルレアンだけで語り継がれる、地域限定の昔話に過ぎなかったのだ。これを発掘して、大々的に広報したのが、かのナポレオン・ボナパルトだった。(P.159)
英仏百年戦争 (集英社新書)
佐藤 賢一 (著)

シェークスピア症候群
前史
  • それはノルマン朝の成立か
  • それはプランタジネット朝の成立か
  • 第一次百年戦争
本史
  • エドワード三世
  • プランタジネットの逆襲
  • 王家存亡の危機
  • シャルル五世
  • 幕間の悲喜劇
  • 英仏二重王国の夢
  • 救世主
  • 最終決戦
後史
  • フランス王の天下統一
  • 薔薇戦争
  • 結、かくて英仏百年戦争になる
それは、英仏間の戦争でも、百年の戦争でもなかった。イングランド王、フランス王と、頭に載せる王冠の色や形は違えども、戦う二大勢力ともに「フランス 人」だった。また、この時期の戦争は、むしろそれ以前の抗争の延長線上に位置づけられる。それがなぜ、後世「英仏百年戦争」と命名され、黒太子エドワード やジャンヌ・ダルクといった国民的英雄が創出されるにいたったのか。直木賞作家にして西洋歴史小説の第一人者の筆は、一三三七年から一四五三年にかけての 錯綜する出来事をやさしく解きほぐし、より深いヨーロッパ理解へと読者をいざなってくれる。
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英仏百年戦争 (集英社新書)
wikipediaによると百年戦争には「現在のフランスとイギリスの国境線を決定した戦争であり、両国の国家体系と国民の帰属意識は、この戦争を通じて形成されたといっても過言ではない。」とあります。フランスとイギリスの成り立ちを知るには必要不可欠な歴史です。百年戦争の概要は本書ではすごく分かりやすく、こうなっています。
十四世紀に戦端が開かれると、序盤は圧倒的なイギリスの優勢ですすんだ。クレシーの戦い(一三四六年)、ポワティエの戦い(一三五六年)と祖国を勝利に導き、この快進撃の立役者となった軍事的カリスマが黒太子エドワードである。戦争が十五世紀に突入するにつれ、フランスは国土の半ばを占領され、いよいよ国家存亡の危機に見舞われる。オルレアンの攻防(一四二八年〜一四二九年)に敗退すれば、もう大局が決するという場面に突如として現れるのが、救世主ジャンヌ・ダルクである。おかげで憎きイギリスを放逐し、フランスは祖国防衛の輝かしい勝利を収める。要するに、最初は黒太子エドワードで、イギリスが勝つ。最後はジャンヌ・ダルクで、フランスが勝つ。(P.12)
実は本書を読むのは二回目なのです。1年ほど前に買って、最初は興味が持てず途中で他の本を読み出して、そのままになっていました。本の記述はすごく簡潔に分かりやすいのですが、登場人物や土地の名前が多くて混乱してしまいます。二回目の今回は、英仏百年戦争への興味が知識も少し増していたため、すんなり読めました。

まず、一番最初に知らなければならないことは、なんと英仏百年戦争はイギリスとフランスの戦いではなかったことです。なぜならその頃には、イギリスやフランスといった国家の概念が無く、豪族の治める土地という概念が多くを占めていたからです。よって、百年戦争は、フランス国王と、大陸の一部とイギリス島を治める豪族(イギリス王)との戦いだったのです。フランス国王に奪われた大陸の土地を取り返すために、イギリス王がフランスにやって来て戦いを始めたということです。当然両者ともフランス語を話す領主です。そして、百年にわたり間欠的に行われた戦争によってイギリスとフランスという国家という概念が生まれてきました。
いいかえれば、英語しか話さないヘンリー五世は、イングランド人として即位した、最初のイングランド王だった。「フランス人」だった祖先の権利を持ち出してはみるものの、すでにして野心を美化する便宜に過ぎない。その戦争は祖父伝来の領土を奪還する戦争ではなく、フランスという「外国」を征服する侵略戦争に変質していたのである。(P.141)
イギリスは、このとき出来たといえそうですが、フランスもまたこの戦争によって形づくられました。
いうなれば、フランスという既存の国が「英仏百年戦争」に勝利したのではなく、「英仏百年戦争」がフランスという新たな国を誕生させたのである。(P.179)
最後に、フランスの国民的ヒロインであるジャンヌ・ダルクの興味深い小話を一つ。
ジャンヌ・ダルクは瞬く間に忘れ去られた。実際のところ、女救世主の物語は近代に至るまで、生まれ故郷のドムレミ村と開放されたオルレアンだけで語り継がれる、地域限定の昔話に過ぎなかったのだ。これを発掘して、大々的に広報したのが、かのナポレオン・ボナパルトだった。(P.159)
英仏百年戦争 (集英社新書)
佐藤 賢一 (著)

シェークスピア症候群
前史
  • それはノルマン朝の成立か
  • それはプランタジネット朝の成立か
  • 第一次百年戦争
本史
  • エドワード三世
  • プランタジネットの逆襲
  • 王家存亡の危機
  • シャルル五世
  • 幕間の悲喜劇
  • 英仏二重王国の夢
  • 救世主
  • 最終決戦
後史
  • フランス王の天下統一
  • 薔薇戦争
  • 結、かくて英仏百年戦争になる
それは、英仏間の戦争でも、百年の戦争でもなかった。イングランド王、フランス王と、頭に載せる王冠の色や形は違えども、戦う二大勢力ともに「フランス 人」だった。また、この時期の戦争は、むしろそれ以前の抗争の延長線上に位置づけられる。それがなぜ、後世「英仏百年戦争」と命名され、黒太子エドワード やジャンヌ・ダルクといった国民的英雄が創出されるにいたったのか。直木賞作家にして西洋歴史小説の第一人者の筆は、一三三七年から一四五三年にかけての 錯綜する出来事をやさしく解きほぐし、より深いヨーロッパ理解へと読者をいざなってくれる。
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Versailles, France
前回のエントリー「Le Japon - idées reçues -」では、外国人が持つ日本に対する固定観念が述べられていましたが、これを感じたことがあります。一人でパリの美術館を歩いている時のことでした。同じく一人で美術館を周っていた老人が話しかけて来たのです。僕が日本人と分かると、自分の日本の知識を語りかけてきました。

