Paris, France
日本人はなぜ悲観論が好きか?これは、実は日本人が楽観的だからじゃないかなと思います。実は僕は悲観論者から楽観論者に転換した経緯があるので、このエントリーではその経緯を紹介しながら、日本人の悲観論好きに対する原因を考察します。

3年ほど前にフランスに短期滞在した際、友人の中国人に日本人は悲観的だと言われたことがあります。90年にバブルがはじけて日本経済がガタガタになってから、15年間不景気で日本経済は前進してないような話をしていた時でした。当時の僕は確かに悲観論者だったようです。今となってはあまり思い出せないのですが、日本経済は今後衰退の一途を辿って、成長著しいアジアの追い上げをかわすこともできずに、日本の企業がどんどん消えていくようなイメージをしていた気がします。

日本に対する悲観論と言うのは、結構歴史があって様々な分野であります。「民主主義も資本主義も西洋から導入した(自分で発明してない)」、「日本の経済発展はアメリカのおかげ」、「日本はトランジスタとCDで成功したけど、発明したのは外国(改良しかできない)」という、もう一度やり直せないため反論のしようがない悲観論もあります。その他、「西洋の工業の蓄積は圧倒的で、その他は追いつけない(日本製品は安かろう悪かろうから抜けられない)」、「日本人ができるのはコピーだけ(日本人は独創性は無い)」、「ハードウェアは得意だけど、ソフトウェアには弱い」みたいな、日本人の手で覆された悲観論もいろいろありました。

日本人に独創性が無いというのは、フランスでは全く逆に捕えられています。「日本人はなんで、あんなに大量の新しいマンガ、アニメ、ゲームを作れるのか?日本人の創造力、想像力(妄想力)はすごい。ウォークマンとか新しいコンセプトのスタイリッシュな製品も打ち出すし。」という感じに。「ハードウェアは得意だけど、ソフトウェアには弱い」というのもよく言われますが、実は世界で一番普及しているオペレーティングシステムは実はTRONで日本製です。その他、ソフトウェアであるゲーム開発におけるクリエイティビティはむしろ世界で最高水準です。

日本人の悲観論に対する考察として最近思うことは、日本人が本質的に楽観主義者だから、悲観論を必要とするというモノです。つまり、自分に対する批判を聞くことで自分が直すべきポイントが明確になるため、それを直せば明日はもっと良くなると信じる楽観主義です。人々が批判を欲しがるために、メディアがそれを供給するという状態になってると思います。

実はこの着想を得たのは、任天堂が次々と面白いゲームを発売するのを見てた時です。ご存知の通り、ゲームは家庭では決して推奨されません。むしろ、常に親の批判を浴び続けています。任天堂は批判されるたびにそれからアイデアを得て、新しいゲームを生み出しているのではなかろうかと。下に例を挙げます。
ゲームをすると一人で遊ぶようになる ポケンモン発売(みんなでできる)
ゲームすると頭が悪くなる 脳力トレーニング発売(頭が良くなる)
ゲームコントローラーが難しい Wiiスティック開発(超簡単)
ゲームをすると不健康 Wiiフィット(雨の日でも運動できて、健康になる)
ゲームの批判から数多くの成功を生み出したゲーム開発陣は、今度は批判をもっと求めるようになっているんじゃないかと思います。同じように日本人もより良い明日を作るために、今日の悪いところを知りたいということでしょう。これは、今日努力すれば、明日はきっと良くなるという楽観論で、日本人の基本的思考だと思います。

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2 Responses so far.

  1. コカゲ says:

    はじめまして。
    難しい事はよくわからないのですが、Madeleine Sophieさんのブログはとても勉強になるし、説得力があるので、楽しく拝見させて頂いています。
    この記事を読んで、いつも悲観ばかりしている自分にも、いえ、そういう自分だからこそ進歩や前進といった何かが見出せたらいいなと感じました。
    今日努力すれば明日はきっとよくなるだろうという楽観論。って何かいいですね。

  2. コカゲさん、コメントありがとうございます。コメントをいただけると、ブログの書きがいがあります。

    現状に悲観論がすぐに思いつくのは、自分の悪い点を気づいている点では、好ましいことですよね。そこを改善すれば、良くなれる訳ですから。さらに、将来への悲観論も行き過ぎなければ、良いのかとも思いますね。将来の危険に気づいている訳ですから、避けられる可能性が増えますよね。

    日本に溢れる悲観論もそう言う目で見れば、好ましいことですね。楽観的にいきましょう。

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