いわく、「日本は極東のすごく小さい島国なのに、ものすごいお金持ちなんでしょう」とのことでした。しかも指でコインの形を作りながら、すごいよねと言ってくるのです。まず、日本はそんなに小さくないということ伝えたのですが、固定概念はなかなか崩れないのです。日本はフランスの3分の2ぐらいの大きさで、ドイツよりわずかに大きい(参照)と伝えて、やっと分かってもらえました。フランス人に日本の国土をイメージしてもらうのはドイツと同じぐらいと伝えるのが一番分かってもらえると思います。

あとは、お金持ちの方の固定観念は、最後まで崩せなかったようです。2008年現在、国民総生産(GDP)では世界第二位の国は確かに裕福であることは間違っていないのと、悪いイメージではないので僕が熱心に訂正しなかったせいだと思います。でも、その固定概念は、かなり昔の日本のイメージを引きずっているように見えました。

日本は敗戦の後、約25年で国内総生産(GDP)で世界第二位になった1980年には、フランスでも日本のニュースで溢れていたんだと思います。老人の固定観念の中に、社員の雇用を生涯守るシステム、社員の年齢によって序列を決定するシステムなど、西洋のやり方とはまったく違う方法を引っさげ、経済的に躍進した日本の輝かしいイメージを見ました。その後、1990年代、バブルが崩壊すると日本の脅威は薄れ、次第にフランスにおける日本のニュースが減少し、老人の頭には輝かしい日本と脅威の日本のイメージがそのまま残ったと考えられます。

これを裏付ける文章を「[書評] これから10年、新黄金時代の日本」に見つけました。日本のバブル崩壊がおこるまでは、日本は特別に優秀な国だと思われ続けていたのとの記述です。成功している間は、日本にも無能で腐敗した政治家がいることや、凶暴で秩序を乱す学生が学級を崩壊させているようなことはニュースとして触れられにくい傾向があったそうです。不況後にこういった日本の光と影の両面を見るニュースが現れました。
[書評] これから10年、新黄金時代の日本
すなわち、世界の人々は、それが起こるまでは、日本を、他国には発見できないビジネスや経済上での秘訣を見つけた人たちの、超人的国家だと考えていた。しかしこの不況を景気に、他と変わらぬ普通の国に成り下がったと、見はじめたのである。(P.66)
バブル期に流された、日本の一方的イメージと言うのは15〜20年経た現在でも所々に見られます。「Le Japon - idées reçues -」の目次にある

« 1945年の敗戦以後、日本は経済的な奇跡を実現した »、
« 日本人は全てをコピーする、そして改良する »、
« 日本は天然資源を欠いている »、
« その伝統は自然との調和を賞賛するが、国は非常に汚染されている »、
« 日本人は仕事中毒でバカンスをとることは無い »、
« 日本人は生涯同じ会社に勤める »

といったイメージはバブル期のニュースに起因すると考えられます。日本を外国人に正しく伝えるためには、外国人が思う日本を意識することは重要です。
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Versailles, France
前回のエントリー「Le Japon - idées reçues -」では、外国人が持つ日本に対する固定観念が述べられていましたが、これを感じたことがあります。一人でパリの美術館を歩いている時のことでした。同じく一人で美術館を周っていた老人が話しかけて来たのです。僕が日本人と分かると、自分の日本の知識を語りかけてきました。

いわく、「日本は極東のすごく小さい島国なのに、ものすごいお金持ちなんでしょう」とのことでした。しかも指でコインの形を作りながら、すごいよねと言ってくるのです。まず、日本はそんなに小さくないということ伝えたのですが、固定概念はなかなか崩れないのです。日本はフランスの3分の2ぐらいの大きさで、ドイツよりわずかに大きい(参照)と伝えて、やっと分かってもらえました。フランス人に日本の国土をイメージしてもらうのはドイツと同じぐらいと伝えるのが一番分かってもらえると思います。

あとは、お金持ちの方の固定観念は、最後まで崩せなかったようです。2008年現在、国民総生産(GDP)では世界第二位の国は確かに裕福であることは間違っていないのと、悪いイメージではないので僕が熱心に訂正しなかったせいだと思います。でも、その固定概念は、かなり昔の日本のイメージを引きずっているように見えました。

日本は敗戦の後、約25年で国内総生産(GDP)で世界第二位になった1980年には、フランスでも日本のニュースで溢れていたんだと思います。老人の固定観念の中に、社員の雇用を生涯守るシステム、社員の年齢によって序列を決定するシステムなど、西洋のやり方とはまったく違う方法を引っさげ、経済的に躍進した日本の輝かしいイメージを見ました。その後、1990年代、バブルが崩壊すると日本の脅威は薄れ、次第にフランスにおける日本のニュースが減少し、老人の頭には輝かしい日本と脅威の日本のイメージがそのまま残ったと考えられます。

これを裏付ける文章を「[書評] これから10年、新黄金時代の日本」に見つけました。日本のバブル崩壊がおこるまでは、日本は特別に優秀な国だと思われ続けていたのとの記述です。成功している間は、日本にも無能で腐敗した政治家がいることや、凶暴で秩序を乱す学生が学級を崩壊させているようなことはニュースとして触れられにくい傾向があったそうです。不況後にこういった日本の光と影の両面を見るニュースが現れました。
[書評] これから10年、新黄金時代の日本
すなわち、世界の人々は、それが起こるまでは、日本を、他国には発見できないビジネスや経済上での秘訣を見つけた人たちの、超人的国家だと考えていた。しかしこの不況を景気に、他と変わらぬ普通の国に成り下がったと、見はじめたのである。(P.66)
バブル期に流された、日本の一方的イメージと言うのは15〜20年経た現在でも所々に見られます。「Le Japon - idées reçues -」の目次にある

« 1945年の敗戦以後、日本は経済的な奇跡を実現した »、
« 日本人は全てをコピーする、そして改良する »、
« 日本は天然資源を欠いている »、
« その伝統は自然との調和を賞賛するが、国は非常に汚染されている »、
« 日本人は仕事中毒でバカンスをとることは無い »、
« 日本人は生涯同じ会社に勤める »

といったイメージはバブル期のニュースに起因すると考えられます。日本を外国人に正しく伝えるためには、外国人が思う日本を意識することは重要です。
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パリ日本文化会館でこの本を買ってきました。フランス語の勉強のために、フランス語の本を読むようにしています。フランス語が堪能な同僚のコロンビア人が一番役立った勉強方法は読書だと言っていたからです。母国語がスペイン語の彼にとっては、会話がそれほど問題にならないからかも知れませんが。

"idées reçues"とは固定概念という意味で、日本に対する固定概念がいろいろと取り上げれていて、それに対する解説があるような本です。目次を翻訳してみたのですが、たいていのフランス人の頭の中にある日本に対する固定概念がリストされているようで面白いです。どの項目も一度はフランス人に聞かれたことがあったり、そのようなイメージを持ってるんだなと感じたことがあります。これから読み進めるのが楽しみでなりません。

« 1945年の敗戦以後、日本は経済的な奇跡を実現した »、 « 日本はロボットとマンガの国である »、 « 日本人は仕事中毒でバカンスをとることは無い »。これらの固定概念はかなり存在すると思います。あまりにも、固定されていてそれ以外のイメージを掴めない人達もいるように思います。 また、« 女性は男性と夫に従属している »、« 日本社会はセックスと暴力に侵されている»、« ヤクザカミカゼの国である»、こういったイメージも何となくわかります。日本発のマンガやアニメ、アダルトビデオも人気だったりするのです。こういったコンテンツを見続けていると、それをもとに日本のイメージを作りがちになる人もいます。

この"idées reçues"とは結構な数が揃ったシリーズだったようです。例えば、「学校」、「ホームレス」、「観光」といった経済と社会の分野のシリーズがあったり、「中世」、「聖書」、「ルイ16世」などの歴史のシリーズ、「ガン」、「脳」といった健康に関するものもあります。この本の冒頭とサイトには、以下のようにあります。
固定概念はしつこい。...(略)...しかしこのシリーズは、一般の人の描くイメージに徹底して抵抗するためのものではない。むしろ、固定概念をとっかかりとして利用し、このシリーズはそうであることを理解するために、独断的な論述の裏にかくれた真実の一部を明らかにするために書かれた。また、個々の主題に対してニュアンスに富み、現状の知識に個性的な総括を提供するため、固定概念を近付けさせないためにかかれた。
この本を翻訳しながら紹介し、感想などを書いていこうと思います。まとめはこちら→仏語本「Le Japon 固定観念」のまとめ
Le Japon
de Philippe Pelletier (Auteur)

はじめに
日本とその鏡
日本...絶対的な島か相対的な島か?
« 日本人は全員そっくり »
« 島国根性は外国人から日本を守った »
« 1945年の敗戦以後、日本は経済的な奇跡を実現した »
« 日本は高度な技術の楽園である »
« 日本はロボットとマンガの国である »
« 日本人は全てをコピーする、そして改良する »
日本は住みにくい場所か?
« 日本はしょっちゅう自然災害を被っている »
« 日本は天然資源を欠いている »
« 日本は人員超過である »
« 日本は場所を欠いている »
« その伝統は自然との調和を賞賛するが、国は非常に汚染されている »
日本人は働き過ぎ、もしくは十分以上?
« 日本人は仕事中毒でバカンスをとることは無い »
« 日本人は生涯同じ会社に勤める »
« 女性は働かないで家にとどまる »
« 女性は男性と夫に従属している »
日本人は不気味?
« 日本の若者は絶望している »
« 感覚の帝国 »
« 日本社会はセックスと暴力に侵されている»
« ヤクザカミカゼの国である»
結論
割れた鏡
もっと知るために

翻訳や時代の風潮の結果、よく真と偽が混ざり、固定概念は皆の頭から無くならない。著者はとっかかりのために、これらを用いて、それらに客観的視点を与える。そして、知っていることや知っていると信じていることを深く掘り下げる。
Le Japon
de Philippe Pelletier (Auteur)

Le Japon… l’île absolue ou relative ?
— « Les Japonais sont tous pareils. »
— « L’insularité a protégé le Japon de l’étranger. »
— « Le Japon a réalisé un miracle économique après la défaite de 1945. »
— « Le Japon est le paradis de la haute technologie. »
— « Le Japon est le pays des robots et des manga. »
— « Les Japonais copient tout, et en mieux. »
Le milieu japonais serait-il inhospitalier ?
— « Le Japon est sans cesse frappé par des catastrophes naturelles. »
— « Le Japon manque de ressources naturelles. »
— « Le Japon est surpeuplé. »
— « Le Japon manque d’espace. »
— « La tradition prône l’harmonie avec la nature mais le pays est hyper pollué. »
Les Japonais travaillent trop, ou plus assez ?
— « Le Japonais est un drogué du travail et ne prend pas de vacances. »
— « Le Japonais travaille à vie dans la même entreprise. »
— « Le Japon est le royaume des arts martiaux. »
— « La femme ne travaille pas et reste à la maison. »
— « La femme est soumise aux hommes et à son mari. »
Les Japonais sont-ils inquiétants?
— « La jeunesse japonaise est désespérée. »
— « L’Empire des sens. »
— « La société japonaise est envahie par le sexe et la violence. »
— « C’est le pays des yakuza et des kamikaze. »

Issues de la tradition ou de l'air du temps, mêlant souvent vrai et faux, les idées reçues sont dans toutes les têtes. L'auteur les prend pour point de départ et apporte ici un éclairage distancié et approfondi sur ce que l'on sait ou croit savoir.
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パリ日本文化会館でこの本を買ってきました。フランス語の勉強のために、フランス語の本を読むようにしています。フランス語が堪能な同僚のコロンビア人が一番役立った勉強方法は読書だと言っていたからです。母国語がスペイン語の彼にとっては、会話がそれほど問題にならないからかも知れませんが。

"idées reçues"とは固定概念という意味で、日本に対する固定概念がいろいろと取り上げれていて、それに対する解説があるような本です。目次を翻訳してみたのですが、たいていのフランス人の頭の中にある日本に対する固定概念がリストされているようで面白いです。どの項目も一度はフランス人に聞かれたことがあったり、そのようなイメージを持ってるんだなと感じたことがあります。これから読み進めるのが楽しみでなりません。

« 1945年の敗戦以後、日本は経済的な奇跡を実現した »、 « 日本はロボットとマンガの国である »、 « 日本人は仕事中毒でバカンスをとることは無い »。これらの固定概念はかなり存在すると思います。あまりにも、固定されていてそれ以外のイメージを掴めない人達もいるように思います。 また、« 女性は男性と夫に従属している »、« 日本社会はセックスと暴力に侵されている»、« ヤクザカミカゼの国である»、こういったイメージも何となくわかります。日本発のマンガやアニメ、アダルトビデオも人気だったりするのです。こういったコンテンツを見続けていると、それをもとに日本のイメージを作りがちになる人もいます。

この"idées reçues"とは結構な数が揃ったシリーズだったようです。例えば、「学校」、「ホームレス」、「観光」といった経済と社会の分野のシリーズがあったり、「中世」、「聖書」、「ルイ16世」などの歴史のシリーズ、「ガン」、「脳」といった健康に関するものもあります。この本の冒頭とサイトには、以下のようにあります。
固定概念はしつこい。...(略)...しかしこのシリーズは、一般の人の描くイメージに徹底して抵抗するためのものではない。むしろ、固定概念をとっかかりとして利用し、このシリーズはそうであることを理解するために、独断的な論述の裏にかくれた真実の一部を明らかにするために書かれた。また、個々の主題に対してニュアンスに富み、現状の知識に個性的な総括を提供するため、固定概念を近付けさせないためにかかれた。
この本を翻訳しながら紹介し、感想などを書いていこうと思います。まとめはこちら→仏語本「Le Japon 固定観念」のまとめ
Le Japon
de Philippe Pelletier (Auteur)

はじめに
日本とその鏡
日本...絶対的な島か相対的な島か?
« 日本人は全員そっくり »
« 島国根性は外国人から日本を守った »
« 1945年の敗戦以後、日本は経済的な奇跡を実現した »
« 日本は高度な技術の楽園である »
« 日本はロボットとマンガの国である »
« 日本人は全てをコピーする、そして改良する »
日本は住みにくい場所か?
« 日本はしょっちゅう自然災害を被っている »
« 日本は天然資源を欠いている »
« 日本は人員超過である »
« 日本は場所を欠いている »
« その伝統は自然との調和を賞賛するが、国は非常に汚染されている »
日本人は働き過ぎ、もしくは十分以上?
« 日本人は仕事中毒でバカンスをとることは無い »
« 日本人は生涯同じ会社に勤める »
« 女性は働かないで家にとどまる »
« 女性は男性と夫に従属している »
日本人は不気味?
« 日本の若者は絶望している »
« 感覚の帝国 »
« 日本社会はセックスと暴力に侵されている»
« ヤクザカミカゼの国である»
結論
割れた鏡
もっと知るために

翻訳や時代の風潮の結果、よく真と偽が混ざり、固定概念は皆の頭から無くならない。著者はとっかかりのために、これらを用いて、それらに客観的視点を与える。そして、知っていることや知っていると信じていることを深く掘り下げる。
Le Japon
de Philippe Pelletier (Auteur)

Le Japon… l’île absolue ou relative ?
— « Les Japonais sont tous pareils. »
— « L’insularité a protégé le Japon de l’étranger. »
— « Le Japon a réalisé un miracle économique après la défaite de 1945. »
— « Le Japon est le paradis de la haute technologie. »
— « Le Japon est le pays des robots et des manga. »
— « Les Japonais copient tout, et en mieux. »
Le milieu japonais serait-il inhospitalier ?
— « Le Japon est sans cesse frappé par des catastrophes naturelles. »
— « Le Japon manque de ressources naturelles. »
— « Le Japon est surpeuplé. »
— « Le Japon manque d’espace. »
— « La tradition prône l’harmonie avec la nature mais le pays est hyper pollué. »
Les Japonais travaillent trop, ou plus assez ?
— « Le Japonais est un drogué du travail et ne prend pas de vacances. »
— « Le Japonais travaille à vie dans la même entreprise. »
— « Le Japon est le royaume des arts martiaux. »
— « La femme ne travaille pas et reste à la maison. »
— « La femme est soumise aux hommes et à son mari. »
Les Japonais sont-ils inquiétants?
— « La jeunesse japonaise est désespérée. »
— « L’Empire des sens. »
— « La société japonaise est envahie par le sexe et la violence. »
— « C’est le pays des yakuza et des kamikaze. »

Issues de la tradition ou de l'air du temps, mêlant souvent vrai et faux, les idées reçues sont dans toutes les têtes. L'auteur les prend pour point de départ et apporte ici un éclairage distancié et approfondi sur ce que l'on sait ou croit savoir.
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Paris, France
本ブログの書評も20エントリーを超え、読んだ本を探すのも難しくなってきましたので、書評をまとめるエントリーを作ります。

ブログをはじめた頃は書評をここまで書くとは思いませんでしたが、面白い本を見つけると紹介したくなったために書き始めたら、どんどん増えました。その後は、フランスに来てから読んだ本を面白さに関わらず紹介するようになっています。共感できない本や、反論したくなる箇所のある本などもありますが、どんな本にも学ぶところがあると思います。

大抵の本はその道の専門家が相当な時間をかけて書いています。長年の研究の成果や、経験のなかから導きだした考えを共有するものだったりします。そう言った成果物をわずか2〜3時間で読めるので、本を読んでまったく得るものがなく時間を無駄したと考えることはほぼありえません。どんな本にも何らかの新しい見方や、知らなかった知識が含まれています。本ブログの書評では、そういった学ぶべきことを中心に書いてきました。

書評の中でオススメ度のランキングを付けようと思ったですが、オススメの度合いはこのブログの各読者の興味によって違ってきますし、本の内容をすでに知っている人にはその本は薦められません。それならば、自分の中の満足度でランキングを付けようとも思ったのですが、自分の中でも本の価値が移り変わっていきます。暇つぶしに面白かった本と、国際関係を考察するために非常に役立った本を同列に比べられません。なので、10冊に一冊ぐらい出会うような良かった本で、読者のほとんどにお薦めできるような本に、を付けてみました。

書評をまとめるエントリーを作るようにすすめているサイトがありました→「Amazon アソシエイト・プログラム ブログ: 月間紹介料25万円!成功者から秘訣を学ぼう」。自分も読んだ本が整理できていいアイデアだと思います。

追記:2009/11/20再更新

21世紀の歴史――未来の人類から見た世界[書評] 21世紀の歴史——未来の人類から見た世界 ジャック・アタリ (著), 林 昌宏 (翻訳)
ヨーロッパ最高の知性と讃えられることもあるフランス人のジャック・アタリ氏による今後50年〜100年ぐらいの歴史を想像する内容です。


戦争で読む「ローマ帝国史」 建国から滅亡に至る63の戦い (PHP文庫)[書評] 戦争で読む「ローマ帝国史」 建国から滅亡に至る63の戦い 柘植 久慶
小さな羊飼いの集落から、地中海世界を制覇する古代の超大国にのし上がっていったローマ帝国の歴史を戦争を通じて解説している本です。”ローマ期とは神話時代である紀元前八世紀から、西ローマ帝国の滅亡する起源五世紀までの1200年余りにかけて(p.3)”のことです。

おじさん、語学する (集英社新書)
[書評] おじさん、語学する塩田 勉 (著)
おじさんがフランス語を一から学んでいく過程が描かれている物語です。著者は言語教育を専門とする先生なのですが、物語のおじさんは真面目なサラリーマンで語学の経験はほとんど無い設定です。
「日中友好」は日本を滅ぼす! 歴史が教える「脱・中国」の法則[書評] 「日中友好」は日本を滅ぼす!歴史が教える「脱・中国」の法則 石 平 (著)
中国に近づくと国が乱れ、中国と断交することで繁栄する日本の法則を解き明かそうとする本でした。
高校生が感動した「論語」 (祥伝社新書)
[書評] 高校生が感動した「論語」 佐久 協 (著)
古典は本来、時代や個人に即した解釈が許されるはずであるのに、論語は聖典とされるあまり、教条的に扱われすぎてきたので、あえて分かりやすい構成で書かれている本です。


島国根性 大陸根性 半島根性 (青春新書INTELLIGENCE)[書評] 島国根性 大陸根性 半島根性 金 文学
日本、中国、韓国の文化的違いについて書いてある本でした。
エリートのつくり方―グランド・ゼコールの社会学 (ちくま新書)[書評] エリートのつくり方―グランド・ゼコールの社会学 柏倉 康夫
フランスのエリートを養成する学校であるグランゼコールに関する本です。本の概要は、1)フランスの教育全般にわたる解説、2)グランゼコールの歴史と著名な学生達の紹介、3)21世紀のグランゼコールの展望となっていました。

愚か者、中国をゆく (光文社新書)[書評] 愚か者、中国をゆく 星野博美
幼い頃から中国に興味を抱き続けてきた”という著者が中国を旅した記録です。この本に収録されているのは、1986-1987年ごろの中国の話で、著者が大学3-4年生だった頃の記録です。


名将たちの戦争学 (文春新書)[書評] 名将たちの戦争学 松村 劭
過去と現在の著名な軍人の名言から戦争を説明した本でした。著者は防衛大学卒で軍人としてのキャリアを歩んだことも会って、軍人の視点から物事を考えているという感じがしました。

苛立つ中国 (文春文庫)[書評] 苛立つ中国 富坂 聰
中国に蔓延する反日の全体図が分かる本でした。西安留学生寸劇事件、尖閣諸島領有権問題、東シナ海ガス田問題、歴史教科書問題、靖国神社問題、アジアカップの暴動などの分析を行っている内容です。
人生は勉強より「世渡り力」だ! (青春新書インテリジェンス)
[書評] 人生は勉強より「世渡り力」だ! 岡野 雅行
「痛くない注射針」で有名な岡野氏の江戸っ子調の語りの本です。
三国志の英傑たち (時代小説文庫)[書評] 三国志の英傑たち 北方 謙三
1996年から2年ほどかけて著者が大長編小説『三国志』を書いたときに考えたことをつづっている本でした。著者の小説『三国志』の長いあとがきとのような内容でした。

これが中国人だ!―日本人が勘違いしている「中国人の思想」 (祥伝社新書 113)[書評] これが中国人だ!―日本人が勘違いしている「中国人の思想」佐久 協
最終章では、著者の考えは僕の考えと相当近いと感じました。著者の中国に対する知識と知見は、僕とは比べ物にならないので、説得力は段違いです。このブログの中国関連のエントリーに興味を持った方は、この本はかなりのオススメです。

アメリカの大学院で成功する方法―留学準備から就職まで (中公新書)[書評] アメリカの大学院で成功する方法―留学準備から就職まで 吉原 真里
アメリカの大学院に留学して、乗り越えなければならない障害と対策があらかじめ書かれています。

ビジネスマンが泣いた「唐詩」一〇〇選[書評] ビジネスマンが泣いた「唐詩」一〇〇選 佐久 協
サラリーマン人生、人生の哀歌、飲食、青春、友情、旅情、望郷、戦乱などの漢詩を100個紹介した本です。翻訳文と書き下し文の他に、著者による「超訳」が付けられています。

美しい国へ (文春新書)[書評] 美しい国へ 安倍 晋三
2006年9月26日に総理大臣になった安倍氏がその2ヶ月前に出版した本です。

日露戦争に投資した男―ユダヤ人銀行家の日記 (新潮新書)[書評] 日露戦争に投資した男 ユダヤ人銀行家の日記 田畑 則重 (著)
この本はシフの生涯について書かれているものではなく、第一章にシフと日本の関わり、第二章に原題「Our Journey to Japan」を翻訳したものが収められています。
ジャーナリズム崩壊 (幻冬舎新書 う 2-1)[書評] ジャーナリズム崩壊 上杉 隆 (著)

日本のジャーナリズム、とくに記者クラブを批判した本です。
特攻とは何か (文春新書)[書評] 特攻とは何か 森 史朗 (著)
特攻作戦を指揮した側の記録が丹念に描かれている本(全342ページ)です。全編を通して特攻の生みの親として語られることの多い、大西瀧治郎を中心として描かれています。
知られざる福沢諭吉 下級武士から成り上がった男 (平凡社新書)[書評] 知られざる福沢諭吉 下級武士から成り上がった男 礫川 全次
福沢諭吉の功罪について分析していこうという内容の本です。「本書『知られざる福沢諭吉』などは、その内容はともかくとしても、「福沢惚れ」でない著者による福沢論であるところに希少価値があると自負している。(p.228)」というように、福沢擁護論ではないところに価値を置いています。

非属の才能 (光文社新書 328)[書評] 非属の才能 山田 玲司 (著)
『Bバージン』や『ゼブラーマン』で有名な漫画家、山田玲司氏による「みんなと同じはもうやめよう」という本。
パリに生きた科学者 湯浅年子 (岩波ジュニア新書)
[書評] パリに生きた科学者 湯浅年子 山崎 美和恵 (著)
1939年、30歳にしてパリに旅立って、研究を続けた科学者の生涯を描いた本です。科学者を取り巻く状況が、当時と今はまったく違う様相で驚きます。
高学歴ワーキングプア  「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)[書評] 高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 水月 昭道
博士課程に進んだ学生がどのような過酷な条件に置かれることになるのか解説されている本です。簡単に読める本なので、博士課程に進む学生は目を通しておいた方が良いと思います。
アメリカもアジアも欧州に敵わない―「脱米入欧」のススメ (祥伝社新書)[書評] アメリカもアジアも欧州に敵わない―「脱米入欧」のススメ 八幡 和郎
「複雑な歴史の上に成立したヨーロッパ諸国の知恵を借りた方が良い」という著者の意見について書かれているもののはずです。ヨーロッパの歴史、文化、グルメ、言語などについて著者の知識が広く披露されています。
BRICs 新興する大国と日本 (平凡社新書)[書評] BRICs 新興する大国と日本 門倉 貴史 (著)
成長著しいBRICsについて2006年6月に書かれた解説書です。これだけの分量まとめて体系的に書かれているものは、必要な人には多少古くとも読む価値があります。
新・戦争学 (文春新書)[書評] 新・戦争学 松村 劭 (著)
本書は過去の戦争の推移と軍事理論とあわせて解説している歴史書として読めます。
死の壁 (新潮新書)[書評] 死の壁 養老 孟司 (著)
死にまつわるさまざまな テーマを通じて現代人が生きていくうえでの知恵を考える。『バカの壁』に続く養老孟司の新潮新書第二弾。
日米中三国史―技術と政治経済の55年史 (文春新書)[書評] 日米中三国史―技術と政治経済の55年史 星野 芳郎 (著)
敗戦直後のアメリカ進駐軍の経済政策から→高度経済成長へ挑戦(日本と中国)→ベトナム戦争と文化大革命→日本の経済大国への道→最近の経済の話と順を追って日本、アメリカ、中国の経済の話を展開している本です。
夜這いの民俗学・夜這いの性愛論[書評] 夜這いの民俗学・夜這いの性愛論 赤松 啓介 (著)
本書には「柿の木問答」など面白いしきたりが紹介されています。現在の性に関するしきたりも絶対的なものではなく、100年もしない近 年に作られたものであるということを想像するために、今とだいぶ違うおおらかな性の文化を知ることも面白いと思いました。
とてつもない日本 (新潮新書 217)
[書評] とてつもない日本 麻生 太郎 (著)
本の中で実際の困難が起こる前にそれを予想し、解決法を提示することは出来ないでしょうし、本書の目的でもないでしょう。本書は彼のビジョンを大まかにつかみ、賛成反対の議論の土台を作る入門書として読むべきでしょう。
国家の品格 (新潮新書)[書評] 国家の品格 藤原 正彦 (著)
この本の良いところは、世の中にある信じられやすい事柄について、まったく違う視点の対案が提示されたことです。新しい視点を何の疑問も無く信じ込んでしまうのは止めましょう。本書をすすめるかどうかは、読者がどのように読むかにかかっていますが、僕はお勧めしたいと思います。
フランス生まれ―美食、発明からエレガンスまで  集英社新書[書評] フランス生まれ―美食、発明からエレガンスまで 早川 雅水
フランス人が何を生み出したかを見ることによて、フランス人とは何かを探る本。何か人を知ろうとする時、その人の生み出した物を見るのは非常に良いアイデアだと思います。
大東亜会議の真実 アジアの解放と独立を目指して PHP新書 (PHP新書)[書評] 大東亜会議の真実 深田 祐介 (著)
太平洋戦争を多面的に見つめるには、「戦争犯罪人が日本をめちゃくちゃにし、アジアを侵略して迷惑をかけた」という以外の別の見方を考察する必要があります。
大丈夫な日本 (文春新書)[書評] 大丈夫な日本 福田 和也 (著)
この本は非常におすすめできません。全体を読んでみて、もしかしたら著者は冗談を集めて書いているのではないかと疑いました。ぜひその理由を本ブログのエントリで確認してください。
「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった―誤解と誤訳の近現代史 (新潮新書)[書評] 「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった 多賀 敏行 (著)
外国語を自国の言葉に翻訳する時にニュアンスが変わってしまうことがよくあります。この本は、歴史上有名な言葉で、翻訳の時にニュアンスが変わってしまった言葉を取り上げています。
カルロス・ゴーン経営を語る (日経ビジネス人文庫)[書評] カルロス・ゴーン経営を語る Philippe Ri`es (原著), Carlos Ghosn (原著), カルロス ゴーン (翻訳), 高野 優 (翻訳), フィリップ リエス (翻訳)
経営に関すること、リーダーに関すること、仕事ぶりに関することなど、ゴーン氏の言葉でいろいろ書かれていて興味深いです。本書は、カルロス・ゴーン氏の祖父の代から扱うなど背景まで網羅されている点が素晴らしいです。
フランス三昧 (中公新書)[書評] フランス三昧 篠沢 秀夫 (著)
大学の教授がフランスの歴史と文化と、フランス語について書いている本です。世に満ちる誤解の表層土をかき分けて、フランスという国の真の姿をお目にかけます。「フランスと日本は似ている」という驚くべき発見。
外国人とのコミュニケーション (岩波新書)[書評] 外国人とのコミュニケーション J.V. ネウストプニー (著), Jir´i V´aclav Neustupn´y (原著)
初版が25年前の外国人とのコミュニケーションについての本です。語学教育についての考察は25年前からいろいろと変わっていますが、それ以外はそれほど変わっていないと思いました。
英仏百年戦争 (集英社新書)[書評] 英仏百年戦争 佐藤 賢一 (著)
フランスとイギリスの成り立ちを知るには必要不可欠な歴史です。百年戦争の概要は本書ではすごく分かりやすく紹介されています。
真剣 (光文社新書 348) [書評] 真剣 黒澤雄太 (著)
現在、ほとんどの居合いや剣術道場では実際に斬らないそうですが、著者の道場では門下生に真剣を持たせて稽古をするそうです。竹刀で練習するのと迫力が違いそうです。特に外国にいると日本の文化に対する幅広い知識が求められることが多いので読んでおくと良いです。
フランス史10講 (岩波新書)[書評] フランス史10講 柴田 三千雄 (著)
フランスの歴史が、紀元前600年ごろから西暦2006年までが10つの時代に区切られて、説明されている本です。フランスを知りたいという人は歴史を知ることは外せないと思います。
カルロス・ゴーンは日産をいかにして変えたか (PHP文庫) [書評] カルロス・ゴーンは日産をいかにして変えたか 財部 誠一 (著)
僕にとってカルロス・ゴーン氏のストーリーを知ることは3つの点で興味深いです。それは、日本の大企業が迎えた危機の原因、フランス人によるリーダーシップとは何か、技術者出身の経営者の軌跡です。
「ニッポン社会」入門―英国人記者の抱腹レポート (生活人新書)[書評] 「ニッポン社会」入門―英国人記者の抱腹レポート コリン ジョイス (著), Colin Joyce (原著), 谷岡 健彦 (翻訳)
14年間日本に暮らす英紙 記者が無類のユーモアを交えて綴る、意外な発見に満ちた日本案内。面白い本なので、外国人がどんな風に日本を見ているか興味がある方に一読することを勧めます。
これから10年、新黄金時代の日本 (PHP新書) [書評] これから10年、新黄金時代の日本 ビル エモット (著), Bill Emmott (原著), 烏賀陽 正弘 (翻訳)
13年間、英誌『エコノミスト』の編集長を務めた方が書いた、日本についての楽観論。
フランス家族事情―男と女と子どもの風景 (岩波新書)[書評] フランス家族事情 浅野 素女 (著)
いまから10年も前に書かれた本なのに、未だに普通の未婚の男性が見ても進んでいると感じる本でした。いままで唯一絶対に重要なものだった家族というものは、どんどん変わっていっているんだと衝撃を受けたことを覚えています。

知っていそうで知らないフランス―愛すべきトンデモ民主主義国 (平凡社新書) [書評] 知っていそうで知らないフランス 安達 功 (著)
著者は、フランスに特派員として渡って来て、政治・経済の記事を書いていたそうでこれらの分野が詳しく分かりやすく書かれています。

大欧州の時代―ブリュッセルからの報告 (岩波新書) [書評] 大欧州の時代—ブリュッセルからの報告 脇阪 紀行 (著)
加盟国の東方拡大や、欧州憲法の頓挫を経て、EUはこれからどこへ向かうのか。そもそも巨大組織の仕組みはどうなっているのか。欧州の首都ブリュッセル勤務の著者によって2006年に欧州連合について書かれた本です。
Grammaire Progressive Du Francais: Avec 600 Exercices[書評] Grammaire progressive du François (フランス語の文法書) Maia Gregoire (著), Odile Thievenaz (著)
フランス語プログレッシブ文法は初級、中級、上級レベルの3冊が揃ったに向けた文法の練習書です。フランス語習得開始から約1年でこの教科書に挑戦しました。

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書) [書評] 若者はなぜ3年で辞めるのか 城 繁幸 (著)
年功序列と終身雇用のシステムが完全に崩れ去ったということが、書かれています。このシステムを維持することがどれだけ不可能なことか思い知らされます。

右であれ左であれ、わが祖国日本 (PHP新書 440)[書評] 右であれ左であれ、わが祖国日本 船曳 建夫 (著)
すごい右っぽい論が展開されそうです。しかし実際は、著者が意図したように、右派左派の対立を注意深く避けながら、過去の日本の行動の解析と、今後の日本についての予測/提言がなされています。

日本とフランス  二つの民主主義 (光文社新書)[書評] 日本とフランス 二つの民主主義 薬師院 仁志 (著)
民主主義には自由と平等という二つの目標があり、それはどちらかを求めればどちらかを失うという相反する関係にあります。そして、今の日本には自由以外の選択肢しかなく、もう一つの選択肢の平等を目指す代表国としてフランスが紹介されています。
フランス反骨変人列伝 (集英社新書) [書評] フランス反骨変人列伝 安達 正勝 (著)
この本にはその時代の常識に逆らった人達が4人紹介されています。本の帯を見ると、「太陽王に妻を寝取られた侯爵の意地」、「時代の混乱に翻弄された栄光の軍人」、「詩を愛した殺人鬼」、「死刑反対を訴えた死刑執行人」となっています。

福沢諭吉の真実 (文春新書)[書評] 福沢諭吉の真実 平山 洋 (著)
この本は、福沢諭吉についての議論を根底から見直す意義深いものです。「真実」の新たな一側面を捉えたといえるでしょう。
アメリカに「NO」と言える国 (文春新書) [書評] アメリカに「NO」と言える国 竹下 節子 (著)
仏在住の比較文化史家が宗教的背景も含め、「欧」と「米英」の違いを解説。アメリカ“グローバリズム”に「NO」と言った唯一の国の政治姿勢を、ユニヴァーサリズムの視点から分析する。
フランス7つの謎 (文春新書) [書評] フランス7つの謎 小田中 直樹 (著)
フランスに来て、この一種の驚きを感じない日本人はおそらくいないでしょう。この本はこの驚きの基本的なものを集めたものになっています。それを謎として定義して7つ紹介してあります。

シラクのフランス (岩波新書)[書評] シラクのフランス 軍司 泰史 (著)
この本はシラクを称賛する本ではなくて、シラクの栄光と挫折について分析されています。シラクの12年間の大統領任期はフランスを大きく変えたといえます。現在のフランスを知るには、最近のフランスで最も大きな影響を持った人物であるシラクを知ることが早道です。

ナポレオンを創った女たち (集英社新書) [書評] ナポレオンを創った女たち 安達 正勝 (著)
現在、世界を覆う自由と平等の理念を初めて具現化したナポレオン法典は、現在の世界にも直接的に影響を与え続けています。その民法典を創ったナポレオンが女性に影響されやすい人間であったのは、なかなか興味深い指摘です。
仏検3・4級必須単語集―petits pois[書評] 仏検3・4級必須単語集/仏検 準1級・2級必須単語
フランス語に限らず、言語習得には単語を記憶するという根気のいる作業が必要となります。言語習得には、言語学者があらかじめ頻度別に並べてくれている単語集は、学習の大きな助けとなります。フランス語の場合は、お勧めの単語集がありますので紹介しました。
外国語上達法 (岩波新書 黄版 329) [書評] 外国語上達法 千野 栄一 (著)
外国語をマスターする上での定番の指南書です。自分が言語を習得する目的や、習得するにおいて重要なポイントについて整理できると思います。当たり前の指摘も多いですが、学習を始める前に一読することをお薦めします。

フランスの外交力―自主独立の伝統と戦略 (集英社新書)[書評] フランスの外交力—自主独立の伝統と戦略 山田 文比古 (著)
フランスが掲げる理想に近づくために、ヨーロッパ、アフリカ、言語、文化、軍事力において行って来た努力は、一見に値します。僕は、本書を読むまで、フランスの外交や政治については全く知らなかったですが、彼らに学ぶことは多いと感じ始めました。
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